中野区いじめ防止等対策推進条例
令和3年3月25日
条例第9号
(目的)
第1条 この条例は、児童等に対するいじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、中野区(以下「区」という。)、中野区教育委員会(以下「教育委員会」という。)、学校等の責務を明らかにするとともに、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)に基づき、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。
(1) いじめ 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
(2) 学校 中野区立学校設置条例(昭和36年中野区条例第1号)別表に規定する小学校及び中学校をいう。
(3) 児童等 学校に在籍する児童又は生徒をいう。
(4) 保護者等 児童等の親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)及びその他の者で児童等を現に監護するものをいう。
(5) 区民等 区内において、居住する者、在勤し、若しくは事業を営む者又は在学する者をいう。
(6) 関係機関等 警察、児童相談所その他いじめの防止等に関係する機関及び団体をいう。
(基本理念)
第3条 いじめの防止等のための対策は、次に掲げる事項を基本理念とする。
(1) いじめが全ての児童等に関係する問題であり、いじめを受けた児童等の心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為であることに鑑み、児童等が安心して生活し、学ぶことができるよう、学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行われなければならないこと。
(2) いじめが地域社会全体の問題であることに鑑み、区、教育委員会、学校及び学校の教職員、保護者等、区民等並びに関係機関等が、いじめは許されないものであり、いじめを未然に防止し、いじめを認識しながらこれを放置してはならないという意識を高めるとともに、一人ひとりの人権と多様性の尊重を基本とする豊かな人権感覚を持って主体的にいじめの防止等に取り組むことができるようにすることを旨として行われなければならないこと。
(3) 区、教育委員会、学校及び学校の教職員、保護者等、区民等並びに関係機関等は、児童等が安心して生活し、学ぶことができる環境を整備するため、その責務を果たし、相互に連携していじめの防止等に取り組まなければならないこと。
(4) 学校におけるいじめの防止等のための対策は、いじめの防止等に関する取組を実効的に行うため、学校全体で組織的に取り組むことを旨として行われなければならないこと。
(5) 全ての児童等が、いじめを行わず、他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することなくいじめの防止等のために主体的に行動できるよう、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行われなければならないこと。
(区の責務)
第4条 区は、前条に規定する基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策について、国及び東京都と協力しつつ、学校、保護者等、区民等及び関係機関等と連携し、区の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(教育委員会の責務)
第5条 教育委員会は、基本理念にのっとり、学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。
(学校及び学校の教職員の責務)
第6条 学校及び学校の教職員は、基本理念にのっとり、いじめは重大な人権侵害であって決して許されないものであるとの認識の下、当該学校に在籍する児童等の保護者等、区民等及び関係機関等との連携を図りつつ、学校の教育活動全体を通じて児童等に対しいじめの問題に関する啓発及び指導等を行うことにより、学校全体でいじめの防止等に取り組む責務を有する。
2 学校及び学校の教職員は、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、迅速かつ適切にこれに対処する責務を有する。
(保護者等の責務等)
第7条 保護者等は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。
2 保護者等は、その保護する児童等がいじめを受けた場合には、適切に当該児童等をいじめから保護するものとする。
3 保護者等は、いじめの防止等のため、区及び学校と連携し、区及び学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。
(区民等の責務)
第8条 区民等は、それぞれの地域において児童等に対する見守り、声かけ等を行うとともに、児童等が安心して過ごすことができる環境づくりに努めるものとする。
2 区民等は、児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、区、学校又は関係機関等に当該情報を提供するよう努めるものとする。
(関係機関等の責務)
第9条 関係機関等は、いじめの防止等に関する啓発活動等を積極的に実施するとともに、区及び学校との連携及び協力に努めるものとする。
2 関係機関等は、いじめに関する情報を入手したときは、速やかに、区又は学校に報告するよう努めるものとする。
(中野区いじめ防止基本方針の策定)
第10条 区は、法第12条の規定により、法第11条第1項に規定するいじめ防止基本方針を参酌し、中野区いじめ防止基本方針を定めるものとする。
(学校いじめ防止基本方針の策定)
第11条 学校は、法第13条の規定により、前条の中野区いじめ防止基本方針(以下単に「中野区いじめ防止基本方針」という。)を参酌し、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
(中野区いじめ問題対策連絡協議会の設置)
第12条 いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、法第14条第1項の規定により、中野区いじめ問題対策連絡協議会(以下「連絡協議会」という。)を置く。
2 連絡協議会は、いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携の推進その他いじめの防止等のための対策に関する事項について、連絡調整及び協議を行うものとする。
3 前2項に定めるもののほか、連絡協議会の構成、組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
(中野区教育委員会いじめ問題対策委員会の設置)
第13条 中野区いじめ防止基本方針に基づくいじめの防止等のための対策を実効的に行うようにするため、法第14条第3項の規定により、教育委員会の附属機関として、中野区教育委員会いじめ問題対策委員会(以下「対策委員会」という。)を置く。
2 対策委員会は、教育委員会の諮問に応じ、いじめの防止等のための対策について必要な事項を調査審議し、答申する。
4 対策委員会は、学識経験を有する者並びに法律、心理、福祉等に関する専門的知識及び経験を有する者(第16条第1項に規定する再調査委員会の委員である者を除く。)のうちから、教育委員会が委嘱する委員5人以内をもって組織する。
5 対策委員会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 教育委員会は、特別の事項を調査させるため必要があるときは、対策委員会に専門調査員を置くことができる。
7 専門調査員は、学識経験を有する者並びに法律、心理、福祉等に関する専門的知識及び経験を有する者(第16条第1項に規定する再調査委員会の委員である者を除く。)のうちから、教育委員会が委嘱する。
8 専門調査員の任期は、委嘱の日から当該特別の事項の調査が終了したときまでとする。
9 対策委員会は、第15条第1項の規定による調査を行うに当たり必要があるときは、調査部会を置くことができる。
10 対策委員会の委員(専門調査員を含む。以下同じ。)は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
11 前各項に定めるもののほか、対策委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、教育委員会が別に定める。
(令6条例26・一部改正)
(教育委員会によるいじめに対する措置)
第14条 教育委員会は、学校から法第23条第2項の規定による報告を受けたときは、法第24条の規定により、必要に応じ、当該学校に対し、教育、心理、福祉等に関する専門的知識及び経験を有する者による必要な支援を行い、若しくは必要な措置を講ずることを指示し、又は当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うものとする。
(教育委員会による重大事態への対処等のための調査)
第15条 教育委員会は、法第28条第1項の規定により、重大事態への対処及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するための調査を行うときは、速やかに、対策委員会に対し当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行わせるものとする。
2 教育委員会は、第13条第3項の規定により対策委員会による調査の結果について報告を受けたときは、当該調査の結果を区長に報告するものとする。
(中野区いじめ問題再調査委員会の設置)
第16条 法第30条第1項の規定による報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため、同条第2項の規定により、区長の附属機関として、中野区いじめ問題再調査委員会(以下「再調査委員会」という。)を置く。
2 区長は、法第30条第1項の規定による報告に係る重大事態への対処又は当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、同条第2項の規定により、再調査委員会に対し法第28条第1項の規定による調査の結果について調査を行わせるものとする。
3 再調査委員会は、区長の諮問に応じ、前項の規定による調査を行い、その結果を区長に報告する。
4 区長は、前項の規定により再調査委員会による調査の結果について報告を受けたときは、当該調査の結果を教育委員会に報告するものとする。
5 再調査委員会は、学識経験を有する者並びに法律、心理、福祉等に関する専門的知識及び経験を有する者(対策委員会の委員である者を除く。)のうちから、区長が委嘱する委員5人以内をもって組織する。
6 再調査委員会の委員の任期は、委嘱の日から再調査委員会が第3項の規定による調査の結果の報告を終了したときまでとする。
7 再調査委員会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
8 前各項に定めるもののほか、再調査委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、区長が別に定める。
(協力の要請)
第17条 教育委員会又は区長(以下「教育委員会等」という。)は、いじめの防止等のための対策について、学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する幼稚園、小学校(中野区立学校設置条例別表に規定する小学校を除く。)、中学校(同表に規定する中学校を除く。)、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所等に対し必要な協力を求めることができる。
(委任)
第18条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会等が定める。
附則
1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。ただし、次項の規定は、公布の日から施行する。
2 第13条第4項の規定による委員の委嘱に係る手続その他必要な行為は、この条例の施行前においても行うことができる。
附則(令和6年7月8日条例第26号)
この条例は、公布の日から施行する。