中野区文化財保護条例

昭和56年3月30日

条例第17号

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、文化財が郷土の歴史及び文化を正しく理解するために欠くことのできない貴重な財産であることにかんがみ中野区(以下「区」という。)の区域内に存する文化財について、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることにより、郷土文化の発展に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「文化財」とは、次に掲げるものをいう。ただし、文化財保護法(昭和25年法律第214号)の規定による重要文化財、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財、史跡、名勝又は天然記念物の指定(以下「法による指定」という。)を受けたもの及び東京都文化財保護条例(昭和51年東京都条例25号)の規定による都指定有形文化財、都指定無形文化財、都指定有形民俗文化財、都指定無形民俗文化財、都指定史跡、都指定旧跡、都指定名勝又は都指定天然記念物の指定(以下「都条例による指定」という。)を受けたものを除く。

(1) 有形文化財 建造物、絵画、彫刻、書跡、典籍、古文書その他の文化的所産で歴史上又は芸術上価値のあるもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)及び考古資料その他の学術上価値の高い歴史資料

(2) 無形文化財 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で歴史上又は芸術上価値のあるもの

(3) 有形民俗文化財 次号に掲げる風俗慣習又は民俗芸能に用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で生活の推移の理解のため欠くことのできないもの

(4) 無形民俗文化財 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習又は民俗芸能

(5) 記念物 貝づか、古墳、城跡、旧宅その他の遺跡で歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋りようその他の名勝地で芸術上又は観賞上価値の高いもの及び動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)又は地質鉱物(特異な自然現象の生じている土地を含む。)で学術上価値の高いもの

(区の責務)

第3条 区は、文化財が歴史及び文化の正しい理解のため欠くことのできないものであり、かつ、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであることを認識し、その保存と活用が適切に行われるよう努めなければならない。

2 中野区教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、区の区域内に存する文化財を調査し、その所在及び保存状況を明らかにし、必要があると認めるときは、その記録の作成、伝承者の養成、区民の文化財の保護に関する自主的活動の育成その他の措置をとり、文化財の保護に関する情報の提供及び意識の高揚に努めなければならない。

(区民等の責務)

第4条 区民は、区がこの条例の目的を達成するために行う措置に協力するとともに、自ら文化財の保護に努めなければならない。

2 文化財の所有者、保持者、保持団体及び保存に当たっている者(以下「所有者等」という。)は、これを大切に保存するとともに、公開するなどその文化的活用に努めなければならない。

3 所有者以外のもので文化財の保存に影響がある行為をしようとするもの(以下「事業者」という。)は、区がこの条例の規定により当該事業者に対して行う助言又は指導を遵守しなければならない。

第2章 文化財の登録及び指定

(登録)

第5条 教育委員会は、区の区域内に存する文化財のうち特に保存する必要があると認めるものを、所有者等の同意を得て、次の各号に掲げる中野区登録文化財(以下「区登録文化財という。)として登録することができる。

(1) 中野区登録有形文化財(以下「区登録有形文化財」という。)

(2) 中野区登録無形文化財(以下「区登録無形文化財」という。)

(3) 中野区登録有形民俗文化財(以下「区登録有形民俗文化財」という。)

(4) 中野区登録無形民俗文化財(以下「区登録無形民俗文化財」という。)

(5) 中野区登録記念物(以下「区登録記念物」という。)

2 教育委員会は、前項の登録をしたときは、その旨を所有者等に通知するとともに、これを告示する。

(登録の解除)

第6条 教育委員会は、区登録文化財が区登録文化財としての価値を失つた場合その他特別の理由のあるときは、前条第1項の規定による登録を解除することができる。

2 区登録文化財について、法による指定又は都条例による指定がなされたときは、前条第1項の規定による登録は、解除されたものとみなす。

3 前2項の規定による解除の場合は、教育委員会は、その旨を所有者等に通知するとともに、これを告示する。

(指定)

第7条 教育委員会は、区登録文化財のうち特に重要なものを、所有者等の同意を得て、次の各号に掲げる中野区指定文化財(以下「区指定文化財」という。)として指定することができる。

(1) 中野区指定有形文化財(以下「区指定有形文化財」という。)

(2) 中野区指定無形文化財(以下「区指定無形文化財」という。)

(3) 中野区指定有形民俗文化財(以下「区指定有形民俗文化財」という。)

(4) 中野区指定無形民俗文化財(以下「区指定無形民俗文化財」という。)

(5) 中野区指定記念物(以下「区指定記念物」という。)

2 教育委員会は、前項の指定をしたときは、その旨を所有者等に通知するとともに、これを告示する。

(指定の解除)

第8条 教育委員会は、区指定文化財が区指定文化財としての価値を失つた場合その他特別の理由があるときは、前条第1項に規定する指定を解除することができる。

2 区指定文化財について、法による指定又は都条例による指定がなされたときは、前条第1項に規定する指定は、解除されたものとみなす。

3 教育委員会は、前2項の規定による解除の場合は、その旨を所有者等に通知するとともに、これを告示するものとする。

第3章 文化財の管理

(所有者等の管理義務)

第9条 区登録文化財又は区指定文化財(以下「区登録文化財等」という。)の所有者等は、この条例及び中野区教育委員会規則(以下「教育委員会規則」という。)の定めるところにより当該登録文化財等を適切に管理し、その保護に努めなければならない。

(現状変更等の事前協議)

第10条 事業者及び所有者は、区指定有形文化財、区指定有形民俗文化財及び区指定記念物に関し、その現状の変更又はその保存に影響を及ぼす行為(以下「行為等」という。)をしようとするときは、あらかじめ教育委員会と協議しなければならない。

2 事業者及び所有者は、区登録文化財、区登録有形民俗文化財及び区登録記念物に関し、前項に規定する行為等をしようとするときは、あらかじめ教育委員会に届け出なければならない。

3 前2項の規定にかかわらず、現状の変更については、維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置をとる場合及び保存に影響を及ぼす行為については、影響が軽微である場合は協議又は届出を要しない。

4 教育委員会は、第1項による協議が整わない間に、事業者又は所有者が行為等をしようとするときは、その行為等の中止を求めることができる。

(所有者変更等の届出)

第11条 区登録文化財等の所有者等は、次の各号の一に該当するときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(1) 所有者等の変更があつたとき。

(2) 所有者等の氏名若しくは名称又は住所の変更があつたとき。

(3) 区登録文化財等(ただし、区登録無形文化財、区登録無形民俗文化財、区指定無形文化財及び区指定無形民俗文化財を除く。以下「区有形文化財等」という。)の全部又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗難にあつたとき。

(4) 区有形文化財等の所在の場所を変更しようとするとき(区登録記念物又は区指定記念物の指定地域内の土地については、その土地の所在、地番、地目又は地積に異動があつたとき。)

(5) 区有形文化財等を修理(ただし、第13条第2項の規定による措置を求められた場合又は第16条の規定による補助金の交付を受けて修理する場合は除く。)しようとするとき。

(所有者変更に伴う権利義務の承継)

第12条 区登録文化財等の所有者が変更したときは、新所有者は、当該登録文化財に関しこの条例に基づいて行う教育委員会の補助金の交付決定その他の処分に係る旧所有者の権利義務を承継する。

第4章 教育委員会の指導等

(措置要求)

第13条 教育委員会は、区有形文化財等の管理が適切でないため当該区有形文化財等が滅失、き損又は盗難の恐れがあると認めるときは、所有者等に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他区有形文化財等の管理に関し必要な措置を求めることができる。

2 教育委員会は、区有形文化財等がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者に対し、修理又は復旧を求めることができる。

(公開)

第14条 教育委員会は、区登録有形文化財、区登録有形民俗文化財、区指定有形文化財又は区指定有形民俗文化財の所有者に対し、教育委員会の行う公開の用に供するため、これらの文化財の出品を求めることができる。

2 教育委員会は、区登録文化財等の所有者等に対し、当該登録文化財等又はその記録の公開を求めることができる。

3 第1項の公開の用に供する期間は、6か月以内とする。

(助言及び指導)

第15条 教育委員会は、区登録無形文化財及び区指定無形文化財の保持者若しくは保持団体又は区登録無形民俗文化財及び区指定無形民俗文化財の保存に当たつているものに対し、その保存又は記録の作成のため必要な助言又は指導をすることができる。

2 教育委員会は、第10条第1項の規定による協議、同条第2項の規定による届出又は第11条の規定による届出があつた場合において、保存のため必要があると認めるときは、事業者及び所有者に対し、技術的な助言又は指導をすることができる。

3 教育委員会は、前条第2項の規定による公開に関し必要があると認めるときは、所有者等に対し、助言をすることができる。

(補助金の交付)

第16条 区は、区登録文化財等の保存又は修理に要する経費について、その所有者等に、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

第5章 中野区文化財保護審議会

(設置)

第17条 文化財の保存及び活用にあたり、適正な運営を図るため、教育委員会に中野区文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(所掌事務)

第18条 審議会は、教育委員会の諮問並びに文化財の保存及び活用に関する重要事項について調査審議し、教育委員会に答申し、又は意見を述べることができる。

(審議会への諮問)

第19条 教育委員会は、次に掲げる事項については、あらかじめ審議会に諮問しなければならない。

(1) 区登録文化財の登録及びその登録の解除

(2) 区指定文化財の指定及びその指定の解除

(3) 前2号に掲げるもののほか、教育委員会が必要と認める事項

(組織)

第20条 審議会は、委員12人以内で組織する。

2 前項の規定にかかわらず、特別の事項を調査審議するため必要があるときは、審議会に臨時委員を置くことができる。

3 審議会の委員及び臨時委員は、文化財に関し豊かな識見を有する者のうちから教育委員会が委嘱する。

(任期)

第21条 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、欠員の生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 臨時委員は、当該特別の事項の調査審議が終つたとき退任するものとする。

第6章 補則

(委任)

第22条 この条例の施行について必要な事項は、教育委員会規則で定める。

この条例は、昭和56年4月1日から施行する。

中野区文化財保護条例

昭和56年3月30日 条例第17号

(昭和56年3月30日施行)