不利益処分の審査請求に関する規則
昭和五十三年四月一日
特別区人事委員会規則第二十号
第一章 総則
(目的)
第一条 この規則は、地方公務員法(昭和二十五年十二月十三日法律第二百六十一号。以下「法」という。)第八条第七項及び第五十一条の規定に基づき、職員の懲戒その他その意に反する不利益な処分(以下「処分」という。)についての審査請求の手続及び審査の結果執るべき措置に関し、必要な事項を定めることを目的とする。
(公正かつ迅速な審理)
第二条 特別区人事委員会(以下「人事委員会」という。)は、審理が公正かつ迅速に行われるよう努め、当事者及びその他の関係者は、これに協力しなければならない。
第二章 当事者
(当事者)
第三条 この規則において当事者とは、審査請求人及び処分者をいう。
(代理者)
第四条 処分者は、代理者一名を選任又は解任することができる。
2 代理者は、当事者とみなす。
(代理人)
第五条 当事者は、必要があるときは、代理人を選任又は解任することができる。
2 当事者が数人の代理人を選任した場合は、うち一人を主任代理人として指名しなければならない。
3 人事委員会は、審理の円滑迅速な進行と公正な運営を期するため必要があると認めるときは、口頭審理及び第二十三条第一項に規定する意見の聴取に出席する代理人の数を制限することができる。
(代理者又は代理人の選任及び解任の届出)
第六条 処分者が代理者を選任し、又は解任した場合及び当事者が代理人を選任し、又は解任した場合においては、その者の氏名、住所及び職業等を記載した書面をもつて人事委員会に届け出なければならない。当事者が主任代理人を選任したときも同様とする。
(代理人の権限)
第七条 代理人は、当事者のためにその事案の審査に関し必要な行為をすることができる。ただし、特別の委任がある場合を除き審査請求の全部又は一部を取り下げることはできない。
2 代理人の行つた行為は、当事者が遅滞なく取消し、又は訂正したときは、その効力を失う。
3 主任代理人は、代理人に対する通知又は書類の送達について、代理人を代表する。
第三章 審査請求
(審査請求及び資料の提出)
第八条 処分を受けた者が、法第四十九条の二第一項の規定により、処分について審査請求をしようとするときは、人事委員会に対し審査請求書正副各一通を提出しなければならない。
2 審査請求書には、処分説明書の交付を受けたときは、その写を添付しなければならない。
3 審査請求書には、必要と認める資料を添付することができる。
(審査請求書)
第九条 審査請求書には、次の各号に掲げる事項を記載し、審査請求人が記名しなければならない。
一 処分を受けた者の氏名、住所、連絡先、生年月日及び処分を受けた当時の職名並びにその者が現に職員である場合には、その職名及び勤務場所
二 処分者の職名及び氏名
三 処分の内容及び処分を受けた年月日
四 処分のあつたことを知つた年月日
五 審査請求の趣旨
六 処分に対する不服の具体的理由
七 口頭審理を請求する場合には、その旨及び公開又は非公開の別
八 処分説明書を交付されなかつたときは、その経緯
九 審査請求の年月日
2 審査請求書に記載した事項に変更を生じた場合には、審査請求人は、そのつどその旨を速やかに書面をもつて人事委員会に届け出なければならない。
(審査請求書の審査及び補正)
第十条 人事委員会は、審査請求書が提出されたときは、審査請求書の記載事項及び添付資料について審査し、審査請求書に不備な点があるときは、相当の期間を定めて、その補正を命じることができる。ただし、不備が軽微なものであって審査請求の受理に影響のないものであるときは、人事委員会は、職権でその補正をすることができる。
(審査請求書の副本の送付)
第十条の二 人事委員会は、審査請求書が提出されたときは、処分者にその副本を送付するものとする。ただし、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
(審査請求の受理又は却下)
第十一条 人事委員会は、第十条の規定による審査の結果により、その審査請求を受理し、又は却下するものとする。この場合において、次に掲げる審査請求については、却下するものとする。
一 審査請求をすることができない者によつてされた審査請求
二 処分に該当しないことが明らかな事項についてされた審査請求
三 法第四十九条の三に規定する期間の経過後になされた審査請求
四 処分の取消しを求めるにつき法律上の利益がないことが明らかな事項についてされた審査請求
五 第十条の規定による補正命令に従つた補正がされない審査請求
六 前各号に掲げるもののほか、不適法になされた審査請求で補正をすることができないもの
2 前項後段の各規定による審査請求の却下は、人事委員会の裁決により行う。
3 人事委員会は、審査請求を受理したときは、当事者にその旨通知するものとする。
4 第十条の場合において審査請求書がその提出期限後に提出された場合でも、そのことについて天災その他やむを得ない理由があるときは、期限内に提出されたものとみなす。
5 審査請求書を郵便で提出した場合における審査請求の期間の計算については、郵送に要した日数は算入しない。
(手続の受継)
第十一条の三 審査請求人が死亡したときは、相続人その他法令により審査請求を続行すべき者(以下この条において「相続人等」という。)は、書面で、人事委員会に対し、審査請求手続の受継を申し立てなければならない。この場合において、申立書には、受継の事由を証明する書面を添付しなければならない。
2 前項の規定による申立てがされるまでの間に審査請求人にあててされた通知その他の行為が相続人等に到達したときは、当該通知その他の行為は、相続人等に対する通知その他の行為としての効力を有する。
3 審査請求手続の受継をした相続人等が二名以上あるときは、そのうちの一名に対する通知その他の行為は、その全員に対してされたものとみなす。
(審査請求の取下げ)
第十二条 審査請求人は、人事委員会の裁決のあるまでは、いつでも、書面をもつて審査請求の全部又は一部を取り下げることができる。
(処分者の処分取消等)
第十三条 審査請求が人事委員会に係属中、処分者がその処分を取り消し、又は修正したときは、処分者は、人事委員会及び審査請求人に、書面でその旨を通知しなければならない。
(審査の打切り)
第十三条の二 人事委員会は、係属している審査請求が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該審査請求の審査を打ち切るものとする。
一 処分者が審査請求の対象となった処分を取り消したとき。
二 審査請求の対象となった処分を取り消す判決又は当該処分の無効を確認する判決が確定したとき。
三 審査請求人が死亡した場合において、死亡から一年以内に、第十一条の三の規定による受継の申立てがないとき。
四 審査請求人の所在が不明となり、同人と連絡が取れなくなってから一年を経過したとき。
五 審査請求人が審査を継続する意思を放棄したと認められるとき。
六 前各号に掲げる場合のほか、審査を継続することにつき、法律上の利益がなくなったことが明らかなとき。
2 人事委員会は、前項の規定に基づき審査を打ち切ったときは、書面により当事者にその旨を通知するものとする。
3 審査請求は、前項の通知により完結する。
第四章 審査機関
(審査委員長)
第十四条 人事委員会が審査を行う場合は、人事委員会の委員長を審査委員長とする。ただし、委員長は、必要があると認めるときは、他の委員を審査委員長に指名することができる。
2 審査委員長は、その事案の審理を指揮し、その進行をはかり、及びその秩序維持の責に任ずる。
(審査員)
第十五条 人事委員会は、必要があると認めるときは、法第五十条第二項の規定に基づき委員及び事務局長のうちから事案の審査を担当する審査員を指名することができる。
2 審査員は、当該事案に対する裁決を除き、審査に関する人事委員会の権限(審査委員長の権限を含む。)を行使することができる。
3 第一項の場合において、人事委員会が、二人以上の審査員を指名したときは、そのうち一人を審査委員長の職務を行う者に指名しなけれはならない。
5 人事委員会は、第一項の規定により、事案の審査を担当する審査員を指名したときは、その旨を当事者に通知するものとする。
(審査補佐員)
第十六条 人事委員会は、事案の審査を補佐させるため、事務局職員のうちから審査補佐員を指名することができる。
2 審査補佐員は、審査委員長の指揮のもとに審査に立ち合い、審査を補佐するものとする。
(忌避の申立て)
第十七条 人事委員会が指名した事務局長たる審査員又は審査補佐員のうちで当事者若しくはその代理人であつた者、職務上その事案の処分に関与した者、当事者と配偶者又は四親等以内の親族関係にある者、その他審理の公正を妨げるおそれがある者について、当事者は、書面をもつて事情を明らかにし、かつ証拠を添えて忌避申立てをすることができる。
2 人事委員会は、前項の忌避申立てに理由があると認めるときは、その者の指名を取り消すものとする。
(担当職員)
第十八条 人事委員会は、事務局職員のうちから事案の審査に関する事務を処理させるため担当職員を指名する。
2 担当職員は、審査委員長又は審査補佐員の命を受けて、調書の作成その他審査に関する事務の処理にあたる。
第五章 審査の手続
第一節 審査の併合又は分離
(審査の併合又は分離)
第十九条 人事委員会は、数個の審査請求が同一若しくは相関連する事件に関し、又は同一の処分者により行われた処分に係るときは、当事者の申立てにより又は職権で、これらの審査を併合することができる。
2 人事委員会は、必要があると認めるときは、併合した審査を分離することができる。
3 人事委員会は、前二項の規定により、審査の併合又は分離を決定したときは、その旨を当事者に通知しなければならない。
(代表者)
第二十条 審査の併合に係る事案の審査請求人は、それらのうちから代表者一名を選任又は解任することができる。
2 審査請求人が代表者を選任又は解任したときは、その者の氏名を人事委員会に届け出なければならない。
3 代表者は、審査請求人のために、その事案の審査に関する一切の行為をすることができる。ただし、審査請求の全部又は一部を取り下げることはできない。
4 代表者は、審査請求人に対する通知又は書類の送達について、審査請求人を代表する。
第二節 審理の方法
(審理の方法)
第二十一条 人事委員会は、審査請求人から口頭審理の申立てがない限り、書面審理を行うものとする。
2 審査請求人は、審査が終了するまでは、いつでも書面をもつて口頭審理の申立てをし、又はその申立てを撤回することができる。
第三節 書面審理
(書面審理)
第二十二条 人事委員会は、書面審理を行う場合においては、処分者に対し、期限を定めて処分の理由に関する具体的説明及び審査請求人の主張に対する答弁書並びに必要な資料の提出を求めるものとする。
2 人事委員会は、前項の答弁書及びその他の資料が提出されたときは、審査請求人にこの写を送付し、必要があると認めるときは、期限を定めて、反論書の提出を求めることができる。
3 当事者が、人事委員会に提出する書面及びその他の資料は、相手方に送付するため、その写を添付しなければならない。
(意見の聴取等)
第二十三条 人事委員会は、必要があると認めるときは、当事者又は代理人の出席を求めてその陳述を聴取し、その他適当な方法により事案の調査をすることができる。
2 当事者は、審査が終了するまでは、人事委員会に対し、口頭で意見を述べる機会が与えられるよう申し出ることができる。
(審理記録の提出)
第二十四条 審査員が、審査を担当した場合において、書面審理を終結したときは、遅滞なく人事委員会に、当該事案の審理記録を提出し、審査の経過を報告しなければならない。
第四節 口頭審理
(口頭審理)
第二十五条 人事委員会は、審査請求人が口頭審理を請求したときは、当事者の立会いの下で、証拠調べその他人事委員会が必要と認める事項に関する審査を口頭により行うものとする。
2 人事委員会は、当事者の一方及びその代理人がともに口頭審理の期日に正当な理由がなく出席しない場合においても、当該期日の口頭審理を行うことができる。
3 人事委員会は、審査請求人が口頭審理の公開を請求した場合において、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあると認めるときは、理由を告げた上で、口頭審理の公開をしないことができる。
(準備書面)
第二十六条 人事委員会は、口頭審理を行う場合においても、当事者にあらかじめ書面で弁論の準備をさせることができる。この場合には、第二十二条の規定を準用する。
2 当事者は、前項の規定により、提出した書面に記載しなかつた事実を口頭審理において主張することができない。ただし、書面に当該事実を記載できなかつたことにつきやむを得ない事情があつたことを疎明したときは、この限りでない。
(口頭審理期日の通知、変更)
第二十七条 人事委員会は、口頭審理の日時及び場所をそのつど書面をもつて当事者又は代理人に通知するものとする。ただし、審理場において当事者又は代理人に告知した場合は、この限りでない。
2 当事者の一方及びその代理人がやむを得ない理由によつて、ともに指定された日時に出席できないときは、人事委員会に対し口頭審理期日の七日前までに、その理田を記載した書面をもつて期日の変更を申し出なければならない。
3 人事委員会は、前項の申出が正当な理由に基づくものと認めるときは、新たな日時を指定しなければならない。
(準備手続)
第二十八条 人事委員会は、口頭審理を円滑に行うために必要と認めるときは、事案を口頭審理の準備手続に付することができる。
2 準備手続は、審査員及び審査補佐員が行う。
3 準備手続では、次の事項を行うことができる。ただし当事者の一方及びその代理人がともに出席しないときはこの限りではない。
一 当事者の主張を明確にすること。
二 事案の争点を整理すること。
三 証拠調べの申請をさせること。
四 立証趣旨、尋問事項等を明らかにすること。
五 証拠調べの決定又は証拠調べの申請を却下する決定をすること。
六 書類、記録その他あらゆる適切な事実及び資料を提出させ、その認否を行わせること。
七 口頭審理の進行に関する事項を定めること。
4 準備手続担当者は、準備手続期日のつど、準備手続調書を作成しなければならない。ただし、当事者の書面をもってこれに代えることができる。
5 準備手続は、非公開とする。
6 準備手続の終了後に新たな攻撃又は防御の方法を提出した当事者は、人事委員会に対し、準備手続の終了前にこれを提出することができなかった理由を説明しなければならない。
(時機に遅れた攻撃防御方法の却下)
第二十九条 人事委員会は、当事者が攻撃又は防御の方法を故意又は重大な過失により時機に遅れて提出した場合において、これにより審理の終了を遅延させると認めるときは、当該攻撃又は防御の方法を却下することができる。
(口頭審理の秩序維持)
第三十条 審査委員長は、口頭審理において発言を許し、若しくはその指揮に従わない者の発言を禁止し、又は職務の執行を妨げる者若しくは不当な行状をする者を退席させ、その他口頭審理における秩序を維持するために必要な措置をとることができる。
(立証の要求及び質問)
第三十一条 審査委員長は、必要があると認めるときは、当事者に対し事実上及び法律上の事項に関し質問し、又は立証を求めることができる。
2 委員は、審査委員長に告げて前項に規定する措置を行うことができる。
3 当事者は、審査委員長に、相手方に対する質問を求めることができる。
(釈明の準備)
第三十二条 審査委員長は、前条の規定により、当事者に釈明すべき事項に関し、口頭審理期日前にその準備をすべきことを指示することができる。
(争われない主張)
第三十三条 当事者の一方及びその代理人がともに口頭審理期日に正当な理由がなくて出席しなかつたとき、又は出席しても相手方の主張した事実について争わなかつたときは、その主張した事実を承認したものとみなすことができる。
(最終陳述)
第三十四条 審査委員長は、口頭審理を終結するに際しては、当事者に対し、最終陳述をする機会を与えることができる。
(口頭審理の請求の撤回の擬制)
第三十四条の二 審査請求人及びその代理人がともに正当な理由がなく口頭審理の期日に出席せず、かつ、相当な期間をおいて、再度指定された口頭審理の期日に出席しないときは、審査請求人が口頭審理の請求を撤回したものとみなす。
(口頭審理調書)
第三十五条 担当職員は、審理期日のつど、審理の要領を記載した調書を作成しなけれはならない。
2 担当職員は、当事者及びその他の者の陳述については、その正確な要旨を調書に記載しなければならない。ただし、速記により記録してこれに代えることができる。
(口頭審理記録の提出)
第三十六条 第二十四条の規定は、口頭審理の場合にもこれを準用する。
第五節 証拠調べ
(証拠の申出)
第三十七条 当事者は、書証、証人尋問及び当事者本人尋問の申出をすることができる。
2 前項の申出は、書面で、証明すべき事実及びこれと証拠との関係を具体的に明示してしなければならない。
(職権による証拠調べ)
第三十九条 人事委員会は、職権で必要と認める証拠調べをすることができる。
(書証の申出)
第三十九条の二 書証の申出は、第三十七条第二項の書面に、文書の表示及び作成者を記載し、かつ、当該文書及びその写しを提出し、又は当該文書の所持者にその提出を求めることを申し立ててしなければならない。
(文書提出要求の申立て)
第三十九条の三 前条に規定する文書提出要求の申立ては、書面で、文書の表示、趣旨及び所持者並びに証明すべき事実及びこれと当該文書との関係を具体的に明示してしなければならない。
(証人尋問の申出)
第三十九条の五 証人尋問の申出は、第三十七条第二項の書面に、次に掲げる事項を記載してしなければならない。
一 証人の氏名、住所及び職名又は職業
二 尋問事項の要領
三 次条第一項の規定による呼出しを求めるか否かの別
(証人の呼出し)
第四十条 人事委員会は、呼出状によって証人を呼び出すことができる。
2 呼出状には、次に掲げる事項を記載するものとする。
一 当事者の表示
二 出席すべき日時及び場所
三 尋問事項の要領
四 正当な理由がなく出席しなかった場合には法律上の制裁を受けることがある旨
3 証人は、口頭審理の期日に出席できない事由が生じたときは、直ちに、当該事由を示して、人事委員会に届け出なければならない。
(人定尋問)
第四十一条 審査委員長は、証人に対して、まずその人違いでないかどうかを確認しなければならない。
(証人の宣誓)
第四十二条 審査委員長は、証人の証言を求めようとするときは、あらかじめ虚偽の証言を行つた場合の法律上の制裁を告げて、宣誓させなければならない。
2 宣誓は、証人が宣誓書を朗読し、かつこれに署名又は記名押印して行うものとする。
3 宣誓書には、良心に従つて、真実を述べ何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓う旨が記載されていなければならない。
4 前三項の規定にかかわらず、十六歳未満の者又は宣誓の趣旨を理解することができない者を証人として尋問する場合には、宣誓をさせることができない。
(証人尋問の順序等)
第四十二条の二 審査委員長は、第三十九条の規定による証人尋問をするときは、当事者より先に尋問するものとする。
2 当事者は、審査委員長の許可を得て、証人を尋問することができる。この場合において、当事者の一方が申し出た証人については、当該当事者が先に尋問する。
3 審査委員長は、必要があると認めるときは、前項の規定による当事者の尋問の途中又は終了後において、自ら当該尋問に係る事項及び関連する事項について尋問することができる。
5 審査委員長は、証人尋問における当事者の質問が審査をするのに必要がないと認めるとき、又は次に掲げる質問であって相当でないものであると認めるときは、当該質問を制限することができる。
一 具体的又は個別的でない質問
二 誘導質問
三 証人を侮辱し、又は困惑させる質問
四 既にした質問と重複する質問
五 意見の陳述を求める質問
六 証人が直接経験しなかった事実について述べることを求める質問
(遮へいの措置)
第四十二条の三 審査委員長は、事案の性質、証人の心身の状態、証人と当事者又は代理人との関係その他の事情により、証人が当事者、代理人又は傍聴人の面前で陳述するときに圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるときは、当事者、代理人又は傍聴人と証人との間で、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置をとることができる。
2 審査委員長は、前項の措置をとるに当たっては、当事者及び証人の意見を聴くものとする。
(個別尋問)
第四十三条 証人は、各人別にこれを尋問しなければならない。
2 後に尋問すべき証人が在室するときは、退席させるものとする。ただし、審査委員長が、その必要がないと認めたときは、この限りでない。
(口頭による証言)
第四十四条 証人は、書類に基づいて証言することができない。ただし、人事委員会が許可したときは、この限りでない。
(口述書)
第四十五条 人事委員会は、証人に対し、口頭による証言にかえて、次の各号に掲げる事項を記載した書面で、口述書の提出を求めることができる。
一 証人の氏名、住所及び職業
二 提出すべき日時及び場所
三 証言を求めようとする事項
四 正当な理由がなくて口述書を提出せず、又は口述書に虚偽の事項を記載した場合の法律上の制裁
2 口述書には、証言にあたる事項及びその作成年月日を記載し、口述人がこれに署名又は記名押印しなければならない。
(対質)
第四十六条 審査委員長は、必要があると認めるときは、証人相互、当事者と証人又は当事者相互の対質を行わせることができる。
(当事者本人尋問の申出)
第四十七条 当事者本人尋問の申出は、第三十七条第二項の書面に、次に掲げる事項を記載してしなければならない。
一 当事者本人の氏名
二 尋問事項の要領
(文書の提出要求)
第四十八条 人事委員会は、文書を所持する者に対し、日時及び場所を指定して当該文書又はその写しの提出を求めることができる。この場合において、その者に対し、正当な理由がなく当該文書若しくはその写しを提出しなかった場合又は虚偽の文書若しくはその写しを提出した場合には法律上の制裁を受けることがある旨を通知するものとする。
2 人事委員会は、提出された文書又はその写しを留め置くことができる。
(証拠の所在地における証拠調べ)
第四十九条 人事委員会は、申立てにより、又は職権で、証拠の所在地に自ら赴き、又は審査委員長若しくは委員及び審査補佐員を派遣して必要と認める証拠調べをすることができる。
(検証)
第四十九条の二 人事委員会は、必要があると認めるときは、検証を行うことができる。
2 人事委員会は、検証を行うときは、当事者に対し、あらかじめその日時及び場所を通知するとともに、検証に立ち会う機会を与えるものとする。
3 人事委員会は、検証の目的物を留め置くことができる。
(鑑定)
第五十条 人事委員会は、必要があると認めるときは、鑑定人に鑑定をさせることができる。
第六節 裁決
第五十一条 削除
(裁決)
第五十二条 人事委員会は、審査を終了したときは、その結果に基づき、速かに、次に定めるところにより裁決を行うものとする。
一 審査請求が不適法なときは、当該審査請求を却下する。
二 審査請求に理由がないときは、当該審査請求を棄却する。
三 審査請求に理由があるときは、処分を取り消し、又は修正する。
2 人事委員会は、事案の裁決について、次の各号に掲げる事項を記載した裁決書を作成し、委員がこれに署名又は記名押印するものとする。
一 当事者の表示
二 主文
三 事実及び争点
四 理由
五 裁決の年月日
(裁決書の送達)
第五十三条 裁決の送達は、裁決書の正本を当事者又は当事者の指定する代理人に送付して行う。
(裁決に伴う指示)
第五十四条 人事委員会は、第五十二条の裁決を実施するために必要がある場合においては、任命権者に対し、必要な措置をとるよう書面によつて指示をしなければならない。
(裁決書の更正)
第五十五条 裁決書の記載に明白な誤りがある場合には、人事委員会は、いつでも、当事者の申立てにより、又は職権をもつて更正することができる。
2 裁決書の更正は、裁決書の原本及び正本に付記してするものとする。ただし、正本に付記することができないときは、更正通知書を当事者に送付してするものとする。
第五十六条 削除
第六章 再審
(再審請求の要件)
第五十七条 当事者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、人事委員会に対し再審の請求をすることができる。
一 裁決の基礎となつた証拠物が偽造又は変造されたものであることが判明したとき。
二 裁決の基礎となつた証人の証言、当事者の陳述又は鑑定人の鑑定が虚偽であることが判明したとき。
三 裁決に影響を及ぼすにたりる重要な証拠が新たに判明したとき。
四 裁決に影響を及ぼすような事実について判断の遺脱があつたとき。
(再審請求期間)
第五十八条 再審の請求は、裁決書の送達があつた日の翌日から起算して三月以内にしなければならない。
(再審請求書)
第五十九条 再審の請求は、次に掲げる事項を記載した再審請求書正副各一通に、請求の理由を立証するにたりる証拠を添付して、人事委員会に提出しなければならない。
一 再審を請求する者の氏名、住所及び職業、その者が現に職員である場合には、その職名及び勤務場所
二 再審請求の趣旨
三 再審を請求する具体的理由
四 裁決書の送達を受けた年月日
五 再審請求年月日
(職権による再審)
第六十条 人事委員会は、裁決の後第五十七条に掲げる再審の理由があると認めるとき、その他特に必要があると認めるときは、職権により再審を行うことができる。
2 前項の場合、人事委員会は、当事者に再審の開始を通知するものとする。
(再審の裁決)
第六十一条 人事委員会は、再審の結果最初の裁決を正当と認めるときは、これを確認し、不当と認めるときは、最初の裁決を修正し、又はこれにかえて新たに裁決を行うものとする。
第七章 公示送達
(公示送達)
第六十三条 この規則で文書の送付を必要とする場合において、これを受けるべき者の所在が知れないとき、その他文書を送付することができないときは、公示の方法によつてすることができる。
2 公示の方法による送付は、人事委員会が当該文書を保管し、いつでもその送付を受けるべき者に交付する旨、又はその内容の要旨を特別区人事・厚生事務組合に付設する掲示場に掲示してするものとする。この場合においては、掲示された日から十四日を経過した時に当該文書の送付があつたものとみなす。
第八章 雑則
(審査費用の負担)
第六十四条 審査及び再審の費用は、次に掲げるものを除くほか、それぞれ当事者の負担とする。
一 人事委員会が、職権で呼出した証人及び鑑定人の旅費日当、宿泊料
二 人事委員会が、職権で行つた証拠調べの費用
三 人事委員会が文書の送付に要した費用
(文書及び検証の目的物の返還)
第六十四条の二 人事委員会は、法及びこの規則に基づき提出された文書及びその写し並びに検証の目的物を留め置く必要がなくなったときは、速やかに、それらをその提出人に返還するものとする。
(補則)
第六十五条 この規則の施行に関し必要な事項は、人事委員会が定める。
付則
この規則は、公布の日から施行する。
附則(昭和六一年二月一八日特別区人事委員会規則第五号)
この規則は、公布の日から施行する。
附則(平成一六年九月三〇日特別区人事委員会規則第一三号)
1 この規則は、公布の日から施行する。
2 この規則の施行の日前から引き続き係属している不服申立てについて、この規則改正前の不利益処分の不服申立てに関する規則の規定によってなされた手続きは、この規則の相当規定によってなされたものとみなす。
附則(平成一七年三月三〇日特別区人事委員会規則第一四号)
この規則は、平成十七年四月一日から施行する。
附則(平成一八年三月二八日特別区人事委員会規則第九号)
この規則は、公布の日から施行する。
附則(平成二五年三月五日特別区人事委員会規則第二号)
1 この規則は、平成二十五年四月一日から施行する。
2 この規則の施行の日(以下「施行日」という。)前から引き続き係属している不服申立てについて、この規則による改正前の不利益処分の不服申立ての審査に関する規則の規定によってなされた手続きは、この規則による改正後の不利益処分の不服申立ての審査に関する規則(以下「改正後規則」という。)の規定によってなされたものとみなす。
3 改正後規則第十三条の二第一項第三号の規定は、施行日前から引き続き係属している不服申立てのうち、施行日前に不服申立人が死亡しているものについて準用する。この場合において、同号中「死亡から一年以内に」とあるのは「施行日の翌日から起算して一年以内に」と読み替えるものとする。
附則(平成二八年三月一五日特別区人事委員会規則第一一号)
1 この規則は、平成二十八年四月一日から施行する。
2 不利益処分の不服申立てであって、この規則の施行前にされた不利益処分に係るものについては、なお従前の例による。
附則(令和二年三月二日特別区人事委員会規則第三号)
この規則は、公布の日から施行する。
附則(令和三年一月二六日特別区人事委員会規則第二号抄)
(施行期日)
1 この規則は、令和三年四月一日から施行する。