中野区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例

昭和53年10月6日

条例第40号

(目的)

第1条 この条例は、中高層建築物の建築に係る計画の事前公開並びに紛争のあつせん及び調停に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係を保持し、もつて地域における健全な生活環境の維持及び向上に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 中高層建築物 高さが10メートルを超える建築物(第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に掲げる第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域をいう。)にあつては、軒の高さが7メートルを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物)をいう。

(2) 紛争 中高層建築物の建築に伴つて生ずる日照、通風及び採光の阻害、風害、電波障害等並びに工事中の騒音、振動等の周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主との間の紛争をいう。

(3) 建築主 中高層建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。

(4) 近隣関係住民 次の又はに掲げる者をいう。

 建築しようとする中高層建築物の壁面からその高さの2倍の水平距離の範囲内にある土地又は建築物に関して権利を有する者及び当該範囲内に居住する者

 中高層建築物による電波障害の影響を受ける者

(区長の責務)

第3条 区長は、紛争を未然に防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整するよう努めなければならない。

(当事者の責務)

第4条 建築主は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物の建築を計画するに当たつては、周辺の生活環境に及ぼす影響に十分配慮し、良好な近隣関係を損なわないようにするとともに、建築計画について、近隣関係住民の了解を得るよう努めなければならない。

2 建築主及び近隣関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもつて、自主的に解決するよう努めなければならない。

(標識の設置等)

第5条 建築主は、中高層建築物を建築しようとするときは、近隣関係住民に建築に係る計画の周知を図るため、当該建築敷地の見やすい場所に、中野区規則(以下「規則」という。)で定めるところにより標識を設置しなければならない。

2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、その旨を規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。

3 建築主は、前項の届出に当たつて、規則により定める紛争調整上必要な日影図等を区長に提出しなければならない。

(説明会の開催等)

第6条 建築主は、中高層建築物を建築しようとする場合には、建築に係る計画の内容について、説明会等の方法により、近隣関係住民に説明しなければならない。ただし、近隣関係住民のうち、当該範囲内に居住する者以外の者で当該範囲内の土地又は建物に関し権利を有する者に対する説明は、当該権利を有する者から申出があつた場合に限るものとする。

2 建築主は、前項の規定により行つた説明会等の内容について区長に報告しなければならない。

(あつせん)

第7条 区長は、建築主と近隣関係住民の双方から紛争の調整の申出があつたときは、あつせんを行う。

2 区長は、前項の規定にかかわらず、建築主又は近隣関係住民の一方から調整の申出があつた場合において、相当な理由があると認めるときは、あつせんを行うことができる。

3 区長は、当事者間をあつせんし、双方の主張の要点を確かめ、紛争が解決されるよう努めなければならない。

(あつせんの打切り)

第8条 区長は、当該紛争について、あつせんによつては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あつせんを打ち切ることができる。

(調停)

第9条 区長は、前条の規定によりあつせんを打ち切つた場合において、必要があると認めるときは、当事者に対し、調停に移行するよう勧告することができる。

2 区長は、前項に規定する勧告をした場合において、当事者の双方がその勧告を受諾したときは、調停を行う。

3 区長は、前項の規定にかかわらず、当事者の一方が第1項に規定する勧告を受諾した場合において、相当な理由があると認めるときは、調停を行うことができる。

4 区長は、調停を行うに当たつて必要があると認めるときは、調停案を作成し、当事者に対し、期間を定めてその受諾を勧告することができる。

5 区長は、調停を行うに当たつては、中野区建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)の意見を聴かなければならない。

(調停の打切り)

第10条 区長は、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。

2 前条第4項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは、当該調停は打ち切られたものとみなす。

(調停委員会)

第11条 区長の附属機関として、調停委員会を置く。

2 調停委員会は、第9条第5項の規定による区長の意見の求めに応じ、必要な調査審議を行い意見を述べるとともに、区長の諮問に応じて、紛争の予防と調整に関する重要事項について調査審議する。

3 調停委員会は、法律、建築の分野又はその他の学識経験を有する者のうちから区長が委嘱する委員6人以内をもつて組織する。

4 委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。

6 調停委員会に会長を置き、委員の互選によつて定める。

7 会長は、会務を総理し、調停委員会を代表する。

8 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。

9 調停委員会は、区長が招集する。

10 会議は、委員の半数以上の出席がなければ開くことができない。

11 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。

12 前2項の規定にかかわらず、第9条第5項の規定による調停委員会の意見は、会長が事案ごとに指名する3人以上の委員の合意によることができる。

(出頭)

第12条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見を聴くことができる。

(関係図書の提出)

第13条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、当事者に対し、関係図書の提出を求めることができる。

(工事着手の延期等の要請)

第14条 区長は、あつせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主に対して、期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を要請することができる。

(公表)

第15条 区長は、この条例の目的を達成するため、次の各号に掲げる事項に該当し、かつ必要があると認めるときは、その旨を公表することができる。

(1) 第5条の規定による標識設置、日影図等の提出義務及び第6条の規定による説明義務を履行しないとき。

(2) 第5条の規定による標識の設置又は日影図等の図書若しくは第6条の規定による説明に関し、虚偽の報告又は虚偽の記載をしたとき。

(3) 第12条の規定による出頭の求めに正当な理由がなく従わないとき。

(4) 第13条の規定による関係図書の提出の求めに正当な理由がなく従わないとき。

(5) 第14条の規定による工事の着手の延期又は工事の停止の要請に正当な理由がなく従わないとき。

(委任)

第16条 この条例に規定するものを除くほか、この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例の施行期日は、規則で定める。(昭和53年規則第52号で、同年10月12日から施行)

(適用除外)

2 建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第149条第1項第1号及び第2号に該当する中高層建築物については、この条例は適用しない。

(経過措置)

3 この条例の施行日前に、すでに従前の例により設置された標識、実施された説明会及び提出された関係書類は、この条例によりなされたものとみなす。

4 この条例の施行日前に、現に紛争が存在し、その紛争に関し調整を行つているものについては、この条例の施行日以後は、この条例の定めるところによるものとする。

(最初に委嘱される委員の任期)

5 この条例施行後、策11条第3項の規定により最初に委嘱される委員の任期は、第11条第4項の規定にかかわらず、昭和55年3月31日までとする。

(平成7年3月22日条例第14号)

1 この条例は、平成7年4月1日から施行する。ただし、第2条の改正規定は、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成4年法律第82号)附則第3条の規定により同法による改正前の都市計画法(昭和43年法律第100号)の規定が中野区の都市計画区域内の用途地域に関してなおその効力を有することとされる期間の経過する日の翌日から施行する。

2 この条例の施行前に、この条例による改正前の中野区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例第16条の規定により同条例第5条第1項の規定に基づく標識を設置した建築物に係る紛争の予防と調整に関しては、なお従前の例による。

(平成12年3月28日条例第38号)

この条例は、平成12年4月1日から施行する。

中野区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例

昭和53年10月6日 条例第40号

(平成12年3月28日施行)