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最終更新日 2021年12月27日
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放射線被ばくを減らすにはどうすればよいですか

 中野区は、「健康に影響のある放射線量は、都内では観測されていない」と判断しています。
 しかし、リスクの受け止め方は人によって異なりますので、放射線の被ばくのリスクが気になる方は、以下を参考にしてください。

リスクについて

 「リスク」は、経済学・工学・社会学・医学などさまざまな分野で使われますが、おおまかに「望ましくないことが起きる可能性の大きさ」を意味する概念です。

 原発事故の前から自然界にある放射線によって、成人は1年間に実効線量でおよそ2ミリシーベルトの被ばくをしています。どんなに少ない放射線でもリスクはあると仮定されている以上、「ゼロか否か」でいえば、放射線のリスクがゼロになることはありません。リスクの反対語は「安全」ではなく「利益」で、「安全」とは「リスクがゼロ」になることではなく、「リスクが十分小さいこと」です。また、基準は「リスクが十分小さい」と正当化されたものです。したがって、基準をどこまで下げても「絶対(100パーセント)安全」にはなりません(政策判断での善悪基準)。

 リスクと利益が直接的な(たとえば、飛行機や自動車で遠くまで早く移動する代わりに事故のリスクを背負う、アルコールで気分が良くなる代わりに健康障害などのリスクを背負う、などの)場合、人は容易にリスクと利益を比較できます(国立保健医療科学院 リスクの程度をどう伝えればよいですか?)。放射線は「リスクだけしかない」ように見えますが、放射線は利益があるから利用されていますラジウム温泉・ラドン温泉、作物の品種改良など)。平成23年3月の事故でいえば、放射線の発生源は原子力発電所であり、電気というエネルギーは私たちの生活の多くのところに関わっています。

 人間の意思決定のシステムは、狩猟採集生活の中で形成されてきたため、その場その場での直感的な判断に左右されます。さらに、集団で生活して生存率を上げるために、身の回りの人に同調し、一度固まった意思に反する情報を避ける傾向があります。しかし、人の命や健康を守るには、犠牲を合理化して何事もなかったかのように安心することも、科学を否定して小さなリスクに過剰に反応することも、得策とはいえません意思決定での勘や経験の落とし穴)。
 現代に生きる私たちは、医学や環境問題などで「予防が大切」と言われ続けてきており、近年は「予防原則」の主張も増えてきています。予防原則とは、おおむね「重大で取り返しのつかない損害の恐れがあるときには、確実な科学的根拠がないことを、費用効果的な予防対策をしない理由としてはならない」というものです。つまり、予防原則はリスク・代替リスク・利益・コストなどを考慮したリスクアセスメント(リスク評価)の1つであり、「予防原則を根拠にすれば何でも規制を正当化できる」ということにはなりません。現実に被害がなく科学的根拠がない以上、映像などで予防原則が必要な事実を示すことは不可能です。しかし、日本ではさまざまな報道が行われ世論を受けて、リサイクルダイオキシン環境ホルモン(内分泌かく乱物質)地球温暖化対策などに予防原則を根拠に規制が適用されています。しかし、ごみ処分場が満杯になることもなく、ダイオキシン・環境ホルモンによる犠牲者(間接的な糾弾による自殺などは除く)も確認されていません(環境省 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書)。「科学的根拠がない」から予防原則を適用するのであり、科学や時間(=予想された被害が起きなかった)が進めば、予防原則を根拠とする規制は、見直されていきます(我が国の環境政策に関するポータルサイト)。

 現代に生きる私たちは、過去のいつの時代よりも、健康で長生きです(厚生労働省 生命表)。これは、社会全体で、さまざまなリスクを減らしてきたからに他なりません最適化

乳児死亡率と年齢調整死亡率の推移 

 「事故前の状態に戻してほしい」という欲求は私たちが直観で理解できる主観的なものです。しかし、公害や環境破壊にさらされた自然を客観的にとらえた場合、原状回復には莫大な資源が必要です。また、人の老化や病気による手術を客観的にとらえた場合は、原状回復は事実上不可能です。そして、原子力発電を続けようと止めようと、既にある放射性廃棄物の問題は、米軍基地やごみ処理場、葬祭場などの迷惑施設問題と同様、どこかの誰かに押し付けて済む問題ではありません。まして、今回の福島原発の事故の直接の原因は、国家権力でも東京電力の人でもなく、地震と地震にともなう津波という自然です。そして、令和3年(2021年)11月11日現在でも、およそ3.9万人(12月27日更新) の方が避難生活を送っています。今まで電気を利用してきた私たち1人ひとりが自分の問題として、より多くの人が納得できる公平な放射性廃棄物の処分方法を考えていくべきではないでしょうか(日本国憲法第12条)。

 リスクを比較する研究はまだ発展途上であり、リスクを総合的に判断することは容易ではありませんし、「正解」があるとも限りません。リスクは、死亡数や死傷数、死亡率、罹患率などいろいろな数字で表現されます。たとえば、「雨が降る確率50パーセント」と言われたら「雨が降る」と思い、「合格する確率50パーセント」と言われたら「受からない」と、多くの人は思うのではないでしょうか。つまり、数字の単位(1年間に総人口10万人あたり、生涯におけるパーセント、など)や分母(日本全国、東京都の20歳未満の女性、など)をそろえなければ、数字同士の比較は意味がありません。また、現実に人で影響が観察できない仮定を含んだリスクと、現実の死亡数などに基づくリスクとは、本来比較できません。たとえば、人での効果が観察されない「可能性としてはあるかもしれない」「これから証明されるかもしれない」程度の根拠しかない医療は、科学的根拠(エビデンス)に基づく近代医学では正当化されません(「統合医療」情報発信サイト)。しかし、現実の治療法を選択する現場では、科学的根拠だけでなく、利用できる資源(資金、時間、人材など)や、患者や家族の体験談、選択する本人や周囲の人たちの価値観・宗教観にも影響を受けます(エビデンス・インフォームド)。

 社会には、仮定に基づく小さな1つのリスクを軽減することだけを強調して、恐怖感をあおり、私利私欲を満たそうとする人が絶えません。しかし、一般的に、あるリスクを軽減させようとすると別のリスクが増加します(トレードオフ)。過剰な放射線防護対策は、生活に支障をきたしたり、差別を産み出したり、心の健康を害したりすることにつながる場合もあります。放射線に限らず、世界に先駆けて低成長で超少子高齢化の道を進む日本社会には、世界の誰も経験したことのない問題が山積みです(環境行政及び原子力規制行政等における諸課題)。
 無意識の感情にただ従うのではなく、理性的にじっくり考えて、意見が違う人たちとも知恵を出し合って、よりよい社会を模索していきましょう

参考

外部被ばくを減らす

 身体の外にある放射線の発生源からの被ばくが外部被ばくです。
 福島第一原発事故以前の、日本の自然放射線からの外部被ばく線量は、1年間におよそ0.6ミリシーベルトです。
 大気や水・土壌などの環境中には、放射線以外にも人に影響を与えるさまざまなリスクがあり、国は多くの基準を設けています。
 空気中の放射線量が高い場所は汚染状況重点調査地域などに指定されますが、東京都は指定されていません(環境省 除染についての基礎情報)。

外部放射線被ばく防護の3原則

 体の外に放射性物質がある場合、

  1. 放射性物質から離れる(距離)
  2. 放射性物質のそばにいる時間を短くする(時間)
  3. 放射性物質と体の間に遮へい物を置く(遮へい)

のが防護の原則です。

 現在東京都では、1日分の測定では大気中の放射性物質は検出限界以下で、大気中の空間放射線量率1か月分の降下物を集めた大気中の放射性物質も事故前の数値に戻っています。
東京都月間降下物放射能濃度(Cs-137)と最大空間線量率の推移
 放射性セシウムから出るガンマ線を10分の1に弱めるには、2.5センチメートルの鉛の遮へいが必要で、窓を閉めたり換気扇を止めたりしても、外部被ばくを減らす効果はほとんどありません。むしろ換気が悪いと、自然放射線(建材などからの放射性ラドン)による内部被ばくが増えます。
 過去の降下量と比べても少ない量ではありますが、外部被ばくを減らすには、

  1. 洗濯物を部屋干しする
  2. 不要な外出を避ける
  3. 外出時は放射性物質がたまりやすいところ(土砂や落葉が堆積した排水口・側溝、雨樋、雨樋の直下(雨樋からの排出先を含む)、雨水により土砂等が堆積している道路脇、樹木の根本など)を避ける(東京都環境局 放射性物質が周辺に均一に存在する場合と、局所に存在する場合
  4. 外出先から家に入るときは、ほこりを払って、手洗い・うがいをする

などが考えられます。

 なお、屋外での焼却行為は原則禁止ですが、幼稚園・学校などで、落ち葉を集めて焚き火をする行事などはしてもかまいません。ただし、近隣の迷惑にならないようにご注意ください。

放射線物質に汚染された物

 放射性物質に汚染された物は、廃棄物処理法上の廃棄物ではなく(同法2条)、その処理は特別な法令に従います。

 今回の原発事故で環境中に放出された放射性物質の処理のために、新たに法令が整備されました。しかし、東京都は汚染状況重点調査地域に指定されていません。したがって、東京都内で個人等が除去した放射性物質を含む土砂・汚泥などは、法令上、放射性廃棄物ではありません(環境省 放射性物質汚染対処特措法の概要)。
 なお、土砂は廃棄物処理法上の廃棄物ではなく、中野区でも収集はしていません(資源とごみの分け方・出し方)。

中野区からの転出を検討されている方へ

転出検討先の放射線量などは下記を参照ください。
なお、転出手続きについては、中野区から転出しますが、届け出は必要ですか?にお進みください。

日本各地の放射線・放射能量

日本各地の原子力施設の稼働状況

日本各地の大気汚染・水質汚濁などの状況

世界の放射線量など

内部被ばくを減らす

 放射性物質を含む大気や飲食物を摂取することなどによって体内に取り込まれた、身体の中にある放射線の発生源からの被ばくが内部被ばくです。
 福島第一原発事故以前の、日本の自然放射線からの内部被ばく線量は、1年間におよそ1.5ミリシーベルトです。

一般公衆の内部放射線被ばく防護の3原則

 体内に取り込んだ放射性物質からの放射線を遮へいすることは不可能なので、花粉対策や感染症の予防と同じように、

  1. 放射性物質を皮膚につけない(ついたら洗い流す)
  2. 放射性物質を吸わない
  3. 放射性物質を口に入れない

のが防護の原則です。

 放射性粒子(0.02~30マイクロメートル)は、スギ花粉(およそ30マイクロメートル=0.03ミリメートル)1粒やインフルエンザウイルス(0.08~0.12マイクロメートル)と同じように、肉眼では確認できません。
 しかし、現在も東京都では、降下物に微量の放射性物質が検出されています
 また、山地や海底にも放射性物質汚染は残っており、内部被ばくを減らすには、下記1~6が考えられます。

1.マスクをする

2.外出先から家に入るときは、ほこりを払って、手洗い・うがいをする

3.野菜は丁寧に洗う

 基準値を超えた放射性物質を含む食品は、出荷が制限されます(厚生労働省 食品中の放射性物質への対応)。
 東京都の食料自給率はわずか1パーセントであり、国内外のさまざまな食品を偏りなく摂取していれば、放射性物質の量が健康に影響を与える量になることはないと考えられます。
 現在流通している野菜などの放射性物質は、大気からの付着ではなく、土壌から根などを経由して内部に含まれているので、洗浄の効果は、放射性物質が表面に付いていた頃よりは低下します。しかし、放射性物質を含む土を野菜から落とすことは、放射性物質の除去につながるといえます。

今までに出荷が制限された食品
事故後の食品に含まれる放射性セシウム濃度
事故前の食品に含まれる放射性セシウム濃度

4.茹でて、煮汁は捨てる

 放射性セシウムは、茹でこぼすことにより、半分程度の除染効果が期待できます(放射線医学総合研究所 知のアーカイブ 食品の調理・加工の効果および除染)。
 なお、水溶性ビタミン不足にならないよう、洗いすぎ、茹ですぎにご注意ください(健康づくりを始めよう-1.栄養・食生活編~1)。

5.個人できのこや山菜を採取しない

 一部の野生きのこには放射性セシウムが高濃度に蓄積されることが知られています。市販されている人工栽培きのこは、栽培のための菌床の濃度が低ければ心配ありません(林野庁 野生きのこの採取にあたっての留意点山菜採取にあたっての留意点)。

6.魚釣りをする場合は、出荷や漁が制限されていないか、水産庁ホームページ 水産物の放射性物質調査の結果について を確認する

その他

 放射性ヨウ素・セシウムによる内部被ばくを減らす経口薬はありますが、すべて医師の処方が必要です(PMDA ヨウ化カリウムラディオガルダーゼカプセル)。
 現在内部被ばく検査は医療行為とされていません。したがって、検査結果の解釈や、これに続く代替療法も、医師でない者が実施することが可能であることに注意してください(厚生労働省 個人輸入において注意すべき医薬品等について)。

 現在東京都の水道水は、1日分の測定では放射性物質は検出限界以下ですが、3か月分の水道水を蒸発濃縮させた測定では基準値のおよそ1万分の1の放射性物質が検出されています。しかし、これは1日分の測定の方が検出限界(=測定できる最小の放射能量)が大きいためです。流通しているミネラルウォーターの検出限界も水道水1日分の測定の検出限界とあまり変わらないため、水道水をミネラルウォーターに代えても、放射能量が小さくなるとは限りません。内部被ばくが1年間の実効線量で20ミリシーベルトを超える可能性がなければ、科学的根拠の低い代替療法やミネラルウォーターの代用は、被ばく低減の効果より、副作用や費用などのリスクの方が高いと考えられます(放射性物質への不安につけこむ広告や勧誘に注意)。  

放射線・放射能を測定する

食品・飲料水

 放射線測定器には様々な種類があって、10万円未満で市販されている小型測定器では、食品・飲料水などが基準値以下かどうかの測定はできません。測定したい場合は、民間の検査機関にお問い合わせください。なお、測定した食品などは返却されませんので、厳密には、測定していない食品など(一部を測定した残り)を飲食することになります。
 食品などの放射能量から個人の被ばく線量への換算は、個人被ばく線量を推計するにお進みください。

大気

 アルファ線やベータ線も測れる測定器で大気中の放射線量(シーベルト毎時単位)を測定する場合、アルファ線やベータ線を遮へいしてガンマ線だけを測らないと、測定値は10倍以上高くなることがあります。アルファ線やベータ線の外部被ばくは、実効線量ではなく等価線量とみなせるので、実効線量と比較するには組織荷重係数をかける必要があります(シーベルト参照)。自然放射線レベルの量を正確に測るのは困難なので、日本製の放射線測定器でも15~30パーセントの誤差が許容されています(日本工業規格JIS Z4312)。
 また、測定器には、表示単位が同じシーベルトでも、大気中の放射線量(=場所にかかわる1センチメートル線量当量)用の測定器と、個人の被ばく線量(=個人にかかわる1センチメートル線量当量)用の測定器があります。個人の被ばく線量用の測定器で、大気中の放射線量を測定すると、少し高めの数値が表示されます(日本工業規格JIS Z4511)。
 測定する際は、測定器の性能と操作法を確認して、記録をとるようにしましょう(環境省 生活空間の放射線測定 基礎知識(PDF形式:1,824KB))。

 大気の放射線量から個人の被ばく線量への換算は、個人被ばく線量を評価するにお進みください。

個人被ばく線量を測定・評価する

 内部被ばくした場合に特定の臓器に沈着しやすい放射性物質がありますが、確率的影響実効線量で評価する場合には、実効線量が同じなら内部被ばくによる影響と外部被ばくによる影響とは同じとみなされます。したがって、個人被ばく線量は、自然放射線医療で受ける被ばくを除いた、外部被ばくの実効線量と内部被ばくの実効線量を合算したもので評価します(平成12年科学技術庁告示第5号(放射線を放出する同位元素の数量等)第20条第1項)。
 日本の放射線のリスク評価ICRPに準拠していますが、「合理的」な評価かどうか自分で判断するには、公表されている各種測定値から個人の被ばく線量(実効線量)の推計が必要です。なお、公表されている各種測定値や個人で測定した値は自然放射線を含んでいますので、測定値をそのまま使うとリスク評価は過大評価になります(ただし、自然放射線も細胞を傷つけるので、がん死亡リスクに基づく死亡の推計をする場合は、そのままで可)。
 詳しい推計方法は、放射線医学総合研究所 放射線被ばくに関する基礎知識 第6報 にお進みください。

外部被ばく線量

 外部被ばく線量は、個人用線量計を胸部または腹部に着けて、個人にかかわる1センチメートル線量当量を測定して、評価するのが基本です(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則第20条第2項第1号など)。

 東京都は、平成23年3月14日からの1年間の外部被ばく線量を、大気中の放射線量から0.132ミリシーベルトと推計しています。これは、福島第一原発事故以前の日本の自然放射線からの外部被ばく線量およそ3か月分です(東京都健康安全研究センター 放射能Q&A 健康影響編)。なお、この推計は緊急事態発生時の第1段階モニタリング(環境放射線モニタリング指針42頁)として、大気中の放射線量=実効線量として換算しています(東京都健康安全研究センター 放射能Q&A 放射線基礎知識編)。

 1時間同じ場所で測定し続けなくても、線量率(シーベルト毎時単位)が表示されるのは、数十秒間(時定数が選べる測定器であれば時定数による)に検出した放射線の個数(及び測定器によってはエネルギー)から、測定器内で毎時単位に推計換算しているからです。したがって、線量率を掛け算するより、 積算線量(シーベルト単位)が測定できる測定器をお持ちであれば、その測定器を胸ポケットに入れたりベルトに通したりして、測定器を身体に着け続けて積算線量を測定した方が、正確に個人被ばく線量を推計できます(会津若松市 環境放射線量から計算した年間被ばく量と個人積算線量計の違いは?)。

 なお、放射線作業従事者の多くが測定しているのは、1か月毎の積算線量で、報告される線量の下限の多くは0.1ミリシーベルト(100マイクロシーベルト)です。したがって、四捨五入で1か月あたり0.044ミリシーベルト(44マイクロシーベルト)以下の線量は「被ばくしていないもの」と扱われています。20歳から60歳まで40年働いたとして、放射線作業従事者は最高で20ミリシーベルト以上、測定されない被ばくをしたかもしれませんが、今までの放射線管理上、問題になったことはほとんどありません(労災補償上の基準)。

内部被ばく線量

 内部被ばく線量は、放射性物質の種類と摂取量(ベクレル単位)から実効線量(シーベルト単位)に換算するのが基本です。ただし、個人で食料品の放射能量を測定しても、測定した食料品(検体)は測定のあと廃棄されます。結局測定していない食料品を食べていますし、一般に食べた量も測っていません。したがって、実効線量の推計には多くの仮定をしなければなりません。
 放射性物質の種類や摂取した人の年齢によって、摂取量から実効線量への換算係数は変わります。現行法令では、成人の場合、放射性カリウムと同じ実効線量になる摂取量は、放射性セシウムだとおよそ半分です(おもな放射性物質)。ただし、この換算係数は、1回摂取した場合を想定しています。慢性的に摂取する場合は、実効半減期が異なると、摂取と排泄がつり合って体内で飽和する量は異なります。体重60キログラムの成人の場合、体内の放射性カリウムはおよそ4,000ベクレルで一定です。しかし、放射性セシウムは、放射性カリウムの半分よりも少ないおよそ15ベクレルでも、毎日摂取し続けると、放射性カリウムと同じ実効線量(1年間におよそ0.2ミリシーベルト)になるおよそ2,000ベクレルで一定になります。
 なお、内部被ばくの人への影響はまだわからないことが多く、ICRPとはチェルノブイリ原発事故後の疫学調査の評価が異なるECRR(欧州放射線リスク委員会)は、放射性ヨウ素と放射性セシウムについては数倍から10倍高い換算係数を勧告しています(ECRR2010年勧告付録A:線量係数)。

 「原子が単体な自然放射性物質より、粒子を作る人工放射性物質の方が危険」という意見があります。しかし、現行法令は「実効線量が同じなら人への影響は同じ」とみなしています。例えば、自然の放射性カリウムの原子1個と、人工の放射性セシウムの原子が1千万個含まれている直径100ナノメートルの粒子とを比べれば、確かにナノ粒子は桁違いの放射線を出します。しかし、体重60キログラムの成人の体内にある放射性カリウム(およそ4,000ベクレル)は、原子数に換算するとおよそ2垓(=億×兆=10の20乗)個です。したがって、放射性セシウムナノ粒子に原子が1千万個あるとしても、放射性セシウムナノ粒子を1日およそ2,000個(15ベクレル)以上摂取し続けなければ、放射性カリウムの実効線量を超える体内蓄積量にはなりません(国立保健医療科学院 ホットパーティクル)。
 1ベクレルの放射性カリウム40からは、1秒間におよそ1個、エネルギー1.3メガ電子ボルトのベータ線という放射線が出ます。この放射線は、水中で5.8ミリメートル飛ぶ間に、すべてのエネルギーを水分子に与えて消滅します。放射線はどの方向に出るかわからないので、放射性カリウム原子の周りおよそ200立法ミリメートルの容積が、放射線の影響を受ける可能性のある範囲となります。一方、1ベクレルの放射性セシウム137からは、1秒間に1個、エネルギー0.5メガ電子ボルトのベータ線が出ます。この放射線は水中を1.6ミリメートル飛ぶので、放射線の影響を受ける範囲は、放射性セシウム原子の周りおよそ4立法ミリメートルです。人のからだは、およそ60パーセントが水分ですので、水中とほぼ同じ距離を放射線が飛びます。したがって、体内に入った放射性セシウムの放射線の影響を受ける可能性のある範囲は、放射性カリウムの放射線のおよそ50分の1になります。つまり、放射性セシウムは、放射性カリウムに比べて、範囲は50分の1ですが、その範囲内の細胞に50倍の確率で影響を与えるといえます。細胞1個の体積を0.000001立法ミリメートルとすると、4立法ミリメートルにはおよそ400万個の細胞があります。したがって、放射性セシウムの周り4立法ミリメートル内のすべての細胞は、1ベクレルあたりおよそ50日に1回放射線の影響を受けることになります。ただし、放射性セシウム同様、特定の臓器に蓄積しないおよそ4,000ベクレルの放射性カリウムの放射線は、毎日およそ3.5億個の細胞に、放射性セシウムの2倍以上のエネルギーを与えて続けてきましたが、誕生以来今日まで人類は生き延びてきています。

 東京都は、平成23年3月15日からの9月30日までの大気の放射能からの内部被ばく線量を、0.024ミリシーベルトと推計しています(東京都立産業技術センター 東京電力福島第一原子力発電所事故に係る大気浮遊塵中放射性物質調査報告書(PDF形式:339KB)正誤表(PDF形式:685KB))。国は、平成23年3月からの1年間の食品からの内部被ばく線量を、全国のデータから0.092~0.27ミリシーベルト都内のデータからおよそ0.003ミリシーベルト)と推計しています。
 なお、ECRRの勧告を考慮しても、1年間の内部被ばく線量は0.042~3ミリシーベルトとなります。この量は、福島第一原発事故以前の日本の自然放射線からの内部被ばく線量の、およそ9日~2年分となります。この量・強さによるリスクは、医学的には「気にしなくていい」レベルです(医学上の基準)。

内部被ばく検査

 内部被ばく線量は、体内汚染を評価する内部被ばく検査からでも推定できます。内部被ばく検査には、汚染検査生体試料(尿、血液、歯など)検査ホールボディカウンタ検査などがあります。

 福島原発事故以降、複数の民間機関が測定サービスを行っていますが、費用、測定できる最低放射能量、どのように結果を返してくれるのかなど、検査の内容は様々です。したがって、これらの検査を健康管理に利用したい方は、検査をされる前に、「検査結果は実効線量で報告されるのか」「測定された放射能量から摂取放射能量への換算に使う仮定はどのようなものか」「リスク判定が報告される場合は、そのリスクや判断根拠はどのようなものか」など、自分の知りたいことがわかる検査なのかどうか確認しましょう

健康を管理する

 放射線による遺伝子の突然変異でも、放射線以外の原因による遺伝子の突然変異でも、細胞はがん化する可能性があるので、放射線以外のがん予防は、放射線に対しても有効と考えられます(放射線被ばくとがん)。
 健康の維持・増進には、適度な運動や健全な食生活などとともに、定期的な健康チェックが大切です。中野区で実施している基本健康診査やがん検診などについては、区民健診のご案内にお進みください。

健康について

 WHO(世界保健機関)は、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義しています。現代の日本で、この定義を完全に満たす人がどれくらいいるでしょうか。
 年をとるにつれて、健康に不安を抱える人は増えていきます。しかし、70歳以上のおよそ7割の人は「自分は健康である」と思っています(令和2年度(2020年度)健康福祉に関する意識調査報告書)。これは、病気や障がいなどのマイナスの面にこだわるのではなく、環境に適応して自己実現をしていくプラスの面に着目しているからではないでしょうか(参考:リスクについて)。
 第二次世界大戦後の1946年、健康は個人の権利となりました(日本国憲法第25条)。しかし、2002年に健康を個人の義務とする法律ができて(健康増進法第2条)、行政が個人の健康に介入できることになりました。現在中野区は、「生かされる個性 発揮される力」を基本理念として、中野区スポーツ・健康づくり推進計画(11月16日更新)に基づいて、みなさんがご自身で健康づくりを始めるお手伝いをするプログラムを策定しています。詳しくは、健康づくりを始めようこころの健康づくり禁煙支援プログラムにお進みください。

関連ファイル

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このページについてのお問い合わせ先

健康福祉部 保健予防課 結核・感染症予防係

中野区保健所2階5番窓口

電話番号 03-3382-6500
ファクス番号 03-3382-7765
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