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最終更新日 2022年2月22日
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放射線・放射能・放射性物質ってどんなものですか

放射線・放射能・放射性物質

 放射線とは、物質と反応して電離を起こす力や物質を通り抜ける(透過)力をもった粒子や電磁波で、アルファ線ベータ線ガンマ線エックス線中性子線などがあります。電離を起こす力と物質を通り抜ける(透過)力は反対の関係にあり、電離を起こす力が弱ければ、透過力は強くなります。透過力は、中性子線、ガンマ線・エックス線、ベータ線、アルファ線の順に弱く、アルファ線は紙、ベータ線は薄いアルミ板、ガンマ線・エックス線は鉄・鉛、中性子線は厚い水やコンクリートで放射線の量を減らす(遮へいする)ことができます(環境省 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 令和2年度版)。放射線は、医学分野、農・水産業分野、理工学分野など、多くの分野で利用されています(ATOMICA放射線利用の概要)。
 放射能とは、放射線を出す能力です。
 放射性物質(放射性同位元素)とは、放射能をもった、放射線を出している物質です。放射性物質は放射線を出して違う物質に変化していきます。変化した物質が放射能をもたなければ、放射線は出ません(環境科学技術研究所 サイエンスノート)。

放射線・放射能量の測定

 放射線は、放射線の種類やエネルギー、どんな物質にあたるか、によって、物質と様々な反応(相互作用)を起こします。
 この反応を利用して量を測定しますが、どの反応を利用するかによって、測定する方法や測定する量(単位)は、様々なものがあります(1つの測定器で、全ての放射線をうまく測定することはできない)。したがって、何のために、どんな放射線を測るのか、を見極めたうえで、適切な測定器・測定法を選択しなければ、たとえ何か測定値が得られたとしても、この測定値には「ただ、この測定器の中の放射線を検出する部分と、反応した放射線があった」という意味しかありません。
 なお、自然環境中にも放射線があるので、それを何か(たとえば基準)と比較できなければ、測定値にあまり意味はありません。個人で測定する場合の注意については、放射線・放射能を測定するにお進みください。

大気中の放射線量(グレイ単位)

 大気中の放射線量とは、空気に対する吸収線量(正確には空気中カーマ)のことです(国立保健医療科学院 空気カーマと空気吸収線量ってどう違うの?)。

 国は放射線量の広域的な調査(サーベイランス)・測定(モニタリング)体制を確立しており、東京都では新宿区、江東区、大田区、足立区、江戸川区、八王子市、調布市、小平市の8か所において空間放射線量を24時間連続して測定しています(東京都健康安全研究センター環境放射線測定結果-2月22日更新)。

環境中の放射能量(ベクレル単位)

 東京都は、国の指針に基づき、大気中の放射線量だけでなく、水道水や降下物、土壌、農畜産物に含まれる放射性物質の放射能量も、測定しています(東京都健康安全研究センター 環境放射線測定結果)。

おもな単位

グレイ

 1キログラムの物質に、1ジュールの放射線エネルギーが吸収された場合、その物質への吸収線量を1グレイと表わします。1ジュールは、1キログラムの物体を1メートル毎秒毎秒の加速度で動かすような力(=1ニュートン)で1メートル動かすのに必要なエネルギーで、放射線エネルギーに換算すると1ジュールはおよそ6.2エクサ 電子ボルト(=6200000000000000000電子ボルト)、熱エネルギーに換算すると1ジュールはおよそ0.24カロリー(1気圧で摂氏20度の水1グラムをおよそ0.24度上昇させるエネルギー)に相当します。
 当たる物質によってさまざまな吸収線量が定義できます。
 その放射線の透過力が強い場合、物質を電離させる(物質に吸収される)エネルギーは小さくなり、物質を透過する(物質に吸収されない)エネルギーが大きくなります。 
 放射線による人への有害な組織反応(確定的影響)を評価する場合には、その組織の吸収線量を使います(上記のように電磁波としての放射線自体のエネルギー(電子ボルト)も定義されているが、人への影響を考える上では、組織を透過したエネルギーは差し引く)。

シーベルト

 同じ吸収線量でも、放射線のエネルギーや種類によって、また、どの臓器・組織に吸収されたかによって、確率的影響の発生率は異なります。そこで、確率的影響(がん・白血病の発症および子孫への遺伝的影響)の発生を合理的に減少させるための防護の指標として実効線量が定義されました。実効線量は、標準人の各組織・臓器の等価線量(=その組織・臓器の平均吸収線量放射線荷重係数をかけた線量)に、組織荷重係数をかけた線量を、標準人のすべての組織・臓器について足し合わせた線量です。理論上は、1グレイガンマ線またはエックス線が標準人の全身に均等に吸収された(外部被ばくした)場合に、実効線量が1シーベルトになります
 放射線による人への確率的影響を評価する場合には、間接的に実効線量を使います。なぜ「間接的」かというと、上記の定義から実効線量は「その場所に標準人がいたら受ける線量」なので、人種・性別・年齢・体格が標準人と違う人がいたら、当然受ける線量は異なるからです。つまり、実効線量は、個人の受けた放射線の量を厳密には表さないので、その個人の確率的影響の発生も厳密には表しません。つまり実効線量は、直接的には

  1. 放射線防護の方法を比較するための予測評価
  2. 放射線防護の基準値
  3. 現在の放射線防護の方法が基準値に適合しているか否かの評価

に使う指標です。なお、有害な組織反応が発生するほどの大量被ばくによる確率的影響や、医療被ばくのように特定の部位だけの被ばくの確率的影響は、組織の吸収線量(グレイ単位)で評価します(エックス線検査など医療で浴びる被ばくは健康に影響がありますか)。

 ただし、等価線量が実測できないので、実効線量も実測できません。実測できる線量として、「1センチメートル線量当量」および「70マイクロメートル線量当量」があります。

 実効線量も、等価線量も、線量当量も、単位はすべてシーベルトですが、それぞれの数値を単純に比較はできません。
 今回の福島原発事故では、当初、小児甲状腺がんが心配されたため、甲状腺の等価線量が調査されました。甲状腺の等価線量は、実効線量と同じシーベルト単位ですが、組織荷重係数をかけなければ(20分の1にしなければ)実効線量と比べても意味がありません(FOOCOM.NET「11歳100ミリシーベルト被ばく疑い」の記事をどう読むか)。
 また、同一の放射線に対しては、1センチメートル線量当量のほうが実効線量より大きいので、個人の被ばくを1センチメートル線量当量で評価すれば、安全側(=過大評価=実際のリスクはもっと低い)となります。

 なお、線量当量は「場所にかかわる」ものと「個人にかかわる」ものとがあり、法令は区別していませんが、日本工業規格(JIS Z 4511)では、空間線量を測る目的の測定器と個人被ばく線量を測る目的の測定器とで、異なった線量当量への換算係数を規定しています。

ベクレル

 ある放射性物質が、1秒間に原子レベルで1個違う物質に変化するとき(このとき出る放射線の数やエネルギーは放射性物質の種類によりさまざま)、もとの放射性物質の放射能量を1ベクレルと表わします。従来使われてきた単位にキュリーがあり、換算すると1キュリーは37ギガベクレル(=370億ベクレル)です。
 同じ放射能量でも、放射性物質によって、出る放射線や半減期、蓄積しやすい臓器・組織が異なるため、被ばく線量(実効線量)は異なります(おもな放射性物質)。日本の法令は、放射線従事者の内部被ばくの評価には、放射性物質の摂取量(ベクレル単位)から実効線量(シーベルト単位)を計算するとして、ICRP(国際放射線防護委員会)に準拠した換算係数を規定しています(放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成12年科学技術庁告示第5号)別表第2)。

 なお、国際原子力機関(IAEA)国際放射線単位測定委員会(ICRU)が、地表に沈着した単位面積当たりの放射能量(ベクレル単位)から、地上1メートルでの空間放射線量率(単位時間当たりのグレイ単位)への換算係数を報告していますが、外部被ばくの評価には、その場所で1センチメートル線量当量率(単位時間当たりのシーベルト単位)を実測した方が正確です(個人被ばく線量を推計する)。

接頭語

放射線はエネルギーの範囲がとても大きいため、単位には倍数をあらわす接頭語がよくつきます。

SI接頭語
記号 読み 倍数
E エクサ 100京倍(10の18乗)
P ペタ 1000兆倍(10の15乗)
T テラ 1兆倍(10の12乗)
G ギガ 10億倍(10の9乗)
M メガ 100万倍(10の6乗)
k キロ 1000倍(10の3乗)
h ヘクト 100倍(10の2乗)
da デカ 10倍
d デシ 10分の1
c センチ 100分の1(10のマイナス2乗)
m ミリ 1000分の1(10のマイナス3乗)
μ マイクロ 100万分の1(10のマイナス6乗)
n ナノ 10億分の1(10のマイナス9乗)
p ピコ 1兆分の1(10のマイナス12乗)

f

フェムト 1000兆分の1(10のマイナス15乗)

組織荷重係数

国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告は、14の組織と残りのすべての組織にわけて、組織荷重係数を定義しました。これら15の組織荷重係数をすべて足すと、1になります。

組織荷重係数
赤色骨髄、結腸、肺、胃、乳房 0.12
生殖腺 0.08
膀胱、食道、肝臓、甲状腺 0.04
骨(表面)、脳、唾液腺、皮膚 0.01
残りのすべての組織 0.12

自然にある放射線

 放射性物質は地球が誕生したときから存在しており、現在も、宇宙や地球の空気・地面・食べ物だけでなく、私たちの身体の中にも存在しています。私たちは、宇宙や地面など身体の外にある放射性物質から出る放射線(自然放射線)によって、外部被ばくしています。そして、放射性物質を含んだ食べ物を食べたり、放射性物質を含んだ空気を吸ったりして、身体の中にとりこまれた放射性物質から出る放射線(自然放射線)によって、内部被ばくしています。
 宇宙からの自然放射線量は緯度・高度で変わり、地面からの自然放射線量は地質で変わり、室内空気に含まれる放射性物質は建材や気密性で変わり、どのような食べ物をどれくらい食べるかは人によって変わるので、自然放射線による被ばく線量は地域や人によって異なります。原子力災害などにより屋外に放射性物質が多い場合、建物による遮へいによって、屋内の放射線量は屋外より低くなります。しかし、屋外の放射性物質が少なく自然放射線のレベルの場合、屋内の放射線量は建材に含まれる自然放射性物質の量で決まるので、コンクリート・レンガ・石材などで造られた建物では、一般に屋外より屋内の放射線量の方が高くなります(屋内ラドン全国調査)。
 また、私たちの身の回りには、自然界にある自然放射線だけでなく、人間の手で作り出された人工放射線もあり、医療にともなう放射線によって医療被ばくもしています。
 これらの放射線による日本人1人当たりの1年間の平均被ばく線量は、外部被ばくが実効線量でおよそ0.6ミリシーベルト(600マイクロシーベルト)、内部被ばくがおよそ1.5ミリシーベルト(1500マイクロシーベルト)、医療被ばくがおよそ4ミリシーベルト(4000マイクロシーベルト)です。

おもな放射性物質

1年間に1ミリシーベルトは、自然放射線による内部被ばくのおよそ3分の2で、平常時の公衆の線量限度です(放射線管理上の基準)。

おもな放射性物質
名称 おもな放出放射線 物理的半減期 蓄積臓器 実効半減期

1度に体内に取り込んだ場合、内部被ばく(預託実効線量)が1ミリシーベルトになる放射能量

特徴など
水素3(トリチウム) ベータ線 約12年 全身 約10日 約2,400万ベクレル

宇宙からの放射線と空気が反応して生成し、天然水素に極微量(自然水1リットルに約1ベクレル)含まれる

水素は人体の構成元素の1つ。
核融合発電燃料として研究されている。

炭素14 ベータ線 5730年 全身 約40日 約170万ベクレル

宇宙からの放射線と空気が反応して生成し、天然炭素に微量(約0.0000000001パーセント=1兆分の1)含まれる

炭素は人体の構成元素の1つ。

年代測定に利用される。

カリウム40

ベータ線・ガンマ線

約13億年 全身 約30日 約16万ベクレル

天然カリウムに0.0117パーセント日常食1日分に約50ベクレル)含まれる。

カリウムは人体の必須元素の1つ。

コバルト60

ベータ線・ガンマ線

約5年 全身 約10日 約6万ベクレル

天然生成量は少なく、原子炉・原爆実験で人工的に大量生成される。

コバルトは人体の必須元素(ビタミンB12の構成元素)の1つ。

ヨウ素131

ベータ線・ガンマ線

約8日 甲状腺 乳児約5日
成人約7日

乳児約7,000ベクレル

成人約6万ベクレル

天然生成量は少なく、原子炉で人工的に大量生成される。
ヨウ素は人体の必須元素(甲状腺ホルモンの構成元素)の1つであり、甲状腺疾患の治療にも利用される。
セシウム134

ベータ線・ガンマ線

約2年 全身 約90日

成人約5万ベクレル

天然生成量は少なく、原子炉・原爆実験で人工的に大量生成される。

セシウム137

ベータ線・ガンマ線

約30年 全身

乳児約9日

成人約90日

乳児約5万ベクレル

成人約8万ベクレル

放射線測定器の校正などに利用される。
他はセシウム134と同様。

ストロンチウム90 ベータ線 約30年 約18年

乳児約4,000ベクレル

成人約35,000ベクレル

天然生成量は少なく、原子炉・原爆実験で人工的に大量生成される。

ラドン222 アルファ線 約4日

20~30分

約15万ベクレル

ラジウム226が崩壊して生成される気体。

屋内1立方メートル当たり5~25ベクレルが存在する。

湧水1キログラム当たり74ベクレル以上含まれる温泉を、放射能泉という。

ラジウム226

アルファ線・ガンマ線

1600年 約40年 約450ベクレル

ウラン238(天然ウランの99パーセント)が崩壊して生成され、体内にはほぼ一定量(成人で約1ベクレル)が存在。

湧水1キログラム当たり0.37ベクレル以上含まれる温泉を、放射能泉という。

ウラン235

アルファ線・ガンマ線

約7億年

骨・腎臓

大部分は速やかに排泄

乳児約3,000ベクレル

成人約2万ベクレル

天然ウランに0.72パーセント含まれ、原子力発電燃料として利用される。
プルトニウム239

アルファ線

約2万年

骨・肝臓

大部分は速やかに排泄

乳児約200ベクレル

成人約4,000ベクレル

天然には極微量しか存在しない。

 なお、上表の1ミリシーベルトになる放射能量は、1回に摂取した場合の量です。水素3、炭素14、カリウム40は自然放射性物質として存在し、人は常に摂取・吸入しては排泄しているので、ほぼ一定の放射能量が体内に存在します。放射能量は、体重60キログラムの成人では、水素3がおよそ100ベクレル、炭素14がおよそ2,500ベクレル、カリウム40がおよそ4,000ベクレルと推計されています(環境省 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和2年度版)第2章73頁)。これらによる1年間の内部被ばく線量は、水素3がおよそ0.00001ミリシーベルト、炭素14がおよそ0.01ミリシーベルト、カリウム40がおよそ0.2ミリシーベルトです。
 なお、体重60キログラムの成人が、セシウム137を1日およそ170ベクレルずつ摂取し続けると、体内の放射能量はおよそ2年でおよそ24,000ベクレル(体重1キログラムあたり400ベクレル)で、ほぼ一定になります。そして、このときの1年間の内部被ばく線量が、およそ1ミリシーベルトです。

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健康福祉部 保健予防課 結核・感染症予防係

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