福島第一原発事故に伴う放射線・放射性物質
- 平成23年(2011年)発生した東北地方太平洋沖地震で被災した福島第一原子力発電所は、2050~2060年の廃炉を目指して、さまざまな作業を続けています(経済産業省 廃炉・汚染水・処理水対策ポータルサイト)。
- 農地の除染が進んだので、主要農作物の放射性セシウム汚染問題は、干し柿などの加工品を除けば、ほぼ解決しました。
しかし、生活圏外の山地は除染の対象外で、山地で採れる山菜やキノコ類、山地で暮らす野生動物や淡水魚などには、まだ汚染が残っています。 - 海に降ったり流れ込んだりした放射性セシウムは、大量の海水に希釈され海流によって拡散していきます。平成27年(2015年)以降、基準値を超えた海産種は、平成30年(2018年)に1匹、令和2年(2020年)に1匹、令和3年(2021年)に2匹です(水産庁 水産物の放射性物質調査の結果について)。
- 科学では100パーセントの安全を保障できないために様々な情報が飛び交っており、不安・心配はつきないと察します(放射性物質への不安につけこむ広告や勧誘に注意)。しかし、現在の東京都の環境放射線量は事故以前と大差なく、基準値を超えた食物は出荷が制限されています。さらに、「低線量被ばくで、高線量被ばくより大きな確率的影響は出るはずがない」ということは、現在の科学者の多数意見です(資料)。
- ただし、リスクの受け止め方や、健康のとらえ方は、強制するものでもされるものでもありません。およそ8人に1人は「基準値以内であっても放射線によるリスクは受け入れられない」としています(消費者庁 風評被害に関する消費者意識の実態調査について)。
少しでも放射線被ばくを減らしたい方は 放射線被ばくを減らすにはどうすればよいですか を参考にしてください。
行政の対応
中野区の対応
東京都の対応
国の対応
放射能量の基準値、基準値を超える放射性物質が検出されている食品、放射線に関する基礎知識
放射線・放射能量の測定結果
中野区内の測定結果、東京都の測定結果-12月5日更新、日本全国の測定結果
放射線の人への影響
各種相談先、放射線・放射能・放射性物質ってどんなものですか、放射線を浴びるとどうなるのですか、放射線被ばくを減らすにはどうすればよいですか、エックス線検査など医療で浴びる被ばくは健康に影響がありますか
放射線・放射能量の測定結果
中野区内の測定結果
東京都は、中野区内の農家が露地栽培したナスを令和4年(2022年)9月22日に採取し放射性物質検査を実施しましたが、放射性セシウムは検出されませんでした。詳しくは、東京都のホームページ都内産農林水産物の放射性物質検査の結果についてをご覧ください。
東京都の測定結果
- 国は、令和4年(2022年)2月から3月に、東京都内で、実際に流通する食品を購入し、食品中の放射性セシウムから受ける1年間の被ばく放射線量を0.0006ミリシーベルト(=基準値のおよそ1,500分の1。自然放射線による内部被ばくのおよそ2,000分の1)と推計しました。詳しくは、厚生労働省のホームページ 食品中の放射性物質の調査結果をご覧ください。-12月5日更新
- 国は、令和3年(2021年)11月に、東京湾の海水と海底土を採取し、放射能検査を実施しましたが、測定値は福島原発事故以前の変動の範囲内でした。詳しくは、海上保安庁のホームページ放射能調査報告書をご覧ください。
空間放射線量、降下物・水道水(蛇口水)の放射能量
大気浮遊塵中の放射能量
公共用水域の放射能量
東京港内の放射線・放射能量
農水畜産物中の放射能量
都内産の農林水畜産物中の放射能量の測定結果
都内流通食品中の放射能量の測定結果
下水処理における放射能量
廃棄物埋立処分場の放射線量の測定結果
日本全国の測定結果
- 原子力規制委員会
放射線モニタリング情報(新しいウィンドウで開きます。)
環境モニタリング結果の評価・解析(新しいウィンドウで開きます。) - 国立保健医療科学院
食品中の放射性物質検査データ(新しいウィンドウで開きます。)
食品中の放射性物質の摂取量調査・評価研究(新しいウィンドウで開きます。) - 日本分析センター測定データで見る「過去の出来事」(新しいウィンドウで開きます。)
原子力災害への行政の対応
原子力災害が発生して、国や自治体が放射線・放射能が管理上の基準を超える可能性があると判断した場合、平常に戻ったと判断されるまで、様々な通報手段により必要な情報と、避難・コンクリート屋内退避・屋内退避・飲食物摂取制限・飲食物出荷制限などの指示が住民へ出されます。
噂やデマに惑わされず、近隣の人と情報の発信元を確認して、互いに協力しあいましょう(放射性物質への不安につけこむ広告や勧誘に注意)。
国の対応
原子力規制委員会では、原子力施設立地地域にて大規模災害等が発生した際、直接、原子力施設の状況やモニタリング情報などの緊急情報を、携帯電話にメールでお知らせしています。登録方法など詳細は、緊急時情報ホームページをご覧ください。
放射能量の基準値
基準値を超えた放射性物質を含む食品は、出荷が制限されます(内部被ばくを減らす)。
食品群 | 基準値 |
---|---|
飲料水 | 1キログラムあたり放射性セシウム10ベクレル |
牛乳・乳幼児食品 | 1キログラムあたり放射性セシウム50ベクレル |
一般食品 | 1キログラムあたり放射性セシウム100ベクレル |
なお、自然界には福島原発事故前から放射性物質がありますが、食品中の放射性カリウムは管理の対象外なので基準値はありません(ATOMICA 食品中の放射能)。
また、放射性物質を使用する施設と一般環境との境界の放射線量の基準は、3か月あたり0.25ミリシーベルト(=1年間あたり1ミリシーベルト)です(放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則第14条の7第1項第3号ロ、放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成12年科学技術庁告示第5号)第10条第2項第1号)。
参考
- 経済産業省
原子力発電所外に適用されている放射能に関する主な指標例(PDF形式:206KB)
- 食品衛生に関する相談・情報
- 食品安全委員会食品安全総合情報システム(新しいウィンドウで開きます。)
- 日本生活協同組合連合会 食品の安全Q&A(新しいウィンドウで開きます。)
基準値を超える放射性物質が検出されている食品
現在出荷制限等が行われている食品
これまでに出荷制限等が解除された食品
食品衛生法に違反した食品の回収情報
- 厚生労働省 公開回収事案検索(新しいウィンドウで開きます。)
- 東京都 食品の自主回収情報(新しいウィンドウで開きます。)
- 中野区 食品衛生法違反者の名称等の公表
資料
- 国際原子力機関(IAEA)東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分の安全性に関するIAEAレビュー(日本語・English)(新しいウィンドウで開きます。)
- 国際放射線防護委員会(ICRP)Pub.146 大規模原子力事故における人と環境の放射線防護(新しいウィンドウで開きます。)
国際がん研究機関 原子力事故後の甲状腺モニタリングに関する提言(2018)(PDF形式:1,683KB)(新しいウィンドウで開きます。)
- 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)
2011年東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルと影響に対するUNSCEARの評価(新しいウィンドウで開きます。)
チェルノブイリ原発事故による放射線の影響の評価(English)(新しいウィンドウで開きます。) - 日本学術会議 子どもの放射線被ばくの影響と今後の課題(平成29年9月1日)(新しいウィンドウで開きます。)
- 環境省 放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 令和3年度版(新しいウィンドウで開きます。)‐10月14日更新
- 文部科学省 放射線副読本(平成30年10月改訂)(新しいウィンドウで開きます。)
- 国立保健医療科学院 放射線便利帳(第5版)(新しいウィンドウで開きます。)
- 量子科学技術研究開発機構 放射線Q&A(新しいウィンドウで開きます。)
- 日本原子力研究開発機構 答えます みんなが知りたい福島の今-根拠情報Q&Aサイト-(新しいウィンドウで開きます。)
- 京都医療科学大学 放射線についてお話します(新しいウィンドウで開きます。)
- 内閣官房
低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書(2011)(PDF形式:306KB)
東京都の対応
- 東京都は、最新の防災情報をTwitterで発信しています。詳しくは、東京都防災Twitterをご覧ください。
- その他の対応は、東京都防災ホームページをご覧ください。
中野区の対応
大地震に備えた具体的な取り組み
中野区では、災害緊急情報、地震速報、気象情報、河川水位情報などの情報を、パソコンや携帯電話にメールでお知らせしています。登録方法など詳細は、中野区防災情報メールにお進みください。
なお、令和4年(2022年)10月12日現在まで、中野区内で1時間あたり1マイクロシーベルト以上の放射線量率が測定された場所、および、1時間あたり0.23マイクロシーベルト以上の放射線量率が周辺に均一に存在する場所は見つかっていません(参考:外部被ばくを減らす)。
線量測定への対応
中野区内および東京都新宿区において健康に影響を与える放射線・放射能量は測定されていないので、現在中野区としては食品中の放射能量および空間放射線量は測定していません。
放射能量や放射線量を知りたい場合は、下記検査機関をご覧いただき、各事業所にお問合わせくださいますようお願いします。
検査機関
- 厚生労働省 食品中の放射性物質に関する検査を実施することが可能である登録検査機関(新しいウィンドウで開きます。)
- 農林水産省 輸出食品等に対する放射性物質に関する検査の実施機関について(新しいウィンドウで開きます。)
- 東京都立産業技術研究センター「工業製品の放射線量測定試験」について(新しいウィンドウで開きます。)
- 日本環境測定分析協会 分析機関(正会員)紹介・検索(新しいウィンドウで開きます。)
放射性物質への不安につけこむ広告や勧誘に注意
人間の思考や感情は、人類が地球上に誕生した旧石器時代からほとんど変わらず、私たちは日々のほとんどの「正しさ」の判断を直感で処理しています。そして、私たちの脳は、直感をあとから合理化し、一度固まった意思に反する情報を無意識に避ける癖があります。直感は、原因と結果が1対1で、わかりやすく好まれますが、現代の複雑な社会で原因と結果が1対1のものはほとんどありません。しかも、直感の元になる「正しさ」は1つではありません。「正しさ」には、「自由」「平等」「共同体の伝統」「愛情」「美意識」「民族」「宗教」などがありますが、すべての正しさを同時に実現することはできません(トレードオフ)。各人の「自由」を無条件に認めると、格差が広がり「平等」に反します。「共同体の伝統」に基づいてあるリスクを減らそうとすると、個人の権利の制限という「自由」に反するリスクが増加します。また、「愛情」「美意識」に反するものを「悪=敵」とみなすと、差別・排除・戦争につながり「平等」に反します。ですが、私たちはそのときどきで無意識に「正しさ」を使い分けて、多くのことを直観で処理しています。「正しさ」が対立したときに、直感でなく理性で、より多くの人を幸福にするための「正しさ」が「功利主義」です。直感で不快を感じたときや、直観では決められないときは、他の「正しさ」とどう調整するのがよいか、ゆっくり理性で考えてみてください(参考:健康を決める力 意思決定での勘や経験の落とし穴)。
現在の科学では低線量の放射線による人への確率的影響がよくわからないために様々な情報が飛び交っていますが、
- 個人を攻撃する情報
- 権威を振りかざす情報
- 証明できないから間違っている(あるいは逆に正しい)とする情報
- 都合のよいことのみに基づく(都合の悪いことに触れない)情報
- 因果関係をこじつけた情報
- 中間を考えない(あるかなしか、善か悪かの極論に基づく)情報
- 出典のあいまいな統計に基づく情報
は、「直観」でなく「理性」で考えて取捨選択してください(三重県 科学的な根拠のある情報とは?(PDF形式:1,493KB))。
東日本大震災により生じた原発事故以降、全国の消費生活相談窓口に、放射能に関する相談が、多く寄せられました。例として、放射性物質への不安を抱く消費者に対して、「体内被ばくに効果」「放射性物質を完璧に除去可能」「チェルノブイリ原発事故の際に使われた商品」などとうたう広告や勧誘によるトラブル、放射線測定器をインターネットを通じて購入しようとした際の金銭トラブル、高額な放射線対策商品の訪問販売によるトラブルなどがあります。
なお、内部被ばく検査は医療行為ではなく、医療行為ではない代替療法は、医療機関以外でも実施できます(内部被ばくを減らす)。
また、10万円未満で市販されている小型測定器では、食品・飲料水などが基準値以下かどうかの測定はできません(放射線・放射能を測定する)。
東日本大震災をめぐり、国内のさまざまな団体がさまざまな活動を展開していますが、団体の中には暴力主義的な活動を行う危険性のある団体や、活動に伴って生じた参加者の不利益に対して責任をとらないと明言している団体もあります。真の目的を隠して勧誘する団体もありますので、活動に参加されるときにはご注意ください。
不審に思った場合や被害にあったと思った場合は、消費生活センター、中野警察署、野方警察署にご相談ください。
参考
- BuzzFeed News 原発事故めぐるTBS「報道特集」に波紋。「福島の若者が甲状腺がんで苦しんでいる」因果関係は国連組織が否定、批判も(新しいウィンドウで開きます。)
- 公安調査庁 内外情勢の回顧と展望(令和4年1月)(新しいウィンドウで開きます。)
- Fact Check 福島 福島の未来へ、デマ・差別をストップ!(新しいウィンドウで開きます。)
- 文部科学省 原子力発電所事故等により福島県から避難している児童生徒に対するいじめの状況等の確認に係るフォローアップ結果等を踏まえた対応について(新しいウィンドウで開きます。)
- FNNプライムオンライン 五輪メダリストの花束が放射能汚染?韓国の日本蔑視がもたらすもの(新しいウィンドウで開きます。)
- 講談社 現代ビジネス 防護服を着た子供像「サン・チャイルド」は、なぜ福島で炎上したのか(新しいウィンドウで開きます。)
- DIAMOND online「人殺し」と言われたことがありますか?福島とデマ、6年目の訴え(新しいウィンドウで開きます。)
- 日本都市センター チェルノブイリ事故28年の苦悩と風評被害(新しいウィンドウで開きます。)
- Business Journal【原発避難でいじめ】はなぜ起きたのか 蔓延した福島差別と問われる大人の責任(新しいウィンドウで開きます。)
- 福島民友新聞社
被災地、無意識に差別 生の声聞き実情知る(新しいウィンドウで開きます。)
活動が停滞の“市民団体”「寄付金でもめ」事務所も閉鎖(新しいウィンドウで開きます。) - GEPR
「福島の甲状腺がん50倍」論文に専門家が騒がないわけ(新しいウィンドウで開きます。)
メディアが醸成した「放射能ストレス」—感情的な報道の生んだ人権侵害(新しいウィンドウで開きます。) - なかの区報No.1841(平成23年8月5日号)
2-3頁災害時の情報入手の問題(PDF形式:499KB)
4-5頁正確な情報を手に入れる方法を確認しましょう(PDF形式:321KB)
このページについてのお問い合わせ先
健康福祉部 保健予防課(中野区保健所) 結核・感染症予防係
中野区保健所2階5番窓口
電話番号 03-3382-6500 |
ファクス番号 03-3382-7765 |
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