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最終更新日 2019年9月26日
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エックス線検査など医療で浴びる被ばくは健康に影響がありますか

国は、11月27日水曜日午後1時30分から、CIVI研修センター日本橋において、食品中の放射性物質に関する意見交換会を開催します。申込方法など詳しくは、厚生労働省「これまでを知り、これからを考える~食品中の放射性物質~」を開催します にお進みください。-9月26日追加

病気の診断・治療に放射線は有用です

 エックス線などの放射線を利用した、健診・検診・診断・治療などの医療にともなって受ける放射線被ばくを、医療被ばくといいます(日本放射線技術学会 放射線診療のご紹介)。
 医療被ばくでは、医療を受ける際に被ばくした個人(子どもも含む)が、その医療行為から直接利益を受けるので、個人の線量限度は設けられていません。なぜなら、医療被ばくは、 がんなどの病気や骨折などのけがを、迅速に正確に見つけたり、治療したりするために必要だからです(正当化)。

京都医療科学大学 放射線についてお話します(新しいウィンドウで開きます。)

ICRP Pub.105 医療における放射線防護(PDF形式:638KB)(新しいウィンドウで開きます。)
長崎大学原爆後障害医療研究所 医療の中における放射線の役割を歴史的に教えてください(新しいウィンドウで開きます。)
国立保健医療科学院

医療被ばくを減らすには

被ばくした個人が直接利益を受けるとはいえ、放射線は人の細胞を傷つけます。放射線の医学利用の有効性を損なうことなく、不必要な被ばくを避け、必要な医療被ばくを最小にすることは大切です(トレードオフ)。

首相官邸 医療被ばくの現状(新しいウィンドウで開きます。)

正当化

 医療被ばくにおける正当化とは、放射線診療を実施することによってもたらされる患者・被検者個人の健康状態の改善、あるいは、社会全体の保健上の利益と、被ばくによる損失とを比較考慮し、損失(デメリット)より利益(メリット)が大きいことを確認することです。また、放射線被ばくを伴わない他の代替の医療行為によって得られる利益、ならびに、その医療行為に伴うリスクと、放射線診療のそれらとを比較検討し、代替手技の採用の可能性についても検討します。

 日本では、医療被ばくの正当化の判断の責任は、医療行為を決定する医師・歯科医師にあり、専門団体は様々な放射線診療についてガイドラインを定めています。

日本医学放射線学会 ガイドライン(新しいウィンドウで開きます。)
日本核医学会 ガイドライン(新しいウィンドウで開きます。)
日本放射線腫瘍学会 ガイドライン・勧告一覧(新しいウィンドウで開きます。)
日本歯科放射線学会 インプラントの画像診断ガイドライン第2版(新しいウィンドウで開きます。)

最適化

 医療被ばくの最適化とは、放射線診療を実施するときに、患者・被検者個人および集団の被ばく線量を、放射線診療の価値を損なわない範囲内で最小限にすることです。つまり、最適化とは「線量の最小化」ではありません。線量を下げすぎて、診断できない画質になったら、それは無駄な被ばくになります。求めるのは、診断に必要十分な画質であり、最高の画質ではありません。
 ICRPは、

  1. 患者・被検者について、必要な情報を得られる、または、必要な効果が得られる最小限の放射線被ばくにするまで減らすこと
  2. 放射線診療の目的ではない身体の他の部位の放射線被ばくを、実行可能な限り減らすこと

を勧めています。

 日本では、医療被ばくの最適化の責任は、放射線診療を実施する医師・歯科医師・診療放射線技師にあり、専門団体は様々な放射線診療についてガイドラインを定めています。

日本放射線技師会

医療情報研究情報ネットワーク 最新の国内実態調査結果に基づく診断参考レベルの設定(新しいウィンドウで開きます。)
日本放射線技術学会 診断参考レベル運用マニュアル(PDF形式:3.7MB)(新しいウィンドウで開きます。)

 なお、上記ガイドラインの線量目標値は、医師・歯科医師・診療放射線技師が最適化の判断を下す場合の補足情報です。したがって、「適切な」医療と「不適切な」医療との間の線引きをするものではなく、適切な臨床的判断による場合には、目標値を超える線量も認められます。

国立保健医療科学院 診断参考レベルの意義は何ですか?(新しいウィンドウで開きます。)

インフォームド・コンセント

 インフォームド・コンセントとは、アメリカで生まれた概念で、「医師が患者に対して、受ける治療内容の方法や意味、効果、危険性、その後の予想や治療にかかる費用などについて、十分にかつ、分かりやすく説明をし、そのうえで治療の同意を得ること」をいいます。日本では、対象が拡張され、医師だけでなくすべての医療従事者の義務として、法令にも規定されています(医療法第1条の4第2項など)。
 インフォームド・コンセントは、医療従事者からみれば義務ですが、患者・被検者からみれば「正確な情報に基づいて、自己の責任で医療行為を選択する」という権利です。しかし、「難しくてよくわからないので、お任せします」などと、権利を使わなければ何にもなりません。「正当化最適化の責任は医療従事者にある」といっても、何かあったときにリスクを負うのは、患者・被検者やその家族などです。放射線診療の正当化の判断に納得できない場合は、医師・歯科医師に確認して納得した上で、放射線診療を受けることを決めるようにしましょう。

その他

 短期間に、多くの医療機関にかかると、医療機関ごとに同様の放射線診療を受けることになる場合があります。医療機関を変えるときは、以前に受けた放射線診療の情報をもらう、あるいは、次の医療機関に送ってもらうように、医療機関に頼んでみましょう。
 医療機関の労働組合が、複数の都道府県にまたがるストライキや事業所閉鎖などの争議行為を行う場合は、争議行為予告がされます(あくまで予告であり、争議行為が行われない場合もあります)。詳しくは、厚生労働省 公益事業に関する争議行為の予告をご覧ください。

放射線診療のリスク

放射線診療に伴うリスクには、

などがあります。

日本医学放射線学会 放射線診療事故防止のための指針(新しいウィンドウで開きます。)

日本核医学会 核医学診療事故防止指針(新しいウィンドウで開きます。)
日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業(新しいウィンドウで開きます。)

放射線被ばくによる影響

医療で使う放射線も、原発事故に伴う放射線も、自然にある放射線も、浴びた量や強さが同じならば、人への影響は同じと仮定されています(医学上の基準)。

放射線医学総合研究所 医療被ばくリスクとその防護についての考え方Q&A(新しいウィンドウで開きます。)
国立保健医療科学院 医療での放射線リスクの理解に向けて(新しいウィンドウで開きます。)
ATOMICA 医療被ばくの評価(新しいウィンドウで開きます。)

発がん

 組織・臓器によって放射線の影響の受けやすさ(放射線感受性)は異なります。放射線の影響を受けやすいのは胸腺脾臓骨髄、生殖腺(卵巣精巣)などで、受けにくいのは筋肉、骨、脳などです(ATOMICA 放射線の細胞系への影響)。しかし、がんの原因は放射線だけではないので、放射線の影響の受けやすさだけでは、がんのなりやすさは決まりません。日本人ががんになりやすい部位は、胃、肺、結腸、乳房などです(がん情報サービス 最新がん統計)。

 ICRPが勧告している放射線被ばくによる実効線量当たりの名目リスクは、放射線管理上の基準を導くために、世界の集団の年齢・性別について平均化して算出されています。しかし、医療被ばくを受ける集団は、すでにがんが発生している高齢者が多いなど、健康な人を含めた集団と同じとはいえません。また子宮がんは女性だけに、前立腺がんは男性だけに発生します。また、原発事故に伴う放射線や自然放射線は全身が被ばくしますが、医療被ばくはほとんど特定の部位だけの被ばくです。したがって、医療被ばくによる発がんリスクは、実効線量ではなく、放射線診療別組織別の吸収線量と、その組織・臓器の年齢・性別のリスク値を用いれば、最も良く評価できます(評価例 子ども(10歳・男)が、病院で胸部CT検査を受けました。この子は将来高い確率で肺がんになるのでしょうか?)。

 さらに、複数の検査を受けた場合の発がんリスクは、人体に備わっている修復能力をどう仮定するかによってさまざまな推計ができますが、組織・臓器別にすべての検査の吸収線量を合算して(=まったく修復されないと仮定して)評価するのが、最悪の場合の評価となります。

国立保健医療科学院 検査を繰り返しても大丈夫?(新しいウィンドウで開きます。)
日本放射線技師会 レントゲン手帳(新しいウィンドウで開きます。)

 なお、放射線によるがんも放射線以外の原因によるがんも、遺伝子の突然変異というがん化のしくみは同じと考えられているので、放射線以外の原因によるがんの予防方法は放射線によるがんの予防にも有効と考えられます(放射線被ばくとがん)。

国立保健医療科学院 小児と放射線(新しいウィンドウで開きます。)
ATOMICA 確率論的放射線リスク値(新しいウィンドウで開きます。)
放射線影響研究所 原爆被爆者における部位別のがんリスク(新しいウィンドウで開きます。)

有害な組織反応

各組織・臓器の吸収線量がしきい値を超えた場合、有害な組織反応(白血球の減少や不妊・脱毛・白内障など)が発生する可能性があります。しかし、有害な組織反応の表と、放射線診療別組織別の吸収線量の表(PDF形式:107KB)を比較してみると、放射線治療と、血管撮影を受けた後の皮膚以外には、1回の放射線診療で有害な組織反応が現れることはまずありません。複数の検査を受けた場合には、有害な組織反応の表の組織別に、その組織に被ばく後影響が出るまでの期間に受けたすべての検査の吸収線量を合算して、評価します。

胎児への影響

 ICRPは、1962年に提案した「絶対に妊娠していない時期(月経の始まりから10日間)に放射線診療を行うというルール(=10日規則)」を、1982年以降緩和し、現在、妊婦が受ける医療被ばくについて「胎児の吸収線量が100ミリグレイ(エックス線の場合、胎児の実効線量として100ミリシーベルト)未満なら、妊娠中絶すべきでない」と提案しています。

京都医療科学大学 幸せの実り(マンガ)(新しいウィンドウで開きます。)
ICRP Pub.84 妊娠と医療放射線(PDF形式:1,721KB)(新しいウィンドウで開きます。)

 胎児は日々細胞分裂をしており、母親の服薬や転倒によるリスク同様、放射線被ばくによるリスクも、放射線量と妊娠の時期(週数)に関係します(参考:妊娠と薬情報センター)。
 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会は、ICRPより慎重(=安全側)に考えて、

  • 受精後10日までは、胎児への放射線被ばくで、奇形は増えない。
  • 受精後11日から妊娠10週では、胎児の吸収線量が50ミリグレイ未満なら、奇形は増えない。
  • 妊娠9週から26週では、胎児の吸収線量が100ミリグレイ未満なら、中枢神経障害は起きない。
  • 胎児の吸収線量が10ミリグレイでは、発がんリスクは低い。

としています。なお、「受精後10日までの放射線被ばくで奇形が増えない」のは、この期間に奇形が発生するような線量を受けると、胚が死亡(=流産)してしまうからで、影響がないわけではありません。しかも、月経周期はおよそ28日なので、母親本人が妊娠に気付かないうちに流産してしまう場合もあると思われます。妊娠を希望される女性の方は、自分自身で月経との関係を常々念頭においておきましょう。

産婦人科診療ガイドライン-産科編2017((新しいウインドウで開きます。) 67-70頁 CQ103 妊娠中の放射線被曝の胎児の影響についての説明は?

 有害な組織反応の表と、放射線診療別組織別の吸収線量の表(PDF形式:107KB)を比較してみると、1回の放射線診療で、胎児に有害な組織反応が現れることはまずありません。胎児の出生後の発がんについては、胎児の容積が小さいので、胎児のすべての組織・臓器の吸収線量の代わりに胎児の吸収線量と、0歳の性別のリスク値を用いれば、最も良く評価できます(評価例 子ども(10歳・男)が、病院で胸部CT検査を受けました。この子は将来高い確率で肺がんになるのでしょうか?)。
 複数の検査を受けた場合には、成人の評価と同様に、有害な組織反応については、有害な組織反応の表の組織別に、その組織に被ばく後影響が出るまでの期間に受けたすべての検査の吸収線量を合算して評価し、発がんについては、妊娠中のすべての検査の胎児の吸収線量を合算して評価するのが、最悪の場合の評価となります。

国立保健医療科学院 妊娠しているときの放射線検査は安全なの?(新しいウィンドウで開きます。)
放射線影響研究所 成長・発育への影響(新しいウィンドウで開きます。)
ATOMICA 胎児期被ばくによる影響(新しいウィンドウで開きます。)

医療被ばく線量の推定

 放射線診療で被ばくする線量は、対象となる人の体格や部位(頭部・胸部・腹部・全身など)、検査・治療の方法、使用する機器などで異なりますが、およそ放射線診療別組織別の吸収線量の表(PDF形式:107KB)のとおりです。
 2020年4月1日から、一部の機器を用いた医療被ばく線量の記録と管理が、医療機関に義務付けられます。詳しくは、保健医療科学院 No. 388 患者が受けた線量の記録と管理にお進みください。-7月9日追加
 もし、診療後に、実際に受けた線量を知らされた場合には、この表から換算してください。また、この表に当てはまる検査・年齢がない場合は、日本放射線技師会 医療被ばくガイドラインを参考にしてください。

<換算例>
 腹部CT検査を受けて線量が「8ミリシーベルト」だった場合、表から実効線量が20ミリシーベルトだったら結腸線量は30ミリグレイ(結腸線量は実効線量の1.5倍)なので、今回の検査による結腸線量は8×1.5で「12ミリグレイ」です。

 なお、実効線量は、いろいろな検査間や装置間、自然放射線他のリスクなどとの比較による間接的な影響評価に使います。たとえば、心臓血管治療を1回受けたときの放射線被ばくによる影響は、表より実効線量でおよそ140ミリシーベルトなので、死亡リスクは喫煙の20分の1ほどで、「塩分の取りすぎに気をつけてください」というレベルです。

 放射線治療と核医学検査以外の検査に使われるエックス線のエネルギーの範囲では、吸収線量は入射表面線量(=エックス線が入ってくる側の皮膚の吸収線量)が最も高く、入射表面から遠くなるに従って吸収線量は低くなります(いちばん低いのは、射出表面線量(=エックス線が出ていく、入射の裏側の皮膚の吸収線量))。そこで、単純撮影と血管撮影の医療被ばくガイドラインは、入射表面線量を、被ばくを知る指標として用いています。ある臓器の吸収線量は、その臓器の位置に測定器を置いて測定することが不可能なので、人体模型コンピューターを使った計算などを用いて推定しています。
 なお、上記の表では、CT検査では皮膚より他の臓器の吸収線量の方が高くなっていますが、これは入射表面線量と射出表面線量を足したものに、皮膚全体のうちエックス線の当たった表と裏の部分の割合をかけて、皮膚全体の平均吸収線量として表わしているためです。CT検査では、身体の回りをエックス線発生器がぐるぐる回りながらエックス線を当てていくため、エックス線が入る皮膚面が次々に変わっていきます。そこで、CT検査の医療被ばくガイドラインは、「CTDIvol」という線量を、被ばくの指標として用いています。

国立保健医療科学院 核医学検査で受ける放射線の量はどうやって推計するのですか?(新しいウィンドウで開きます。)
放射線医学総合研究所 WAZA-ARIv2-CT撮影による被ばく線量を評価するWEBシステム-(新しいウィンドウで開きます。)
日本放射線技術学会 X線診断時に患者が受ける線量の調査研究報告(新しいウィンドウで開きます。)
秋田県診療放射線技師会 被ばくポケットガイド(新しいウィンドウで開きます。)
茨城県診療放射線技師会 EPD(新しいウィンドウで開きます。)
日本放射線公衆安全学会 さらにわかりやすく医療被ばく説明マニュアル(新しいウィンドウで開きます。)
フィンランド放射線原子力安全センター PCXMC‐X線検査における患者線量を計算するためのモンテカルロ法によるPCプログラム(English)(新しいウィンドウで開きます。)

エスエス技研株式会社 診断X線による患者の入射表面線量計算プログラム(新しいウィンドウで開きます。)

関連ファイル

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