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最終更新日 2021年8月23日
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オンライン講演会「子どもの権利を考える~子どもにやさしいまちづくり~」を開催しました

日時

令和3(2021)年8月23日(月曜日) 10時から11時30分

開催方法

「ZOOM」を利用したオンライン開催

講師

東京経済大学現代法学部教授・弁護士(元中野区子どもの権利擁護推進審議会会長)
野村 武司 氏

内容

  講演会では、「子どもとは何だろう」というところから始まり、子どもの権利を守るための仕組みや取組について、様々な切り口からお話をしていただきました。

子どもと子どもの権利

子どもについて考える

 医師であり、孤児院の院長として、また、教育者として、生涯を子どものために捧げたポーランドのユダヤ人コルチャック先生は、「子どもはだんだん人間になるのではなく、(生まれながらに)すでに人間である。理性に向かって話しかければ、それに応えることもできるし、心に向かって話しかければ、感じることもできる。」という言葉を残しました。

 子どもの中で最も小さい「赤ちゃんってなんだろう?」と考えてみます。おおよそ妊娠二ヵ月の頃からつわりが始まりますが、つわりは、赤ちゃんがお母さんのお腹に宿ったその時から、すでに個として存在していることを伝える時期であり、サインなのではないでしょうか。 赤ちゃんが食べ物を選んでいるとすれば、 「ぼくは今、食べたくない。」そう言っているのだという話です。赤ちゃんとお母さんは「一心同体」と言われることもありますが、すでに宿ったときから、まだ未発達だとはいえ、お母さんとは別の人間としてそこに存在しているのです。

子どもの権利条約

 子どもの権利条約は、子どもたちがどこに生まれようとも、一人の人間として必要な権利を享受することを示し、その保障を締約国に義務づけています。報告・審査制度を採用し、締約による条約の実施を確実なものとしています。1989年11月20日に国連総会(第44会期)において、全会一致で採択されました。この条約は締約国・地域が最も多い条約で、現在196の国と地域が締結しています。日本が批准したのは1994年(158番目)です。

子どもの権利ってなんだろう

 子どもの権利条約に定められている子どもの権利はたくさんあります。国連子どもの権利委員会は、条約の原則として、

  1. 差別の禁止(第2条)
  2. 子どもの最善の利益(第3条)
  3. 生命、生存、発達に対する権利(第6条)
  4. 子どもの意見の尊重(第12条)

の4つを挙げています。

その中でも第12条「子どもの意見表明とその尊重」は、子どもの権利の中で最も重要な権利であると言われています。それは、いくら「子どものために」と思って何かをしても、それでは保護の「客体」になってしまうからです。そうではなく、子どもを権利の「主体」として位置づけるには、「子どもの意見表明とその尊重」をベースに置くことが最も大切な要素になるのです。

子どもの権利ってなんだろう?-具体的に考える

 いじめに悩んでいる一郎くんとその周りの大人たちの事例です。

 けんたくんからのいじめに悩む一郎くんは、我慢できなくなったある日、お母さんに「誰にも言わないでね。」と言って打ち明けました。しかし、心配したお母さんはついお父さんに相談します。お父さんは一郎くんに「強くならないとダメだ!」と叱咤激励。お母さんは、相変わらず元気がない一郎くんを心配して学校の先生にも相談しますが、先生がけんたくんに事情を聴いてみたところ、けんたくんは「いじめなんかしてない。」と言います。そのため、先生は二人に対し「仲良くするように。」と指導する一方、一郎くんの両親に対しては、「いじめはなかったのではないか。」と話します。しかし一郎くんのお父さんは「そんなはずはない。けんたくんとけんたくんの両親と話したい」と言いだし、両家庭が話をする場が設けられることに。大人同士が集まるとさあ大変です。一郎くんは「てつやくんも見ていた」と言います。そこで、てつやくんも話の場に呼び出しますが、てつやくんは「ぼく・・・知りません。」と言います。

 さて、これは、一体誰のどんな対応が問題なのでしょうか。みんな「一郎くんのために、良かれ」と思って行動したのです。しかし、それぞれが考える解決イメージが微妙にずれていました。お母さんは相談によって、お父さんは本人を叱咤激励して、先生は話し合って謝罪させることで解決しようとしました。つまり、それぞれが考える一郎くんの「最善の利益」にずれがあったのです。では、何が足りなかったのでしょうか。

 そうです。ここには一郎くんの解決イメージがありません。一郎くんがどうしたいのか、誰もきちんと聴けていません。大人は日々「子どものために」と思って様々なことをしますが、実はそのとき、子ども自身の思いや考え、意見が置いてけぼりになっていることがあるのではないでしょうか。子どもの意見表明が子どもの権利の4つの一般原則の中でも最も大事だと言われている理由がこの事例からも分かります。

子どもにやさしいまちと子どもの権利条例

日常的に子どもの権利を保障する

 日常的に子どもの権利を保障するためには、「子どもにやさしいまちづくり」が必要です。そのために、区や区の育ち・学ぶ施設、地域、家庭が協力し合って子どもの権利保障を進めます。さらに、区は、推進体制を整え、子ども計画を作り、これを総合的に推進します。

 また、施策の推進においては、検証組織を設け、施策がきちんと推進されているかを検証したり、子どもの相談・救済機関を設け、子どもの権利救済やそこから出てきた課題の検討を行により、子どもにやさしいまちの実現を図っていくことが大切です。

子どもの相談・救済

子どもの相談・救済の仕組み

 子どもの相談・救済とは、子どもからの相談に応じ、子どもの思いや考え、意見に沿って、子どもにとって最も良い方法を一緒に考え、これを代弁し調整等を行い、問題の改善・解決(救済)を図ることです。また、子どもからの相談または相談員の自己発意を通じて制度上の問題を発見し、権利侵害が起こらないように制度改善を促していく仕組みでもあります。

 具体的には、まず子どもの話をよく聴き、子どもと一緒に考え、必要な調査を行います。そのうえで、子どもが「やっていい」と思えるやり方で解決します。また、調整を図る場合は、例えば相談員が単独で、もしくは子どもと一緒に学校へ出向いたり、家族間や関係する機関の話を聴いたり、多種多様なかたちで行われます。調整だけではうまくいかない場合などは、主に行政機関に対して要請・勧告を行ったり、制度を改善する必要があるような場合には、相談員が自己発意で問題を提起したりすることもあります。

 実際の運用の中で大切なことは、「困ったときにいつでもおいで」というメッセージを出すことです。「権利侵害からの救済」と言っても、子どもが自分自身の問題を整理して言葉にするのはとても大変なことです。また、困っている子どもは自分は何の問題で困っているか分からずに困っていることもあります。「なんかつらいな、困ってる、もやもやするな」というときに「いつでも相談にきていいからね」というメッセージを出すことがとても重要です。

おわりに

 中野区子どもと子育て家庭の実態調査の結果からは、中野区の子どもの自己肯定感が比較的低い状況にあることや、学校以外で何でも相談できる場所の利用意向が高いことから、子どもの相談の場や安心できる居場所を整備する必要性があることが分かります。

 講師の野村先生は、「策定に向けて検討が進められている(仮称)中野区子どもの権利に関する条例を出発点にして、『子どもにやさしいまちなかの』を作ってもらいたい。」と語り、講演は締めくくられました。

講演会チラシ
(講演会チラシ)

  講演会の様子
   (講演会の様子)

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