第3回 これからの中野の教育検討会議 会議要旨

ページID:828530562

更新日:2023年8月3日


 開催日時

 平成21年8月31日(月曜日) 午後7時3分~午後9時2分
 開催場所 中野区役所 教育委員会室
出席者委員葉養正明、藤井穂高、伊藤亜矢子、西村彰史、長谷川嘉昭、大野道高、桜井多加子、金沢美代子、高木基行、野呂文広、牧井直文、鈴木由美子、竹内沖司、田辺裕子、寺嶋誠一郎、喜名朝博、合川昭、吉村恒治
(敬称略、順不同)
事務局企画財政担当、学校再編担当、統括指導主事
傍聴者1人
 会議次第【議事】
1 中野の目指す人間像について
2 中野区における連携教育について
3 その他

1 開会

会長
 定刻になったので、検討会議を開会する。本日も、9時を目途に検討会議を進めたいと思う。


2 議事

◆議事(1)中野の目指す人間像について、(2)中野区における連携教育について

会長
 これまでの検討会議での意見を事務局が取りまとめた資料について、説明をお願いしたい。

 資料1「これまでの検討会議での意見の取りまとめ」により説明。

会長
 内容について、質問・意見があればお願いしたい。

委員
 学力調査の結果を見ると「書く力」が小学校1年生で落ち込んでいるとあるが、小学校に入るときまでに勉強しておく目標があるのか。また、幼稚園などの取り組みの違いによって、小学校入学時に既に差が生じているのか。

委員
 特にそういうことはない。小学校に入学してから個々の差が生じている。

委員
 小学校に入学するまでには、例えば幼稚園のうちに自分の名前や平仮名だけは全部覚えておくように保護者へお願いなどしていないのか。

委員
 そういうことはない。
 2年生のテストは、1年生の内容になっている。そういうことからすると1年間で既に差がついているということになる。

委員
 小学校に入学する前に、こういうことができたらいいというような目安があると保護者は安心すると思う。

会長
 幼稚園には幼稚園の文部科学省がつくった教育要領がある。それがある意味で小学校に入る前につけてほしい学力ということになるが、幼稚園においては義務ではない。

委員
 そういうことを親は知っているのだろうか。

委員
 幼稚園の教育要領には文字を読んだり書いたりするということではなく、興味を持つということなので、小学校1年生で初めて平仮名に出会うことになる。

委員
 その時点でもう差がある。

委員
 確かに幼稚園でも絵本を読むお子さんもいるし、名前を書くお子さんもいる。公立幼稚園ではそれを取り立てて教えるということはないし、教育要領にもない。

委員
 小学校では、入学前に保護者への説明会を行う。その場で名前だけは最低限読めないとスムーズに学校生活に入っていけないので、自分の名前を判別できるようにしてほしいと保護者にお願いしている。幼稚園や保育園の先生との話では、現実問題として、私立幼稚園などでは文字の学習が非常に増えてきているという。一昨年ぐらい前に保育園の方から「保育園にも文字の学習を進めてくれないかという保護者からの要望が入ってきているが、学校はどう考えるか」と問い合わせがあり、「文字の識別だけでいい」ということで答えた。現実面では、小学校に入学してからの進度が個々によって変わっている。保育園などに行かないで学校で初めて集団生活に入ってくるお子さんもいるので、進度というのは当然変わってきている。

会長
 家庭教育の問題と絡むところだが、ある意味で家庭教育が子どもの学力格差につながっていると思う。ただ、幼稚園が義務ではないので、幼稚園によって取り組みがさまざまである。自由保育ということで、しつけよりむしろ遊びが幼稚園での一番重要なことだということで、それを理念としてやっている幼稚園もあるだろうし、かなり学習的なことをやっている幼稚園もある。
 また、幼稚園ではなくて保育所に行かせている家庭や保育所・幼稚園に行っていない家庭もあり、就学前の段階というのはかなり違っている。そういう意味では、その段階においてある程度の対応を、どのようにしていくかという課題はある。また家庭というのは民法上も私事の空間という位置づけになっているので、親の養育権が法律的に非常に強いものになっていて、そこに社会が踏み込むことに抑制的になっている。そこがドメスティック・バイオレンスの問題や児童虐待など見えないところでもあり、家庭の根幹に関わることなのでなかなか難しい。

委員
 「町会による通学の見守りなどにより、子どもたちと町会の方とのコミュニケーションはとれているが、保護者とのコミュニケーションはとれていない。」とあるが、保護者とだれのコミュニケーションがとれていないのか。

事務局
 ここでは地域の方と保護者の間のコミュニケーションが余りとれていないというような意見があった。

会長
 次に連携教育についての資料が用意されているので、説明をお願いしたい。

 資料2「中野区における異校種間連携の現状」及び資料3「連携から連携教育へ、連携教育から一貫教育へ」により説明。

会長
 まず、学校長の立場から、この異校種間連携も含め、連携を進めている立場での良い点や課題となる点についての話をいただきたい。

委員
 連携教育というと、学校間の連携、地域と学校との連携などいろいろな側面がある。特に学校間の連携については、今までずっと校長会でも議論してきているが、校長会の中での意見は、いわゆる一貫教育ということではなくて、本区の場合は連携教育を進めていくほうが、実態に合っているのではないかということだった。
 また、特に一貫校については、今いろいろな話で出ているところであり、全部の学校を一貫校にするわけにはいかないので、この資料3にもあるが、いわゆる行政サービスの公平性という視点から、特定の学校を一貫校として立ち上げるのは、中野区の考え方には合わないだろうと思っている。資料3に出ているような一貫カリキュラムについて、いろいろな学校でそういう視点で考えていくのはいいと思う。しかし、一貫校をつくるということは、学校選択制に結びついていくわけで、本区では学校選択制を導入しておらず、学校選択制を導入した自治体でも、再検討していくような動きも最近出てきている。中野区は中野区独自のやり方でやっていったらどうかというのが今まで中学校校長会で議論してきた内容である。

委員
 先駆的な取り組みもしてきたことは事実である。私も体力向上のために小中一貫のカリキュラム作成などを担当したので、それは価値があることだし、中学校教員の小学校授業への派遣も体力向上の中で一生懸命やってきた。それは意味があることだが、広まらなかったし浸透もしなかった。やはりそこだけで終わっていることが、一番の欠点ではないかと思う。現実に現在小中学校で行われているのは、教員間交流にとどまっている。私どもとしては、子どもたちが中学校へ進学して、「小学校で何を勉強してきたのか」と言われるのが一番困る。小学校から中学校への引き継ぎは不可欠であり、そこからの連携は、20数年前から学校間同士の共通事項として「小中連絡協議会」という形で自然発生的に出てきている。あとは各学校の特性によって、例えば吹奏楽部とブラスバンドがあるから交流的なことをやってみようという学校や地域清掃活動で小中学校一緒にやろうという学校などがある。地域の持つ特性に合わせて学校同士で対応しているというのが現実だと思う。
 昨年の地域連携の検討の中では、地域の中学校区を原則として連携していくという話に対して、課題が多すぎるので、この形で来年からやるというのは相当厳しい現実がある。また、町会が複数の中学校の通学区域になっていたり、小学校から複数の中学校に進学するところもあるので、一概にこれがいいからやろうというわけにはいかないと思う。

委員
 幼稚園の場合、一つは公立の割合が非常に少なく、特に中野の場合、現在でも約3%で、来年以降になるとそれがさらに半減するので、公立学校がどういう役割を果たしていくかが課題だと思う。もう一つは、小学校の小規模化にともない小学校が統合され、今まで地域の核としてきた小学校で地域のいろいろな取り組みの中で、幼稚園も一緒にやっていくという形があったが、小学校がなくなったことで核になるところが作りにくくなってきたと感じている。幼稚園としても地域のいろいろな行事に参加させていただくが、そこで小学校とのつながりがすごくつきにくくなってしまったと感じている。地域の方々は地域に対する思い入れがとても強いということも感じた。
幼稚園の場合には、物理的な距離をすごく感じており、小学校との連携をどういう形でやろうかというのは正直言って、今でもまだ検討段階にある。ただ、中学校とは実際に行き来があるので、さまざまな形で交流などが図れていると思う。今後は地域や小学校、中学校との連携を工夫していくことが課題ではないかと思う。その中で公立幼稚園としての役割についても、考えていかなくてはならないと思う。

委員
 話を聞いていて、連携の場合はやはり手間暇がかかる。連携の相手とあわせたり、調整しなくてはいけないこともある。その手間暇をかけるメリットのようなものがどこにあるのかを学校でしっかりと理解できていないと、単に面倒くさいというだけになってしまうと思う。幾つか思い浮かんだ事例だが、小学校と中学校が隣り合わせのところがあって、小学校の学校長が新しく変わり、「うちは連携は一切やらない」と宣言してしまい、それでその学校長がいた3年間は、すぐ隣に中学校があっても、全く連携がなかったというような学校があった。また、小中一貫教育を打ち出している市で、一貫教育のために中学校に非常勤の教員を配置しところ、その非常勤の教員が小学校に教えに行っていたという事例もあった。違う市では、やはり小中一貫教育を始めたが、中学校の教員が一貫教育ということで、小学校の様子を見に来て、「またこういう子どもを中学校に進学させるのか」と言って怒って帰っていったというようなこともあったようだ。小学校でも幼稚園のことをよく知らない教員が「幼稚園はあいさつも教えないのか」などというようなことを話していたこともあった。このようなところでは、基本となる相互理解がうまくいっていないと感じた。
この資料3のとおりだと思うが、最初にやはり相互理解が必要だと思う。先ほどの小学校1年生の読み書きもそうだが、幼稚園や保育園は、読み書きに対して抵抗があって、幼稚園は幼稚園、保育園は保育園で教育目標があるので、それを十分に達成することが小学校にとってもいいことだという考え方をもっている。そういうことでお互いの教育をしているという相互理解がないとなかなか難しいかなという感じを受けた。資料3に「取り組みのステップ」というのがあるが、「相互理解」というのがステップとして最初にあって、その上で連携によるメリットがあるということで、例えば合同研究会や研修をやっているが、そういったものは実際に参加される先生方はとても勉強になると言っているので、そのメリットがよくわかればうまくいくと思う。やはり異校種間の文化の違いは大きいと思う。

委員
 小中一貫教育はすごく難しいと思う。一つは、何のために一貫教育をやるのかをはっきりしないといけない。私学などはそれをはっきり決めて教員も交流してやっているので明確だが、公立が一貫教育することの理念を相当考えないと本当はいけないと思っている。その一方で、私学の中高一貫校が非常に増えている中で、小中あるいは中高をどう公立の学校で一貫していくかを考えていくと非常に複雑な問題だと思っている。
 それとは別に今度は子どもの側に立ったときに、今出てこなかった議論として発達ということを心理学の専門なので考えてしまう。発達段階を考えると、小学校の1・2年生は幼稚園の年長の子どもと発達的に割と近いものがあり、5・6年生と中1はやはり近いものがあるということも言えるような気がしている。他区の例であったが、3・6・3制というのを、そういう発達段階を考えて、あえて組み直すというのも一つの理念だと思う。そのことは小学生や中学生の子どもたちにとてもメリットがあるかもしれないとは思う。でもそれもよく考えないと、後期2年を確保するのは単に進学校みたいな感じにして私学と争うためとか、中学の終わり2年で頑張ったとしても、もはや高校から入れる学校がないなどいろいろなことがあるかもしれないので、やはり理念というか、「今何で一貫教育をするのか、そのことによって何ができるのか、何が犠牲になるのか」ということは相当よく議論していただきたいと思う。

会長
 PTAでこういう問題について議論されたことはあるのか。

委員
 一貫教育について、立地条件からあそこがなるのかなど、根も葉もないうわさが父兄の方から出てきている。
今年から、中学校区を中心として幼稚園・保育所、小学校や地域の方などが集まっての話し合いを4月に行ったが、第1回目の会議は何をしていいのかさっぱりわからない会議だった。2回目には、幼児、小学校、中学校と分かれて、それぞれ地域の問題点を議論しようということになったが、問題点を出したはいいが、それをどこに持っていってどう解決していくのか、行政の方からの説明を何回聞いてもよくわからない。何をどのように我々は手伝っていけばいいのかわからなかった。中学校区を中心にグループ化しても、モデルケースがないと見えてこない。そういう問題を抱えながらこの連携教育がどうなるのだろうと思っている。

委員
 子どもたちにとっての小中一貫の一番のメリットというのは何なのか、小中でも中高でも一貫にすることによって、ふだんの日々の生活の中で子どもたちにとっていい点がちょっとわからない。小中学校、幼稚園もそうだが、スポーツでは割と交流が行われていたりするような気もする。ミニバスやサッカー、少年野球だと、幼稚園や小学校そのものは中学の部活でなく、地域のクラブチーム的なものでやっている。それぞれの小学校や中学校に入学してきたときに、出身学校は違っても1年生からしっかり仲良くやっているというケースもよく見るので、そういったスポーツや文化の方面から交流ができるのではないかと思っている。
 なお、PTAとして小中一貫教育や連携教育に関しては、一度も議題に上げたことがない。

会長
 少し広域的な地域を対象に活動されている児童委員や青少年地区委員の立場から、こういう問題についてはどのように考えているか。

委員
 小中一貫というのは今まで余り考えたことがないが、私個人の意見としては、やはり小学校は小学校、中学校は中学校で、その連携をうまくしていけばいいのではないかと思う。
 資料3に「連携する学校をグループ化する」とあるが、この間私も中学校区地区懇談会についてすごく疑問に思った。この懇談会は前にあった地区教育懇談会と似たようなものだが、具体的に何をやるか決まっておらず、それぞれの地区の懇談会に任せるというような説明を受けただけで、この間の懇談会はまとまりがなかった。次世代育成委員を任命するにあたって、次世代育成委員の役割などもはっきりしていなかった。中学校区の地域の幼稚園、学校関係者や青少年地区委員などが集まって懇談会をやる意味が余りないように思う。

委員
 私も連携教育はよくわからない。スポーツや町会の行事に関しては、特にスポーツなどでは、うちの息子はもう大人になっているが、ほかの地域の中学校と野球をやっていたので、野球を通じてコミュニケーションを持っていた。成人した今でも、飲み会などの付き合いをしているらしい。結構試合があって、お酒を飲んだりしている。
 町会自体では、郷土芸能やスポーツを通じて子どもたちの縦ではなく、横のつながりが結構多いのではないかと思う。

会長
 具体的にどうこうするということについては余りイメージが浮かばないようなので、他自治体における連携教育等の取り組み状況について、資料4に基づき事務局から説明をお願いしたい。

 資料4「他自治体における連携教育等の取組み状況」により説明。

会長
 ほかに過疎地だと小中併設校という学校がある。3週間ぐらい前に高知県の土佐町に行ってきた。一つの小学校の敷地の中に中学校の体育館を併設しただけで、校舎そのものは子どもの数が減っているので小学校の建物で全部おさまる。そこは小中併設校だが、学校長は1人になっていた。併設校というのは小学校と中学校が分離していて、制度的には分離しているため学校長2人というのが多いが、その学校は学校長を1人にして、校長ポストを主幹のポストに転換してもらったと言っていた。そいうことで副校長が2人、主幹が1人で、建物が完全に一体化していて、職員室に小学校と中学校の先生が一緒にいた。小学校と中学校の文化には違うところがある。例えば生徒指導や、小学校は全科担任制だが中学校は教科担任制なので研修が違う。中学校は教科ごとに研修をやっているが、小学校はそういうパターンになっていない。いろいろ苦労はあるようだが、一応中学校の経験を積んできた学校長が小学校部分も含めて9年間の学校長をやっている。そういう併設校というのは過疎地にはかなりある。子どもの数が小学校だけだと20人程度とか、中学校だと5、6人しかいないとか、そういうことがあるのでそれはどうしようもない。
 また、一貫校というのは、品川区より呉市の方が確か早かったと思う。今20自治体ぐらいが小中一貫教育全国連絡協議会という組織をつくって、義務教育学校という新しいネーミングの学校類型を学校教育の中に制度化すべきだという運動をしている。ただ、ある種の構造改革なので、政権交代が起きるとそういうのが果たして前進するかどうか全くわからない。恐らく併設校まで入れると全国で100や200ぐらいの自治体にそういう学校があると思う。過疎地の場合はみな少子化の影響で、小規模化してもう単独で成り立たないので一緒になる。新学習指導要領では、英語が小学校5、6年に入ってくるので、中学校の英語の先生が小学生に教えた方が効率的になる。同じ建物の中にいたほうが効率的だということで幼稚園も一緒にしているところもある。青森の東通村では幼稚園、小学校、中学校、高校まで入れて、幼小中高一貫の学校にしている。いろいろ止むに止まれぬ事情もあって、進めているところである。
 だから、中野区で考える場合にやはり「ねらい」なんだと思う。品川区の施設一体型の小中一貫校の「日野学園」をつくる準備に私も関与していたので大体わかるが、一貫校ということで、品川区では今4・3・2という区切り方でやっているが、それを区切るのが最初はとても問題だった。5で切るのがいいのか4で区切るのがいいのか。検討の中では、一貫だから9年間を通していくのがいいのではないかという意見もあった。また、子どもは小学校6年間はいやに長くて、中学校3年間はすぐ終わってしまうという感覚だと思うので、6年が9年まで延びたときに、それでいいのかという議論をしたような記憶がある。それで、せめて節目ぐらいは入れるべきだということから、6・3制を4・3・2制に切りかえるが、そこを完全な溝にしないような一貫校にしていくべきだということになったと思う。果たして一貫校として4・3・2制がベターであるかどうかも、これは研究する必要はあると思う。高校まで持っている私学では4・4・4制をとっているところもある。節目を入れるときにどういうふうに入れるかということ自体はあるかもしれない。品川は品川の理念があって、最初議論になったのは非常に素朴なことで、中1ギャップの問題だった。小学校6年生までの不登校率と中学校1年生以降の不登校率を見ると、中1になると跳ね上がっていた。何で跳ね上がるのかとなった時に、やはり先生方の指導文化の違いがあるのではないかということで、先生方の文化を融合するような仕組みというのを考えてもいいのではないかという話が出てきて、施設一体型一貫校の設置に至った。
 品川区の一貫校の場合は、カリキュラムをいじって学習指導要領の見直しをした。小学校は小学校の学習指導要領が、中学校は中学校の学習指導要領があるが、小学校と中学校の学習指導要領は連続していない。品川区の指導課でチェックしたら小学校で教えている前提で、中学校のある事項が出てくるわけだが、実は教えられていないとか、あるいは小学校で教えているのに中学校で繰り返し教えているということがあった。それで、重複を排除するとか中学校の方が易しい基礎的な事項を扱っていて、小学校が応用的な事項を扱っているような逆転している箇所などを一本化すると、9年間要らなくて8年間で終わってしまう。それで、1年分浮いたところに市民科とか、新しいものを空いた1年分の中に入れればいいのではないかということで、少し多分進度が早くなっているのではないかと思う。
 だからそのカリキュラム上の一貫性を一つのポイントにするという面でいえば、品川区版の小中一貫校用の学習指導要領を作って、講談社からも市販しているので、だからそこまでやるということになれば、もうそれに従って授業をやっていけばいいので、ある意味で効率がいい。9年間かかるところを8年で終わっているのを売り物にして運用している。ただ、そうすると、周辺校への影響というのがある。やはり、校舎も立派でカリキュラムの面がかなり違っているということがあって、一貫校の方に子どもが流れる。それで今、品川区は多分そういうこともあったのだろうと思うが、施設分離型の一貫校というのを結局用意して全区展開していくことになった。施設分離型の方はキャンパスは別だが、小中一貫校学習指導要領を適用して教育はしているので、そういう意味で言えば、施設一体型と同じようにカリキュラムが運用されているということで、施設一体型ばかりに子どもが集中する流れを何とか食いとめようとしているのではないかと思う。

委員
 学習の連続性や継続性という視点から考えると、連携、一貫ということの必要性は非常によくわかるが、一方では小学校から中学校に切りかわることのメリットというのもかなりあると思う。そこもちゃんと考えておかないといけないのではないか。いきなり中学校に入ってきて不登校が増えるというわけでもない。そういう状況は往々にして環境が変わるという一つのきっかけがあるとは思うが、それは小学校段階でそういうものを持って入ってきて、環境が変わってというケースが非常に多いような気がしている。
 もう一つは、中野区の教育行政は地域の方や現場の方の考え方を非常に拾い上げて進めてくれているという感じがする。一つには地域の人間関係というのが非常に濃いものがあって、それが学校を中心にした一つの文化というようなものをつくっている部分があるような気がしている。今は時代が少しずつ動いてきて、地域のつながりも多少は薄くなってきているが、それでも地域のお祭りなどに集まってやっていくような雰囲気がある。やはりそういうものを大事にしていきたいと私は思っている。だから、学区域の自由化はむしろそういうものを逆方向に進めてしまうと思う。やはり地域で、自分たちの地域の学校だというようなものをベースに考えていく必要が一つあるのではないかと思う。さらに、学習の連続性なり継続性なりを考えると、どちらかというと北区に近いかもしれないが、地域の学校同士でそういう学習の連続性が図れるような連携交流を深めて、そしてそれが最終段階ではある程度一貫教育的な視点も入れながら進めていく方がいいのではないかというように考えている。

会長
 次回の検討会議はこの問題を中心に行うので、次回に向けて少しブレインストーニングしておけばいいと思う。結局は何をねらいにするかということだと思う。特に施設分離型の北区の場合は私も絡んでいるが、立ち上げのときに小規模化がやっぱり進行しているので、長期的なプロセスの中で考えていったときに、教職員の数も減り、学校単独主義では教育条件は維持できないということがあって、だが、先生方の研修拠点のようなものを整備していくというのは非常に大事なことなので、やはり中学校区あるいは複数の中学校区ぐらいのエリアをとりあえず考えてみて、そのエリアの中に入り込む小学校や幼稚園、保育所全体の先生方の研修拠点などそういうものを行政として整備するような発想というのも一つの発想としてはあり得るのではないかと。もちろん学校単独でそれが安定的に出来ればいいのだが、とにかく少子高齢化が厳しいため、それでそういうアイデアを出したところがある。
 もともとはそういう何かカリキュラムを先生方同士で一緒になって改善したり、改善のための研究をしたりなど、そういう拠点をグループごとに作れればいいということだったが、なかなかそこまで一足飛びに行くというわけにもいかない。その辺のプロセスはどうだったのか。

委員
 北区と中野区は似ている感じを受けた。北区も地域ごとの違いは結構あるので、最初はサブファミリーと言っていたが、中学校と小学校の組み合わせで、その組み合わせの先生方で何をやるのかということで、その地域の特徴にあわせて自分たちでやりたいことをやっていったというのが最初の数年間だった。学校からすると、中学校の校長は校長でやりたいことがいろいろあるし、小学校の校長は校長でいろいろやりたいことがあるので、それを何か一貫という枠に当てはめるということが難しいのかなという感じもした。
 ただ、これからの教育を考えた場合にやはり小学校だけ、中学校だけで、しかも小学校の先生方だけ、公立幼稚園の先生方だけでその子の教育を見ていける仕組みが続くのかなという感じも受けている。教育基本法などが改正されて、義務教育の目的というのが一応できた。義務教育の9年で小学校の先生方と中学校の先生方が一緒になってその子の9年の発達を見守っていくという連携がなければ、学校と学校外の連携といっても、小中学校の専門家の先生方が別々でやっていって、地域との連携というのがあり得るのかなという感じも受ける。連携というのは小中一貫のみならず学校と地域との連携ということも一つの大きな柱になっているし、経済状況を考えると、福祉との連携ということも当然考えなければいけないだろうし、そういう子どもの学習環境をトータルに見た場合に、やはり小中連携ということはこれからの教育を考えた場合その柱になるのではないだろうか。ただ、繰り返すが、困難もあるためステップを踏んで、学校の先生方によく理解していただき、中にはやりたいとかおもしろいという方も必ずいるので、そういう方にいろいろやっていただくと本当におもしろいものができて、それをステップにして中野区全体に広げていくということもできるだろうし、青森の先生のように割と可能性がはっきりしていて、小中学校兼務という方であれば、そういう教科の特性もあるだろうし、幾つか可能性があると思う。

委員
 人目を引くような、目立つようなことをすると、無理をしているから絶対に負担がかかってくると率直に思っている。品川区の小中一貫校についても、教員の身分上の職務は小学校教育免許、中学校教育免許だが、一貫校には小学校教育免許しか持っていない教員は行けないという特殊性が出てくる。なぜなら6年生から7年生の持ち上がりができなくなってしまうからだ。そうすると、もうそこで特別校になってしまう。
 また、北区の例を見ていて思ったのは、例えば中学校区で小学校まで入ったとすると、必ずどこの学校でも起こることとして、隣の中学校は無視して、何で遠くの学校と連携しなくてはいけないのだという、そういう簡単な話がすぐ出てくる。そういうとき、共通認識だけしてそれに基づけばいいということだけではうまくいかないと思っている。
 学校の実態として授業時数もずっと増えてきた。連携、共通認識する、職員交流をする意味も、基本として各学校が自校の機能を全うして成立する話である。自校の機能が全うできないような状況では交流も何もない、自校を守るほうが先になる。先ほどの話にあったが、中学校に非常勤を配置して、その非常勤にやらせて連携ができたというぐらいだったらできるかもしれないが、中身としてきちんとやろうとしたら、経費や人的な配置も考えなくてはいけないと思う。やはり理念だけでは簡単に行かないということだけは慎重論として持たなければならないと思っている。そうしないと職員の共通理解は絶対に生まれてこないというふうに考えている。

会長
 簡単にはいかない問題だと思う。
品川区では特区でやっているが、今は特区の全国化というのが特区評価委員会で決まっていて、相模原市では教科書のない教育をやっているところがある。今は教育研究開発校、特区型教育研究開発校というのがあって、文部科学省の承認を得ると特区の申請をしなくても運用ができるようになっている。カリキュラムなどをかなり特色ある形にするにしても、今は特区でやる必要はない。
次回もこの課題を議論したいと思っている。日程では、次回がこの連携教育がメインテーマになっていおり、次々回の5回目で連携教育についてまとめるという段取りになっている。

◆議事(3)その他

会長
 次にその他に入るが、新しい中野をつくる10か年計画(第2次)の素案<抜粋>が資料として提出されているので、説明をお願いしたい。

 資料5「新しい中野をつくる10か年計画(第2次)の素案<抜粋>」により説明。

会長
 意見を伺いたいところであるが、あと3分ぐらいで終了予定時間になる。恐らく議論を始めると4~5時間があっという間になくなるという感じがするので、次回の会議の最初の時間帯にこの問題についての質問等をお願いする形をとりたいと思う。
 次回の検討会議については、前回確認いただいたとおり、9月25日の金曜日午後7時から教育委員会室で開催する。次々回の日程ついて事務局よりお願いしたい。

事務局
 10月はさまざま会議等があり、会長と相談の結果、皆さんのご都合もあろうかと思うが、次々回は11月10日の火曜日午後7時から、その次の回もかなり先ではあるが、11月27日金曜日に行いたいと思っているので、よろしくお願いしたい。

会長
 その時期しかとれなくなってしまい申し訳なく思っている。両日お願いできればと思う。よろしくお願いしたい。
 以上で本日の検討会議を終了する。

 

お問い合わせ

このページは教育委員会事務局 子ども・教育政策課(教)が担当しています。

本文ここまで

サブナビゲーションここから