結核は日本の重大な感染症です
長引く咳(せき)はイエローカード
- 日本は結核「中進国」
- 早期発見が大切
- こんな時はすぐ病院へ
- 若い世代もご用心
感染とは?
発病とは? - 気になるときは保健所に相談を
- 結核早期発見のための健康診断
受診義務 - 結核の治療方法・医療費
- 結核を予防するために心がけること
日本は結核「中進国」
日本では、23,261人(昨年)が結核を発病し、発病した約12人に1人が亡くなっており、一昨年は2,159人の方が亡くなりました(厚生労働省平成21年人口動態統計の概況)。
インフルエンザは、昨シーズンも約10人に1人が医療機関を受診したと推計されていますが、インフルエンザで亡くなった方は185人です(厚生労働省インフルエンザ対策)。
死亡者数でみるかぎり、結核はインフルエンザの10倍以上であり、結核は今でもなお最大級の感染症と言えます。
2007年の結核罹患率(人口10万人当たりの結核患者数)は、日本が20で、韓国の95、中国の79などアジア諸国より低いですが、ドイツの6、アメリカの4など先進諸国より高い状態です。
日本の結核罹患率が、先進諸国のレベルに達するには、まだ20年以上かかると言われています。

結核罹患率を日本国内でみると、東京都は大阪府に次いで全国平均より2番目に高く、東京都では昨年3,045人の方が結核を発病しました。
中野区は東京都平均より高い傾向が続いており、昨年の中野区の結核罹患率は27で、85人の方が結核を発病し、7人の方が亡くなりました。
1人ひとりが結核についての正しい知識をもち、早期発見だけでなく、予防にも心がけることが、これからも大切です。
早期発見が大切
「まさか結核とは思わなかった・・・」、診断された患者さんからよく聞く言葉です。
結核を発病したときの初期症状は、風邪に似たもので見過ごされがちです。
発見が遅れて重症化し、人に感染させる状態になると、本人は結核患者として結核病棟へ入院して治療しなければなりません。
さらに、結核患者と接触した周囲の方も、発病の有無を確認するための健診を、最長2年間続ける必要があります。
昨年中野区で結核を発病した85人のうち、身近な人に感染させる可能性があるために入院して治療した人は26人でした。
また、この26人のうち約7割の人が、健康診断を受けていませんでした。
「まさか結核とは思わなかった」、診断された患者さんからよく聞く言葉です。
知らぬ間に感染し、健康診断を受けず、結核と気づかないまま放置していたことで重症化し、さらに本人だけでなく、周囲の方へ感染させてしまうことがあります。
結核は、早く発見すれば、薬も良く効き治りやすい病気です。
年1回の健康診断や、早めに医療機関を受診することは、結核を早期発見するためにも、とても大切です。
参考:会社の健診にて結核の疑いと診断されました~患者さんの声~
こんな時はすぐ病院へ
次のような症状が続いたら、必ず医療機関を受診しましょう。
- 2週間以上長引く咳(せき)
- 痰(たん)
- 長引く微熱
- 長引く倦怠感(体がだるく、活力が出ない)
- 胸痛
- 体重減少
若い世代もご用心
結核は、患者の出す咳(せき)のしぶきに乗った結核菌を、肺に吸い込むことによって起こる感染症です。
結核というと、高齢者の病気と思われがちですが、40歳未満の発病者が中野区でも全体の3割を占めています。
感染とは?
- 結核菌が体に入っていても、結核菌が活動していない状態を「感染」といいます。
人間の身体には、外部から体内に侵入した菌やウイルスに対する抵抗力が備わっており、抵抗力が強ければ、菌やウイルスは悪さをできません。
感染しても発病するのは10人に1~2人と言われています。 - 若い世代の大半は、結核に感染したことがないため、結核菌を吸い込むと感染しやすい傾向があります。
- また、結核は、密室や換気の不十分な場所で感染しやすいと言われています。
最近では、音楽スタジオ、ライブハウス、パチンコ店、マンガ喫茶、カラオケルーム、インターネットカフェなどで感染する例が出ています。
発病とは?
- 菌が体内で活動を始めて病巣を作り、咳(せき)などの症状が出た状態を「発病」といいます。
- 結核は、感染してもすぐには発病せず、多くは感染して半年から1年ぐらいたってから発病します。
しかし、若い世代では比較的早い時期に発病することがあります。 - 過労や睡眠不足、不規則な生活習慣、無理なダイエット、過度のストレスなどは、身体の抵抗力を弱めるので、発病のもとになります。
中野区でも、40歳未満の発病者は全体の3割を占めています。
参考:会社の健診にて結核の疑いと診断されました~患者さんの声~ - 昔の日本は結核まん延国であり、発病はしなかったものの、結核に感染した人は大勢います。
発病しなかったのは、その人の抵抗力が強かったからですが、実は結核菌はその人の体内で休眠状態にあり、死滅したわけではありません。
したがって、加齢により抵抗力が弱くなると、昔感染した結核菌により発病することがあります。
気になるときは保健所に相談を
- 保健所には、医師・保健師などの医療専門職もおり、結核のご相談、療養支援や、結核の正しい知識の普及啓発を行っています。
1人ひとりが、結核について正しく知る、自分や周囲の健康を気遣う、それがまん延防止の第一歩です。 - 結核は治る病気ですが、決められた期間、中断なく薬を飲むことが大切なため、中野区薬剤師会の協力を得て、身近な薬局での服薬支援(病気や薬ついての相談など)を行なっています。
参考:会社の健診にて結核の疑いと診断されました~患者さんの声~ - 「職場で結核の人がでたが、自分は大丈夫だろうか?」などといった相談も寄せられます。
最近は結核の感染の有無が血液でわかる新しい検査方法が普及してきており、結核を発病した方と接触した方の健診なども、必要に応じて行っています。 - 結核の治療が終わった方には、再発しやすい治療終了後の最低2年間、支援を継続しています。
相談先
- 結核管理は、原則患者・接触者など人の住所を管轄する保健所が担当しています。
最寄りの保健所の住所や電話番号は、感染症情報センターのホームページで検索できます。 - ただし、「勤務地の近くがよい」など例外はありますし、相談は全国どこの保健所でも受けられます。
お気軽に、下記情報発信元 中野区保健所 保健予防分野 結核予防担当までご相談ください。
結核早期発見のための健康診断
- 自分自身の健康を守るため、また、家族、友人、同僚などへの感染を防ぐためにも、早期発見が重要です。
- 結核の発症は、胸部エックス線検査で調べられますので、年1回の胸部エックス線検査による健診は早期発見に役立ちます。
結核を早く発見することは、重症化を防ぐだけでなく、大切な家族や職場への感染を防ぐためにも重要です。 - 中野区保健所では、中野区にお住まい・お勤めの方の結核健診を行っています。詳しくは結核健診にお進みください。中野区にお住まいの35歳以上の方で、胸部エックス線以外の検査も受けたい方は、基本健康診査にお進みください。
- ただし、咳(せき)が2週間以上続くなどの症状がある場合は、定期健診を待たず、すぐに医療機関を受診してください。
受診義務(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第53条の3)
- 高等学校以上の学校(専門学校、各種学校をも含む)に入学する方は、入学年度に一度健診を受けてください。
- 65歳以上の方は、毎年一度健診を受けてください。
- 学校、医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設で働く方は、毎年一度健診を受けてください。
なお、学校、医療機関、社会福祉施設、介護老人保健施設の管理者は、対象者への健診の実施と、健診実績の報告が義務付けられています。詳しくは、結核定期健康診断の実施と報告のお願いにお進みください。
結核の治療方法・医療費
結核は薬を飲めば治ります
- 結核の治療は3種から4種の抗結核薬を併用し、半年から9ヶ月程度服用します。長いと思われるかもしれませんが、きちんと服用すれば確実に治る病気です。
- 中途半端な治療は、薬に対する抵抗力のある結核菌(耐性菌)を造ってしまうので、本人ばかりではなく周囲の人にとっても非常に危険です。
参考:会社の健診にて結核の疑いと診断されました~患者さんの声~ - また、咳(せき)や痰(たん)に結核菌が出ていない人は、周囲に感染させる危険性がないので、職場や学校などに行きながら、通院で治療できます。
結核の治療費は、国や自治体が助成します
- 感染症法には、結核で治療を受ける方の医療費負担の軽減と、安心して適正な医療が受けられることを目的として、国や自治体が医療費を負担する制度があります。
- 負担額は、世帯の所得税額や、入院・外来の違い等によって異なります。詳しくは、東京都のホームページ結核医療費助成についてをご覧ください(新しいウインドウが開きます)。
結核を予防するために心がけること
- 予防のポイントは、BCG予防接種、咳(せき)エチケット、定期健康診断の3つです。
- 結核の発病には、体力(抵抗力・免疫力)が大きく関与しています。
高齢者、乳幼児はもとより、若い人でも無理なダイエットや睡眠不足など不健康な生活によって、体力が低下すると発病しやすくなります。
参考:感染症を予防する生活習慣
BCG予防接種
BCGは結核予防のワクチンで、BCG予防接種をすることによって結核菌に対する抗体(抵抗力)を作ります。BCGは結核の中でも、とくに重い髄膜炎や粟粒(ぞくりゅう)結核の予防に有効とされています。乳幼児が結核に感染すると、こうした重い結核になることがあるので、生後6か月までに、BCG予防接種するようにお勧めしています。
詳しくは、BCG予防接種へお進みください。
咳エチケット
咳(せき)や、くしゃみをするときは、ティッシュやマスクを口と鼻にあて、周りの人から顔をそむけて、他人に直接しぶきをかけないようにしましょう。

