追加融資を引き出す為にやってきたいこと-改善策はとことん具体的にする-
事業計画に関わる相談を受けていると「担当者が変わった途端に融資が受けられなくなった」「リスケジュールを申し入れたが銀行が預金を担保に取ろうとした」といったお話を聴くことがあります。経営者からすれば味方と思っていた金融機関に裏切られた想いが強いかも知れませんが、自社の日頃からの金融機関との付き合い方や提出した計画書を見直してみましょう。お金を貸す立場からすれば当然のことが成されていないことが多いのです。
A社は、大手設備業を退職した社長が独立して10年目。従業員8名の設備メンテ会社です。創業者が親から受け継いだ土地などを担保に融資を受け、金融機関との関係は良好でした。ここ数年の業績低迷で資金繰りが厳しくなり、金融機関にリスケジュールを申し入れました。しかし、金融機関は味方と思っていた社長の想いを裏切り冷たい対応をしてきたのです。
社長が作成していた経営改善計画は非常に簡易なもので、特に改善策は「コストの削減」「営業の強化」の2項目で具体的な落とし込みが不十分でした。しかも、参照したい詳細資料が存在しません。そこで、客先別の営業資料と経費の使用状況資料を作成し、具体的にどの程度のコスト削減ができるのか、どの程度売上が回復できそうかを具体的に検討しました。売上回復に向けての取り組みでは、過去に取引があって再訪できるお客様や需要が拡大できそうなお客様、新規に売り込みをしたいお客様を全てリスト化し、訪問目標を数値化しました。そのうえで、すぐにリストに沿った営業活動を開始し、進捗状況を踏まえた資料を作成しなおしてリスケジュールを再度申し入れたところOKになりました。
A社のように金融機関に見せられる資料が無いか、漠然とした計画しか作成していないケースは意外と多いので、ぜひ自社の計画を再点検してみて下さい。
改善策は具体的に根拠を持って作成し「合理的で実現可能である」と言えるまで、とことん落とし込みをしましょう。
その為にも、顧問税理士に安価に経理を丸投げするのではなく、適切なアドバイスを貰いながら日々の数字をデータとして参照できるようにして、日頃から問題意識を持って活動することが重要です。どんなに忙しくても、資金繰り表くらいは最低限作成しておきましょう。とことん具体的に落とし込んだ改善計画は、金融機関のハードルを越える重要なツールになるのです。
NPO法人中野中小企業診断士会 鈴木 佳文
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