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最終更新日 2017年2月16日
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平成29年(2017年)第1回中野区議会定例会区長施政方針説明(2017年2月16日)

発言に先立って

1 日本を取り巻く社会情勢

2 日本の未来展望
3 将来に向けた新たな展望

 (1) 新しいまちづくりを進める

 (2) 全員参加型社会の実現を図る

 (3) 健康寿命を延伸させる

 (4) 地域コミュニティを再生する

 (5) ICTによる区民サービス改革を進める

 (6) 自治体連携による相互発展

4 平成29年度の区政の方向について

 (1) まち活性化戦略
 (2) 安全・居住都市戦略
 (3) 環境共生都市戦略
 (4) 生きる力・担う力育成戦略

 (5) 地域見守り・支えあい戦略

 (6) スポーツ・健康都市戦略

 (7) 区民サービス基盤強化戦略 
 (8) 持続可能な行政運営戦略

5 平成29年度予算案の概要について

6 むすびに

  

施政方針説明を行う田中区長
施政方針説明を行う田中区長

 平成29年第1回中野区議会定例会にあたり、本年の区政運営に臨んで私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 発言に先立って

 発言に先立って、改めて区政の信頼を揺るがしてしまった事件について述べさせて頂きます。年明けの1月11日に区の元臨時職員が、住居侵入及び中野区個人情報の保護に関する条例違反の疑いで逮捕されました。区民の皆様に多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。

 その後、個人情報保護条例違反については起訴に至っていませんが、様々な状況から、区民の個人情報が不正に取得された疑いは否定できないと考えています。区としては、こうした事案が二度と発生しないよう、区の情報安全対策委員会を開催し、個人情報の不正利用に係る再発防止方針を速やかに決定したところであり、これに基づく対応を着実、迅速に実施していく考えです。全庁を挙げた徹底的な取組で、区民の個人情報保護について万全な体制を整え、区政の信頼回復に努めてまいります。

 1 日本を取り巻く社会情勢

 さて、今、世界は大きな転換点に立っていると言われています。

 フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏は、家族形態や識字率、出生率、死亡率、所得などのデータを独自の観点で分析し、ソ連の崩壊やイギリスのEU離脱を予測しました。昨年のアメリカ大統領選挙でも、バーニー・サンダース氏とドナルド・トランプ氏が左右の立場から共にアメリカ人の主流的な心情をとらえていると指摘し、本選挙では、トランプ氏の勝利の可能性が大きいことも指摘していました。

 トッド氏によれば、アメリカの中間層はグローバリゼーションに疲れ果てており、自由貿易を否定する心情がトランプ氏を当選させたのです。トッド氏はまた、移民問題を大きな要因とするイギリスのEU離脱に続いて、ユーロの崩壊やEUの解体も視野に入れています。大きな流れとして、今後の世界はグローバリズムから国民国家への回帰へと向かって行くというのがトッド氏の考え方です。自由貿易、グローバリゼーション一色で進んできた世界各国の中間層が、格差や国家のアイデンティティの危機などに耐えられず、グローバリズムを忌避し始めていると指摘しています。

 私には、こうしたエマニュエル・トッド氏の考え方を正しく検証するだけの知見は備わっていませんが、今起きていること、これから起こることに対する予見として、極めて興味深い意見だと思います。

 今日、世界が振り回されているトランプ大統領の政策の方向はまさに自由貿易の否定であり、アメリカ一国主義への回帰に他ならないように感じられます。情報化や技術革新が著しい今日、グローバル化現象そのものが退潮することはなく、直ちに世界が保護主義一色になるということも考えにくいことですが、世界の経済秩序が大きく揺れ動いていることは事実であり、その原因が単にトランプ大統領の過激な政策だけではないということに注目しなければならないと思います。

 アメリカ国内はトランプ大統領の経済政策への期待もあるようですが、アメリカを貿易の最大の得意先としている中国は経済成長の減速が一層進むことが懸念されるなど、今後、新興国経済への打撃も予想されています。

 我が国が今後、力強い経済成長を実現していく上で、国際的な経済環境の変化は極めて大きな影響をもたらすものであり、リスク管理が重要であると同時に、新たな機会の獲得についても敏感であるべきだと思います。

 また、アメリカの国内重視への政策転換によって、安全保障や難民対応などの面でも、我が国はこれまでと違った対応を求められることになると思います。

 今年元日には、イスタンブールで大規模なテロが起きました。断続的に発生する国際的なテロ行為は収まる兆しを見せていません。東アジアにおいても、国際世論に背を向けて核開発を進める北朝鮮や南シナ海等での海洋進出を続ける中国など、不安定な要因が解消する兆しはなく、我が国を取り巻く安全保障環境は、さらにリスクが拡大していると言わざるを得ない状況です。

 グローバリゼーションから国民国家への回帰への動き、それに伴う経済や安全保障環境の変化、アジアにおける地政学的なリスクなど、我が国を取り巻く状況は、まさに予断を許さないものがあります。

 2 日本の未来展望

 変化の予兆と不透明感の増す世界であればあるほど、我が国の抱える課題への対応は着実なものでなければなりません。経済の成熟化、超高齢化、生産年齢人口の減少といった、現在、我が国が直面している課題は世界の多くの国がやがて共通に直面する課題です。これを先んじて解決していくことは、世界の安定と発展に向けた成功モデルをつくり出すことであり、世界に寄与する国づくりを進める極めて貴重なチャンスでもあると思います。そして、我が国が、将来に向けた社会の持続可能性を担保していくためには、課題解決の歩みを止めることは許されません。

 その課題解決の具体的な方向性は、次の4つに絞られると私は述べてきました。

 第1点は高齢者や女性、障害のある人や機会に恵まれなかった若者等全ての人々が個性と能力を活かして社会貢献できる“全員参加型社会の実現”、2点目は誰もが生き生きと暮らし輝き続けて医療介護の負担を軽減できる“健康寿命の延伸”、3点目はICTやコンテンツを駆使して人の暮らしを豊かにする“生産性の向上”、そして4点目が、絆を強め、支援が必要な人を社会全体が支えあう“コミュニティの再生”です。

 この4つの方向性を踏まえ、新しい社会実現の歩みを進めていくことが求められており、そのためには、国や地方公共団体だけでなく、地域で暮らす人々の生き方・暮らし方そのものが変わっていかなければなりません。

 それは、かつてのように中央集権的で、政府の予算に依存する画一的な地方のあり方では不可能なことだと思います。地方がそれぞれ工夫し、特徴を生かし、自立的かつ持続可能な地域社会を創り出していくことが不可欠です。地方自治体がお互いに切磋琢磨する一方で、多様な相互連携を作り出していくことによって、全体として持続可能な国の形を作ることが求められています。まさにこれからの未来は、地方が中心となって国を形作っていく時代でなければならないと思います。新しい社会の形をこの中野から発信していく。そんな気概をもって取り組んでまいりたいと考えております。

 3 将来に向けた新たな展望

 昨年は、改定された基本構想と新しい中野をつくる10か年計画(第3次)のスタートを切る年でした。一年目を象徴するように、これまで計画・準備をしてきた施設の多くが開設の運びとなりました。南台いちょう公園と本五ふれあい公園は、大規模公園の少ない区の南側にあって、待望されていた公園であり、少年野球やサッカーなどができるよう整備され、スポーツ振興にも大きく寄与することになりました。また、地域包括ケア体制の中心拠点となる南部すこやか福祉センター、スポーツ健康づくりの最大の推進力となる地域スポーツクラブの拠点である南部スポーツ・コミュニティプラザ、区民の利便性向上のための南中野地域事務所の複合施設「みなみらいず」、南中野区民活動センターや障害児の支援施設「ゆめなりあ」も期待の大きな施設でした。このような1年目の成果を踏まえて、新しい年度は、中野区基本構想と新しい中野をつくる10か年計画で描くまちの将来像の実現に向けて、さらに区政の歩みを着実なものとし、発展させる年としてまいりたいと考えております。

 東京2020(ニーゼロ・ニーゼロ)オリンピック・パラリンピック競技大会まで残すところ3年半となりました。オリンピックの開催は、様々な分野にわたって、次の世代に良好なレガシーを形成していく契機となる世界的なイベントです。中野区が、少子化、超高齢社会に対応しつつ、活気にあふれるまちを作っていくために、様々な分野でその効果を活かして行く必要があります。

 (1) 新しいまちづくりを進める

 グローバルな経済活動を軸として、日本における国際競争力の強化のリーダーシップを担っていくことは、東京に求められている大きな役割のひとつです。中野区においても、グローバルな都市活動拠点の形成を図り、持続可能な都市の成長モデルを描くことが求められています。「中野区グローバル戦略推進協議会」を中心とした都市づくりの検討を進め、オリンピック開催を契機としたインバウンドの増加などを、中野のにぎわいや、産業・文化等の発展に活かしてまいりたいと考えております。

 中野駅周辺のまちづくりでは、既に中野二丁目地区において土地区画整理事業と市街地再開発事業の一体的施行による基盤整備が始まっています。同地区では、区も地権者の一員として組合に参画しており、今後、再開発の中で実現する公共的な機能について検討をしていきたいと考えております。また、区役所・サンプラザ地区においては、平成28年7月に本事業に係る事業協力者として、野村不動産株式会社を代表企業とするグループを選定し、再整備事業計画の策定に向け、具体的な検討を進めています。その他の地区についても、グローバルビジネス等の最先端の業務拠点や個性豊かな文化発信拠点、最高レベルの生活空間といった多彩な魅力づくりを目指し、都市計画手続き等、着実に進めてまいります。

 西武新宿線沿線のまちづくりでは、中井、野方間の連続立体交差事業が進捗しており、新井薬師前、沼袋の両駅周辺では、まちづくりの検討を具体的に進めています。野方以西の野方、都立家政、鷺ノ宮の各駅周辺についても地域の皆さんと検討を進め、連続立体交差事業の早期実現に向け、事業主体となる東京都など関係各分野に働きかけを行ってまいります。このほか、弥生町、大和町の防災まちづくり、東中野等の交流拠点のまちづくりなど、方向性をしっかりと見据えて進めて行く必要があると考えています。

 (2) 全員参加型社会の実現を図る

 すべての人が、個性と能力を生かして社会に参加できる、全員参加型社会を築くことは、人口減少社会にあって、活力のあるまちを維持し、持続可能な都市モデルを作り上げていくうえで、必要不可欠です。

 その実現にあたっては、高齢者や女性、障害のある人や機会に恵まれなかった若者等が、社会参加、自己実現をする環境整備を進める必要があります。

 子どもを安心して生み育てられる環境を整えていくことは、女性の社会参加を促進し、出生率の向上につながります。新しい中野をつくる10か年計画における将来人口の推計では、2014年の合計特殊出生率について0.99を基本としています。この基本推計によると、2060年には区の人口は24万人余りにまで減少することになります。これに対して、合計特殊出生率を毎年、前年度比で2パーセントずつ向上させ、現在とほぼ同じ人口を維持していくことを区としての目標としています。まちの活性化を維持向上させるためには、子育て世代の社会参加をしっかりと支援し、結果として出生率の向上と、子どもを産む世代の定着を図ることが必要です。

 2015年の合計特殊出生率は、1.03とここ10年間で初めて1を超え、区が設定した目標値を達成することができましたが、東京都や23区平均と比べると、まだまだ低い水準にあります。

 区はこれまでも子育てしやすい環境づくりについては、優先順位の高い施策として取り組んでまいりましたが、「育てやすい」から一歩進めた「産みたくなる」ことを目標として、妊娠期から出産、子育て期に至るまでの、切れ目のない子育て支援を充実させるとともに、不妊相談事業に取り組むなど、今後はさらに一歩踏み込んだ子育て家庭支援を行うことによって、子どもを安心して産み育てられる地域づくりに真正面から取り組んでまいりたいと考えております。

 近年、保育において入所待機のお子さんが毎年出てきている問題についても、集中的に対策を講じるとともに、幅広い「働き方改革」という視点からも焦点をあてて、国・都に対応を求めるほか、区としての対応を強めてまいります。

 また、子どもたちの教育の面では、幼児期においては、幼稚園や保育所など様々な環境を通じて、多様で質の高い幼児教育を提供して学齢期への円滑な接続を図り、学齢期においては、グローバル社会の展開を見据えた確かな学力やコミュニケーション能力の向上などを図っていくことが必要です。現在、策定を進めている区の教育大綱では、中野区の教育で目指す人物像を示して、育成の目標として取組を進めてまいりたいと考えております。

 全員参加型社会によって活発なまちを実現していくためには、高齢者や女性、障害のある人や外国人など、中野にかかわるすべての人が障壁を感じることなく、活発な社会活動が行える、ユニバーサルデザインの考え方を基にまちづくりを進めることが必要です。先日、基本的な考え方について検討してきた審議会から答申をいただきました。この答申を踏まえて区民の皆さんと考え方の共有を図っていき、新しいまちづくりを、この中野から発信してまいりたいと考えております。

 昨年は、友好区関係にある中国北京市西城区、姉妹都市関係にある韓国ソウル特別市陽川区と充実した交流を図ることができました。外国人にとって過ごしやすく、住みやすいまちづくりは、インバウンドの区への取り込みや、グローバルビジネスの展開を目指すうえで大きなキーワードとなります。諸外国との交流を進めるとともに、まちなかのサイン等を多言語化していくためのガイドライン作りを行うなど、直ぐにでも取り組めることは、先行して実施していきたいと考えております。

 (3) 健康寿命を延伸させる

 区民の健康寿命の延伸は、これからの社会の活力を維持するとともに、介護や医療などの社会的コストの軽減にもつながる、欠くことができない取組です。3年半後に迫った東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた盛り上がりを十分に生かして、継続的な健康づくりの習慣が、オリンピック開催後も根付くよう、「スポーツ・健康づくりムーブメント」を巻き起こしていく必要があります。区民が主体的に行うスポーツ健康づくりの場の整備と、一人ひとりが健康づくりへ取り組む意欲を掻き立てられる機会の提供の両輪で取り組んでいく必要があります。場の整備では、区内4か所に整備を進めているスポーツ・コミュニティプラザを中心に展開する地域スポーツクラブを軸に、スポーツ振興に今まで以上に力を入れて行きたいと考えています。また、新しい体育館と屋外のスポーツに対応できる区におけるスポーツの中心的な拠点として、平和の森公園をオリンピックの開催までに再整備を図るほか、気軽に体を動かせる公園づくりにも取り組んでまいりたいと考えております。

 また、健診や医療費のデータを活用したデータヘルスの取組を進めるなど、区民一人ひとりに合った情報と場の提供を行うサービスを進めてまいりたいと考えています。

 (4) 地域コミュニティを再生する

 高齢者、子育て世帯や障害者など、誰もが必要な支援を受けながら、安心して住み続けることができる地域包括ケア体制を早急に作り上げることも区の大きな課題です。問題が起きてからの対応策だけではなく、介護予防や健康づくり、社会参加促進、住宅対策など、問題の原因をなくしていく「川上」志向の施策で、孤立する人をつくらず、必要な人は必ず支援やサービスにつなげる、切れ目のないトータルケアを実現することが重要です。

 そのためには、区や医療・介護・福祉に関わる地域資源、町会・自治会や関係機関、NPOなど幅広いコミュニティの連携が何よりも重要です。町会・自治会が中心となって、民生児童委員や関係機関と連携して進めていただいている地域支えあいネットワークの取組、医師会・歯科医師会など、医療・介護・福祉の各職種の関係団体の方々の先進的な連携の取組などが、その実現のための大きな力となるものです。そして、多くの皆さんの努力を効果的に結び付け、必要な支援・サービスを必要な方に着実に届けるためには、きめ細かく現状を把握し、支援の隙間をしっかりとカバーする区の機能を十分に発揮してまいりたいと考えています。

 (5) ICTによる区民サービス改革を進める

 今年の7月からは、社会保障・税番号制度の取組の一環として、マイナポータルの運用が開始されることになっています。マイナポータルは、インターネット上のポータルサイトに設定した自分のアカウントで、自分のマイナンバーについての情報確認が行えるとともに、行政からの個人の状況にあったきめの細かいお知らせを受け取れることや、行政手続きなどがワンストップで電子申請することが可能になるなど、区民サービスを飛躍的に向上させる仕組みです。これまでの行政サービスのような区役所においでいただく「待ちのサービス」から、個人にカスタマイズされたサービスを直接届けるサービスへと、サービス提供のあり方に大きな変革が可能となります。また、新しい区役所におけるサービスのあり方を検討していくにあたっても、誰もがいつでも簡単にアクセスできる、インターネット上のバーチャル区役所を構築する一方で、直接窓口を訪れる方に対しては、ワンストップですべてのサービスを総合的に説明し、最適なサービスをご案内する進化型の窓口づくりを目指してまいりたいと考えております。また、高齢や障害などでご自分では行動しにくい、支援を必要とする方に対しては、区の職員等が直接訪問して適切な制度やサービスをご案内し、利用に結び付けるアウトリーチ型のサービスの充実を進め、区の組織の動き方、職員の働き方を抜本的に変えていきたいと考えています。

 (6) 自治体連携による相互発展

 国のまち・ひと・しごと創生総合戦略では、東京一極集中の是正が特に強調されています。これを東京の「人・もの・金」を地方に移転するための取組ととらえてはならないと考えています。同じ経済の規模の中で人材や資源だけを地方に移転することは不可能です。国全体での生産性の向上、経済成長を実現し、地方、大都市を問わず、付加価値や生産性の高い産業部門の創出育成に取り組んでいくことが欠かせません。東京は様々な集積の強みを生かし、国際都市としてさらなる発展を遂げる。地方は地方に多様に存在する豊かな資源や文化を生かして旺盛な活動を展開する。お互いの活力が行き来し、相互に刺激し合い、地域を超えて連携・協力して新たな需要や供給を創りだす「ウィン・ウィン」の関係を創造していくことが必要です。

 大都市と地方が連携して、交流や情報交換を深め、互いに協力し合って、我が国の継続的な発展を生み出すことを目指し、特別区長会では「全国連携プロジェクト」を立ち上げ、各区が精力的な取組を行い自治体連携の輪が広がりつつあります。中野区が進めてきた数々の地域間連携の事業は、そうした取組の最も活発で先進的な事例となっていると自負しています。5つの自治体との里・まち連携事業や、田村市との姉妹提携など、イベントや一過性のものではなく、地に足のついた深い交流を進めてきました。東北復興大祭典のねぶた運行などを通じ、交流連携協定を結んだ青森市とも、力強い連携の成果を上げて来ました。昨年青森市で開催された、棟方志功にゆかりのある自治体が集う“棟方志功サミット”もその成果の一つですが、今年は、この中野で開催することになっており、参加自治体同士の新たな交流など、さらなる展開の可能性が広がりつつあります。全国各地との文化的交流を通じて、人、もの、経済の交流を活性化し、日本全体の発展につなげられる事例となるよう計画を進めていきたいと考えております。

 昨年4月には熊本で震度7の大地震が発生し、約20万人の方々が被災をしました。中野区では、直後に緊急物資の支援を行ったのを皮切りに、建築物の応急危険度判定員や保健師などの派遣も実施しました。宇土市とは協定を結び、職員2名体制の派遣を実施しています。東日本大震災以降、約6年間継続してきた宮城県の被災自治体への長期派遣は復興の進捗に合わせ、3自治体7名に縮小しますが、復興の遅れている福島県に新たに1名の長期派遣を行います。過酷な状況におかれた被災者の暮らしやそれに対する支援のあり方など、いつ来るか分からない私たち自身の問題として受け止め、共に復興への取組を続けていきたいと考えております。

 4 平成29年度の区政の方向について

 次に、新しい中野をつくる10か年計画でお示ししている8つの戦略に沿って、新たな取組や拡充推進する施策など、平成29年度の区政の方向について、ご説明いたします。

 (1) まち活性化戦略

 まち活性化戦略では、中野のシンボルとなる区役所・サンプラザ地区の再整備事業計画の検討を進めるほか、中野駅新北口駅前広場の基本設計や、中野駅西側南北通路及び橋上駅舎の実施設計に着手します。中野二丁目地区や中野三丁目地区では土地区画整理事業等を推進し、広場や区画道路の整備など、引き続き街区の再編に取り組みます。また、中野四季の森公園の拡張用地の地下に自転車駐車場を整備します。

 西武新宿線沿線では、連続立体交差事業の実施にあわせ、新井薬師前駅や沼袋駅周辺地区で、にぎわいと魅力あふれるまちづくりや交通環境の改善、防災性の向上に向けた取組を進めます。また、野方駅以西の連続立体交差事業の早期実現に向け、まちづくり整備方針の策定準備や野方駅、都立家政駅及び鷺ノ宮駅周辺地区でまちづくりの検討を進めます。

 Wi-Fiアクセスポイントの増設やデジタルサイネージの整備を進めるとともに、外国人観光客にも対応したコンテンツの充実を図ります。また、哲学堂公園及び旧野方配水塔を核として、歴史・文化を活かした都市観光拠点を整備するほか、他自治体とも連携し、アニメコンテンツを活用した地域ブランドづくりにも取り組み、中野の都市としての多彩な魅力を発信し、まちのにぎわいと地域商業、地域経済の活性化を図ります。

 (2) 安全・居住都市戦略

 安全・居住都市戦略では、災害時に防災機能を担う大規模公園として、平和の森公園の全面開園に向けた再整備や、(仮称)本町二丁目公園、(仮称)弥生町六丁目公園、中野四季の森公園拡張部分の整備を進め、まちの安全性と快適性を向上させます。地域の防災まちづくりとして、第六中学校跡地周辺道路の整備や、南台地区、平和の森公園周辺地区での木造住宅密集地域の改善を進めるとともに、弥生町三丁目周辺地区では避難道路等の整備を行い、大和町地区では、不燃化特区の取組を中央通沿道から大和町全域に拡大するなど、災害に強く安全なまちの実現に向けた取組を推進します。

 また、関東・東北豪雨や熊本地震などで明らかになった課題に対応するため、地域防災計画を改定するとともに、災害時に配慮が必要な方や二次避難所の備蓄物資の充実、初期消火体制の強化、帰宅困難者対策や防災行政無線の更新など災害への備えを、さらに充実させます。

 住み続けられるまちをめざし、空き家対策に留まらない幅広い住宅ストックの活用策など住宅対策の取組を強化します。また、道路・橋梁・公園施設等のインフラ資産の計画的な維持更新を行うとともに、路側帯のカラー化や路面標示など、通学路の安全対策にも取り組みます。

 (3) 環境共生都市戦略

 環境共生都市戦略では、これまで最終的に埋立処理していた陶器・ガラス・金属ごみの3分の1を民間の資源化施設に搬入し資源化を進めます。ごみの収集日や分別方法等が簡単に確認できるスマートフォン・タブレット向けアプリについて、新たに外国語版を提供するほか、粗大ごみの収集受付についても多言語対応し、資源とごみの分別ルールの周知など、ごみの適正排出の促進を図ります。

 また、清掃事務所車庫を弥生町六丁目用地に移転させるとともに、同施設内にある、ごみゼロ推進担当の窓口を松が丘一丁目の清掃事務所内に移し、効率的なごみの収集・運搬や資源化を一体的に推進します。

 今年度実施している緑の実態調査の結果を踏まえて中野区みどりの基本計画を改定し、身近な緑を増やす取組を進めるほか、「ごみ屋敷」などの解消に向け、制度を構築し、発生者への措置命令などの対策を進めていきます。

 (4) 生きる力・担う力育成戦略

 生きる力・担う力育成戦略では、近年急増している多様な保育需要に対応するため、区立保育園の民設民営化を進めるとともに、民間保育施設の新規整備等により定員を拡充します。これにあわせ、保育士等の人材確保対策も充実し、待機児ゼロの実現を図ります。また、私立幼稚園において、特別な支援を必要とする園児の受入促進を図ります。

 これらの取組に加え、不妊に悩む方への相談支援事業や病児保育など新たな子育て支援を開始するとともに、中高生の育成活動についても充実していきます。

 長年の懸案である児童相談所の区設置について、児童福祉法改正を踏まえ、第三中学校と第十中学校の統合新校に併設する(仮称)総合子どもセンターに設けることとし、出来る限り早期に開設できるよう心理職の職員採用をはじめ体制の整備を進めます。

 学校教育では、英語活動指導員や教員免許を有する学習指導支援員、スクールソーシャルワーカーを増員し、児童・生徒一人ひとりの状況に応じた質の高い教育ときめ細かな支援を行うほか、体力向上や国際理解教育の推進などの取組も進めていきます。

 また、教育環境の一層の充実を図るため、中野区立小中学校再編計画(第2次)に基づき、統合新校の開校準備や校舎の整備を進め、円滑な再編に取り組みます。このほか、普通教室の不足が見込まれる学校については増築等を行うほか、小中学校の非構造部材の耐震対策や特別教室の冷房化、トイレの洋式化など、計画的な整備・改修を進め、学校施設の機能向上を図ります。

 (5) 地域見守り・支えあい戦略

 地域見守り・支えあい戦略では、介護保険制度の「介護予防・日常生活支援総合事業」を開始し、短期集中予防サービス・住民主体サービス・介護予防ケアマネジメントなどを実施します。また、この制度を支える地域包括支援センターの運営体制を強化するほか、介護人材の育成を図るとともに、認知症に対応する施策を拡大・充実します。

 地域での子育て支援としては、子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安・悩みを相談できる、子育てひろば事業を区内全域で順次展開していくほか、キッズ・プラザの整備や学童クラブの拡充、子ども育成団体に対する支援の拡充を行っていきます。

 このほかに東中野区民活動センターの整備を進めるとともに、区民活動センター及び高齢者会館等について、集会室やトイレの改修、防犯カメラの設置を進め、地域施設の快適性や安全性を高めていきます。町会・自治会活動や友愛クラブに対する助成を拡充し、地域の自主活動に対する支援を強化します。

 (6) スポーツ・健康都市戦略

 スポーツ・健康都市戦略では、子宮頸がん検診や乳がん検診の受診勧奨を効果的に行うほか、生活習慣病予防対策事業や、まち歩きルートやウォーキングコースを掲載したマップの作成など区民の主体的な健康づくり活動を支援します。また、骨髄・末梢血幹細胞移植ドナーの支援を行い、登録者の増加を図ります。

 障害者スポーツの振興などに取り組むとともに、スポーツや文化活動の場と機会の充実を図るため、平和の森公園への中野体育館移転整備、上高田運動施設や鷺宮体育館の改修に向けた設計、なかの芸能小劇場や野方区民ホールの改修を行います。このほか、知的障害者などを対象とした新たな生涯学習事業の開始、文化・スポーツ施設に加え公園施設の予約も可能となる施設予約システムの構築も進めていきます。さらに、棟方志功にゆかりのある5自治体が連携した、棟方志功サミットを開催し、中野から新たな文化や自治体間連携を創造・発信していきます。

 また、障害者の差別解消に向け、第三者機関の設置や継続的な啓発活動を実施するほか、民間活力を活用して、重度障害者・認知症高齢者グループホームや障害者多機能型通所施設などの整備を進めるとともに、福祉サービスにかかわる指導検査体制の充実を図っていきます。

 (7) 区民サービス基盤強化戦略

 区民サービス基盤強化戦略では、区の情報システムの根幹を担う次期住民情報システムや内部事務管理システムの再構築を着実に進めるとともに、区のインターネット通信を「都区市町村情報セキュリティクラウド」を経由するなど、情報セキュリティ対策を強化します。

 また、税や保険料の収納率向上をめざし、納付勧奨、特別徴収の推進、納付相談、継続的な口座振替加入促進を実施するとともに、滞納整理専門員を配置し、滞納整理の推進と収納率の向上を進めていきます。

 さらに、国民健康保険の保険者として、健診や医療費のデータの活用を図った効果的な保健事業を展開するため、特定健診・保健指導事業や糖尿病重症化予防対策に取り組みます。

 (8) 持続可能な行政運営戦略

 持続可能な行政運営戦略では、ユニバーサルデザインに係る条例制定や男女共同参画基本計画の改定を進めるほか、外国人に対する案内表示等のルールを定める、多言語対応ガイドラインを策定するなど、多様な人々が中野を訪れ、暮らし、障壁を感じることなく日常生活や社会活動ができる環境づくりを進めるための基本的な方針を定めていきます。

 また、新たなサービス展開の基盤となる新区役所の整備に向け、基本設計に着手するとともに、新しい区役所における総合窓口と区民サービスのあり方を検討するため、現行業務の調査・分析を行います。

 さらに、情報セキュリティマネジメント体制を確立するとともに、危機管理の強化を図り、区政への区民の信頼性を高めます。

 5 平成29年度予算案の概要について

 次に、本定例会においてご審議いただく、平成29年度予算案の概要を述べさせていただきます。

 一般会計の予算規模は、1,293億4,600万円で、前年度に比べ10億3,400万円、0.8%の増となりました。

 起債の償還やまちづくり基金、減債基金への積み立てが減少したため、公債費と積立金は大きく減少しましたが、地域包括ケアや子育て支援のさらなる拡充、快適で安心して暮らせるまちづくりの推進、区民施設や学校施設など既存施設の機能向上など、中野のまちや区民の暮らしを守り発展させるための経費を予算化したことから前年度を上回っています。

 社会保障関連の財源となる地方消費税交付金については、消費税率の改正が延期されたため、増収を見込んでいません。一方で、福祉、介護、子育て支援などにおいては、消費税増税を前提とした事業を既に実施しており、社会保障関連経費については財源の不均衡が生じています。こうした中、事業見直しの継続や、区の財務規律に則った、基金・起債の活用などにより、持続可能な財政運営への取組に努め、新しい中野をつくる10か年計画の取組を加速させるとともに、新たな政策課題に的確に対応する予算としました。

 一般会計の歳入の状況では、特別区税は、「ふるさと納税」の影響により約7億円の減収となるものの、納税義務者数の伸びなどを見込み、平成28年度と比べ2.6%の増としました。しかしながら、景気の動向や法人住民税の一部国税化の影響を反映して、特別区交付金や利子割交付金、地方消費税交付金については、減少を見込んだことから、一般財源の総額は減収となりました。一方、特定財源については、(仮称)弥生町六丁目公園の用地取得により、国庫支出金や特別区債が増となったほか、待機児童対策に伴い、都支出金が大きく増えています。

 一般会計の歳出の状況では、義務的経費のうち、人件費は、ほぼ横ばい、公債費は特別区債の満期一括償還分の減少により約40億円の大幅な減となりましたが、扶助費は、社会保障費の自然増や子育て支援の拡充に努めたことなどから、約44億円の増加となり、義務的経費全体では微増となっています。また、投資的経費は用地の取得や施設整備などにより、物件費についてはシステム構築経費や都議会議員選挙などにより、それぞれ増加しています。

 以上ご説明した一般会計に、用地特別会計、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険特別会計を合わせた5会計の合計予算額は、2,032億1,100万円となりました。前年度に比べ41億9,400万円、2.1%の増となっています。

 なお、予算案の詳しい内容につきましては、提案の際にご説明をさせていただきます。

 6 むすびに

 地方自治体が先頭に立って、新しい社会のあり方を創造し実現していくことが、持続可能な都市を作り上げるためには不可欠です。ただ国の制度や方針を待つだけという発想では、生産年齢人口が減少していく今の社会にあって、躍動する都市を作ることはできません。区として目指す将来像を明確にし、それに向けて着実に政策を積み上げ、実行していく必要があります。

 これまでも申し上げましたように、オリンピック開催までの3年半が我が国にとっても、また中野にとっても極めて重要な期間になります。新しい基本構想と10か年計画を着実に進め、これまでに確立してきた「目標と成果による管理」により、目標をしっかり見定めて推進を図っていかなければならないと考えています。自立した自治体として将来に向けて着実な歩みを進められるよう、区民の皆様の多様なご意見を受け止めながら、全力を尽くして参る所存です。

 重ねて、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げて、平成29年第1回中野区議会定例会における施政方針説明とさせていただきます。

(注)本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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