[はじめに] | [私の基本姿勢] | [主要な政策の柱]
[その他の懸案事項] | [おわりに]
平成14(2002)年中野区議会第2回定例会にあたり、区政に対する私の所信の一端を申し述べさせていただきます。
去る6月9日の区長選挙におきまして、私は区民のご支持をいただき、中野区長に就任いたしました。その職責と使命の重さに身の引き締まる思いです。区民の信託に応えるため、区議会との密接な連携のもと、区政運営に全力を傾注したいと考えております。議員各位ならびに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
今回の区長選挙は、21世紀の中野区をどうつくっていくかが問われた選挙でした。私も自らの主張を訴える中で、区民の皆さんの区政に対する意見、期待、失望など、さまざまな思いにふれてまいりました。その中で、区政の主役は誰よりも区民であり、区政は区民の自治によって進められるべきものという区民の強い意思を感じました。また、現状を打開したい、中野区をよい方向に変えていきたいという区民の切実な思いを強く感じ取りました。これは、区政に向けられた区民共通の思いであると受け止めているところです。
今回の選挙の投票率33.42パーセントは、前回に比べ区民の関心は高まったとはいうものの、中野区長選挙としては史上2番目の低さでした。
選挙中からお約束してきたとおり、私は、来月から毎月2回のペースで区民との対話集会を行うことにいたしましたが、こうした投票の状況をふまえるとき、これからの区政運営にあたっては、適切な情報発信につとめ、区民参加を実りあるものにし、常に区民とともにある区政としていくことがますます大切であると考えています。
私は区長選挙にあたって、区民の皆さんに、私の考える区政運営の理念と政策の柱を明らかにし、訴えてまいりました。これらに沿って、これからの区政を進めていくことにいたします。まず、区政運営の理念について、申し上げます。
第一は、「みんなの知恵で危機を希望へ」ということです。
区の財政は、いまだに危機的状況が続いております。この財政危機から脱却し、将来を展望することが今こそ必要です。
区のサービスを行う財源は、もとより区民の皆さんの税金です。この限りある財源をどうすれば最も有効に活用できるのかを、区民の皆さんとともに考え、工夫をしながら、新しい時代の要請にあったサービスと施策の体系を創り出すとともに健全な収支構造をつくることをめざしていきます。
第二は、「形だけでない手応えのある区民参加」です。
自治の原点は住民参加にあります。そのためには、区民と区が情報を共有し、十分に話し合うこと、そして行政が説明責任を果たすことが不可欠です。施策の検討や決定にあたって、地域全体のために区民が議論できるよう、情報の提供を徹底します。また、話し合いの場を保障するとともに、区の判断の根拠を常に明確に示すようにしてまいります。
第三は、「一人ひとりの可能性をひらく」です。
区の役割の基本は、区民の人として生きる尊厳を守ることです。人権・福祉・教育など区民の暮らしをしっかり支えます。誰もが自由に活動し、達成感やともに成長する喜びを得られるよう、区民のさまざまな活動を結びつけ、支援します。誰もが力を発揮でき、それぞれの活動が生かされる地域社会をつくります。
私は、こうした理念にたって区政を運営することによって、現在の閉塞状況を打ち破り、政策の課題を解決して、区民それぞれの夢や思いを実現しうる中野区をつくることができると確信しています。
ここで、こうした理念のもとに進める主要な政策について、申し上げます。
まず、21世紀において区政の目指すべき新しい姿を改めて示すことです。これまでの区政の基礎となってきた中野区基本構想は、その理念については高く評価できると考えています。しかし、基本構想は制定から20年以上を経ており、新たな理念で補強したり整理するべき点も出てきています。また、長期計画など計画行政のあり方についても、これまで財政的裏づけを持たない基本構想に基づいて行政計画をつくったために、行政の役割や財政規模が常に拡大するなど、問題が生じてきたところです。私は、中野区基本構想について、幅広い区民参加のもとでの見直しに着手し、2年程度の期間をかけて、実現性や計画性を重視した形のものに改定したいと考えています。
次に、行財政5か年計画についてですが、この計画は当面する歳出削減策を中心としたものであって、将来の構想としては弱いものであると受け止めています。また、策定に至るまでの過程での情報提供や区民との議論において十分でなかったということも踏まえて、この5か年計画に代わる本格的な区政の将来構想と計画をきちんとした手続きのもとに定めていくことが必要であると思っています。
この新たな構想と計画において、財政再建への道すじと21世紀の新たな時代に対応した区政のあり方を描き出していきたいと考えています。
次に、手応えのある区民参加のための、情報公開の徹底です。計画段階の情報提供、区民との話し合いから区の意思決定、なぜそう判断したのかという理由の説明に至るまで、各段階における情報公開を行います。こうした情報公開・提供や区民参加のプロセスは、区が区民に約束するルールとして確立したいと思いますので、その根拠として自治と住民参加の理念と手続きを定める(仮称)自治基本条例を制定したいと考えます。
また、新たな支えあいの地域社会をつくるために、幅広い区民の力を生かしていきたいと思います。そのため、自主団体やNPOなど区民による公益活動や、ボランティア活動を地域の中で生かし、支援します。そのため、自主団体の活動を支援するための新たな条例も制定したいと考えます。
区民の参加を広げ、区民の力を生かすうえでは、それに対応した行政のあり方も改めていかなければなりません。私は、中野区の職員と組織は、潜在的な高い能力と区民と協働する柔軟性を持っていると思っています。そうした能力と活力が引き出せるよう、区の組織をさらにスリム化し体質改善を行って活性化させるとともに、加点法の人事考課や、職員の専門性を向上させる人事配置を行っていきます。なお、区民との対話の推進、基本構想の策定などについては、早急に組織的な体制強化を行いたいと考えています。
次に、保健・福祉や子ども、環境、まちづくりなど、区政の各分野の課題について、いくつかお示しいたします。
健康づくりと安心できる福祉は、大事な柱です。様々な機関や人々が連携して、支援が必要な人を支えていけるような体制を作ります。高齢者への介護保険サービスや、障害者の支援費制度について、基盤整備を推進するとともに、サービス契約をめぐる苦情処理、サービス評価の仕組みを作ります。また、障害者の地域での生活と就労についても支援を行ってまいります。
子どもたちがいきいき育つまち、安心して子育てができる地域にすることも重要です。子どもたちが個性を発揮し、社会性を身につけることができるような取り組みを行い、小学生、中学生、高校生の提案・発言の機会を設けます。区立小中学校の教育環境を充実するために、学校の適正規模・適正配置を検討し、実施していきます。保育サービスでは、区立保育園の運営を改善するとともに、区立保育園の民営化と合わせて民間保育園への支援を行うことによって、待機児をなくし、多様な保育サービスの充実を進めます。
災害に強く安全なまち、みどりと環境を大切にするまちは、時間がかかる課題ですが将来の区民のためにも着実に進めていくべき課題だと考えます。区民自身の力でまちを守る、住民による地域防災まちづくりを進めます。また、ごみの減量とリサイクルシステムをいっそう強化します。また、ボランティア、NPOなどの力を生かしつつ、環境問題に関する啓発や取り組みをさらに豊かで創造的なものにしていきたいと思います。
長引く不況の中で、中小企業の経営は苦しくなっています。区内の産業や商店街を元気にし、中野らしい賑わいをつくり出してまいります。このため、起業支援型の産業経済融資や相談を強化するほか、新たなニーズ把握や異業種交流などによって、ビジネスチャンスを創り出すなど、活力を生み出す工夫をします。
人権と平和を守り、国際理解を進めることを大切にしていきます。家庭や職場、教育などの場で、男女共同参画社会の推進を図ります。中野区は憲法擁護・非核都市の宣言から20周年を迎えましたが、核兵器の廃絶と平和の創造に向けて区民の意思を発信し、市民の連帯をいっそう推進します。
ここで、施設建設に関連する課題について申し上げます。区政が困難と停滞に陥った原因の一つは、現在の財政能力では到底できないような施設建設計画を進めたことにあると私は考えます。凍結したままの施設計画の多くは、今後も建設できるような状況ではないと思いますので、早急に見直して計画廃止等の考えを区民に示すつもりです。とくに選挙中に訴えてきた上野原スポーツ・学習施設については、教育委員会と早急に調整して具体的な検討に入ることにいたします。
また、区政は江古田の森と警察大学校等跡地の大きなプロジェクトを抱えております。区民の利益や財政負担を考慮して、適切な手法で取り組みたいと思います。
江古田の森への保健福祉施設整備は、福祉サービスの基盤整備のために、民間活力を積極的に生かす、いわゆるPFI方式を導入して推進していきます。
警察大学校等跡地については、現在ある計画案の実現可能性などを早急に検討した上で、関係機関との調整も行いながら、計画案の見直しについて考えていきたいと思います。
ここで、区長給与の削減について述べます。すでに申し上げましたように、私は、財政は引き続き危機的な状況にあると認識しております。こうした厳しい認識と行財政改革への私の姿勢を示すために、区長給与をさらに削減したいと考えております。このことについて、今議会に条例改正をご提案申し上げます。
最後に、区民一人ひとりの思いが通じ、それらが生かされる区政をつくり、区政と区民との距離をなくすことの重要さを改めて強調させていただきます。私を含め区政に携わるすべての者が、区政の主役である区民の立場に立ち、改めるべきものは改め、区民とともに力を合わせていかなければならないと思います。
私に託された区民の思いは、従来の区政を変えてほしい、機能しなくなった仕組みや、もはや区民ニーズに沿っていない計画は改めてほしい、改革の新しい息吹を区政に吹き込んでほしいというものだと感じています。私は、区民の価値観や生活実感にもとづいて区政の改革を進めることに、区長として全力をあげてまいります。区長という職は、重い責任と、権限を伴うものであり、一人の人間が、長い間その職にあり続けた場合は、惰性に流れたり政策に片寄りやゆがみができてくるなど弊害が生じることになると認識しています。私は、区長の任期は2期8年を限度とすべきであると考えていますので、これからの4年の任期の中で、区民の期待に応えて最大限の成果が出せるよう取り組んでまいります。中野区の財政再建を果たし、21世紀にふさわしい新しい区政と地域社会のあり方をつくることに、可能な限りの努力をするつもりです。
区議会の議員各位、区民の皆さんのご理解とご協力を重ねてお願い申し上げて、私の所信表明といたします。
(注)本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。