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平成20(2008)年 第3回中野区議会定例会区長行政報告 2008年10月15日


更新日 2008年10月16日



はじめに

 発言に先立ち、区議会本会議の貴重な時間に、行政報告の機会をいただきましたことを深く感謝申し上げます。
私は、今定例会に、中野サンプラザ取得・運営等事業に関わります補正予算ほか2議案のご審議をお願いすることといたしました。
 今回提案する議案の内容は、区が平成14年から取り組んでまいりました、中野サンプラザ取得・運営等事業の現在の枠組みを大きく変更するものであり、区政にとって極めて重要な取組み課題となります。
 つきましては、枠組み変更に至る経緯などについて、行政報告としてご説明する機会をいただきたくお願い申し上げた次第です。


事業の経過

 はじめに、本事業の検討開始から今日に至るまでの経過についての概略をご説明いたします。
 本事業は、中野区の出資する第三セクターが中野サンプラザを取得し、少なくとも10年間はまちの賑わいに役立つ運営を行い、その後は、区が区議会の議決を経て定めるまちづくり整備方針に沿ってサンプラザ地区の再整備を行うことを内容としています。
 中野サンプラザは独立行政法人雇用・能力開発機構が所有し、財団法人勤労者福祉振興財団が運営しておりましたが、平成14年8月にその譲渡について区へ打診がありました。
 区は区議会や区民の意見をお聞きしながら慎重に検討した結果、区の賑わいの中心であり、全国的なブランド力もある中野サンプラザの灯が消えるようなことになってはならないこと、また、中野駅周辺のまちづくりの中心となる地点であり、将来の再整備にあたって、区が主導的に関与することで区民の意思を生かしたまちづくりに結びつけることができることなどの点から、中野サンプラザの取得に関与することが将来のまちづくりにとって不可欠であると判断しました。雇用・能力開発機構からは売却条件として、取得後10年間は公共性のある運営を継続すること、中野サンプラザに勤務している職員のうちの希望者については、継続して雇用することなどとともに、価額は、区もしくは区が主導する第三セクターが取得する場合には、評価額の半額程度とすることなどが示されました。
 サンプラザ事業は、ホール、ホテル、宴会場、スポーツジムなど、いずれも民間の行う事業であり、将来のまちづくりにあっても民間の知恵や力を活用すべきと考えたことから、区は民間の資金・能力を活用し取得することをめざして、民間から広く事業提案を求めることといたしました。その事業提案の条件として、雇用・能力開発機構の売却条件に加え、区との共同出資により中野サンプラザを取得する新会社の設立時の資本金は3億円とし、区は2億円を出資すること、新会社の資金調達に関し民間が責任を持つこと、区は損失補償を行わないこととすることにより、区の資金面の責任範囲を限定しました。
 そして、中野サンプラザ取得・運営等事業に関する提案競技を平成16年4月に実施した結果、2者が応募してきました。当初の提案では2者とも優先交渉権を付与するレベルにないとの有識者委員会の評価を受け、再提案を求めた結果、同年7月に中野サンプラザ運営研究会グループを優先交渉順位第1位として交渉を行うこととし、同年8月に基本協定を締結しました。
 中野サンプラザ運営研究会グループは中野サンプラザの運営会社を設立し、中野区との共同出資により同年9月に所有会社である株式会社まちづくり中野21を設立しました。
 本事業の資金調達の責任は運営会社が負うことになっており、金融団との具体的な協議が進められました。その過程で、必要な資金を全額融資で調達することが困難であることが判明し、運営会社は所有会社が新たな株式発行により24億4200万円を増資することを提案してきました。区は専門家の意見も聞きながら検討した結果、提案を了承することといたしました。
 しかし、この増資により地方自治法による区議会の関与が及ばなくなったこと、また、増資の経過について、適切な時期に的確なご報告をしてこなかったことなどについて区議会において大変厳しいご批判をいただきました。
 区としてもこのことについて深く反省し、お詫びを申し上げるとともに、サンプラザ地区の整備方針や所有会社の株主総会における重要案件に関する議決権行使について区議会の関与を規定する「議会の議決すべき事件等に関する条例」を提案し議決をいただいたところです。
 また、運営会社についても経営強化を図るためとして、新たに3企業及び1個人が資本参加することとなり、区との間で交わした基本協定にも加わることになりました。
 運営会社による新たな中野サンプラザは平成16年12月に事業を開始し、コストの削減やサービスの向上に努め、収益面では当初運営計画での目論見を上回る利益を上げています。所有会社は運営会社に施設を賃貸し、その賃料のみを収入源としており、賃料は固定賃料と運営会社の利益に応じた歩合賃料で構成されています。当初の事業計画において、この歩合賃料はほとんど見込むことが出来ませんでしたが、本格事業年度となった3期の合計で約2億6千万円の歩合賃料が生み出され、所有会社の経営も順調に推移しています。


枠組み変更を検討するに至った経緯

 中野サンプラザの運営が順調に経過する中で、いくつかの大きな懸念材料も浮かび上がってきました。
 平成18年10月に本事業の提案者の代表企業である株式会社ビジネスバンクコンサルティング(現在の株式会社BBH)と追加参加してきた企業との間で本事業とは関係のない取引をめぐり訴訟が起きました。運営会社の代表取締役会長でもあった当時のビジネスバンクコンサルティングの代表取締役社長からは、この訴訟以外にも相手側企業と問題が生じていること、サンプラザ事業に影響の出ないように責任をもって対処することについて区へ説明がされていました。しかしながら、平成19年5月には、追加参加三社から派遣されていた運営会社の取締役を再任しないなどの動きがあり、追加参加三社の取締役からは運営会社とビジネスバンクコンサルティングの間で架空取引がされたという、いわゆる「リース契約問題」の提起があり、「中野サンプラザで内紛」と新聞報道されるなどの事態となりました。
 一方、代表企業の経営にも大きな動きがありました。運営会社の代表取締役会長が平成19年3月に代表企業の経営から離れ、その後代表企業は持株会社であるBBHへと社名、企業形態を変更するとともに経営方針を変え、サンプラザ事業から撤退したいとの意向を同年7月に示してきました。これに対し、区としては、本事業における代表企業としての役割を果たすよう強くBBHに対し求めてきたところです。
 しかしながら、「リース契約問題」や「内紛状態」が報じられ、代表企業が撤退の意向を示すに至り、出発点における本事業の枠組みそのものが事実上維持出来ないとも思える状況となり、区としては将来のまちづくりのパートナーとしての運営会社の信頼性について、大きな懸念を抱かざるをえないことになりました。
 区としてはリース問題の真相を明らかにすることと合わせて、枠組み変更への対応を迫られることになりました。
 リース契約問題が提起されて以来、区は所有会社への関与を強めるため、所有会社へ区側取締役2名を派遣することとし、さらにその一人が代表取締役となりました。その上で、問題解決に向けて専門的な支援を得るために、平成19年度の途中に弁護士、公認会計士との契約を締結したほか、検討材料を得るために不動産鑑定やエンジニアリングレポートの作成も行いました。
 区は運営会社の取締役らと問題解決に向け協議を進めましたが、運営会社側からは具体的な提案がされないままに時間が経過する中で、本事業への出資者の取りまとめ役は代表企業であるBBHであることが改めて確認され、BBH側からは撤退意向をいったん白紙にした上で、事態に対処するとの考えが示されました。
 一方、リース契約問題についても関係資料の提供がされず、本年4月になってようやく資料が提供されましたが、いまだ結論を得るに至っていません。さらに7月になって新たな問題が提起されました。その内容は、運営会社の出資者が本事業に関して不適切な資金調達をした疑いがあるというもので、そのことを示唆する資料が7月の末にBBHを通じて所有会社に提供されたことにより浮かび上がったものです。このことと合わせていくつかの問題点を所有会社から運営会社へ問い合わせましたが、納得のいく説明を得られなかったため、改めて、BBHに主体的に問題の解決にあたるよう所有会社から要請しました。これに対し、BBHからは「代表企業として運営会社へ代表取締役を派遣する」、「運営会社の所有する所有会社の全株式の譲渡等、サンプラザ事業の再編に向け手続きを進める」「リース問題については、運営会社へBBHから代表取締役を派遣後に、運営会社において第三者を交えた調査を行う」との回答があり、8月末には運営会社の役員が交代し、運営会社から事業の枠組みの変更について提案がなされました。
 以上の経過については、基本的には逐次所管の委員会に報告してまいりましたが、枠組み変更に向かう動きについては具体的なご報告を控えてきました。先に述べたとおり、本事業の出発点において議会への情報提供、協議のあり方が厳しく問われ、区としても反省をし、その後は十分に留意してまいりましたが、今回の枠組み変更の動きについては極めて流動的であり、不確実な段階で情報を開示することにより関係企業や中野サンプラザの運営にも大きな影響を及ぼすおそれがあったことから慎重にならざるを得なかったことをご理解いただきたいと思います。また、当然のことながら区議会のご賛同を得られなければ枠組み変更は実現できないことを交渉の相手方には十二分に説明をしながら協議を進めてきたところです。


新たな枠組み

 次に新たな事業の枠組みについてご説明します。
 新たな事業の枠組みに向けて、運営会社が保有する所有会社の普通株式及びC種優先株式を区が譲渡を受けます。これにより、運営会社と所有会社の資本関係は解消されます。
 その上で、運営会社は中野サンプラザを運営するために必要な、人材を含めた資産をすべて移した子会社を新たに設立し、その子会社を所有会社が取得するというものです。
 これにより、区が議決権株式をすべてもつ第三セクターである所有会社が、その完全子会社に中野サンプラザを運営させることになり、これが新たな事業の枠組みとなります。
 この新たな枠組みが実現すると、これまでも議決権の3分の2を保持することにより区は事業の主導性を確保してきましたが、今後は区が全面的に主導することとなります。また、中野サンプラザの土地・建物を区が間接的に所有することにもなり、将来のまちづくりを区の完全主導により行うことができることになります。また、出資割合が増えることにより地方自治法による区の監査が再び所有会社へ及ぶことになり、事業開始当初の増資によって生じた問題の一つが解決することにもなります。
 次に、「区は2億円を超える出資はせず、損失補償もしない」、「事業運営に民間の力を生かす」という、これまで区が本事業の特色として追求してきた内容とは異なる展開となることについてご説明します。
 今回の事業再編については運営会社側の代表企業から、早期の決着を強く申し入れられています。また、将来のまちづくりに向けて真に適切なパートナーを期間の制約がある中で新たに選考することは極めて困難です。
 一方、事態に対応する区の状況も変化しています。
 本事業の検討段階では区の基金残高は100億円程度で現在の3分の1にも満たないような状況でした。また、中野サンプラザの経営見通しも不透明であり、現在のような事業収益を想定できず、区の財政負担は極めて限定的にせざるを得ませんでした。現在も決して楽観できる財政状況にはありませんが、本事業の安定性を増し、将来のまちづくりを確実に進めるためには当初の方針を変更することも積極的に判断できる状況にあると考えています。
 今回の新たな枠組みを実現するためには14億円近い財政支出により新たな資産としての株式を取得することになりますが、所有会社の資産、運営会社の経営状況を鑑みるに、この新たな資産を損なうことなく、将来のまちづくりに向けて有効に活用できるものと判断しています。
 本事業では土地建物を公が関与する第三セクターが所有し、事業運営は民間が経営ノウハウを生かして行うという、所有と運営の分離を特色としています。新たな枠組みにおいてもこの基本は崩さないこととし、新運営会社には、事業の運営そのものについては現スタッフを中心に、あくまでも株式会社としての事業効率を求めてまいります。そして、今後とも経営安定化に向けあらゆる努力を行いながら、将来的にはより民間手法の生かせる運営形態への移行を追求していきたいと考えています。


サンプラザ地区の再整備

 中野サンプラザは譲渡から10年間は指定の用途で活用し、その後は再整備に向かうことになります。再整備は区が区議会の議決を経て定める「サンプラザ地区に係るまちづくり整備の方針」に基づいて進めることとなっています。これまでの予定では、平成24年までに再整備の基本構想を定めることになっていますが、区がより主体的に関わることによりなるべく早い段階で具体的な将来像を描いていきたいと考えています。そのために、今回は整備方針のもっとも基本となる事項についてご提案することといたしました。また、現在の資金調達に関する融資の返済やA種優先株式の償還の期限は平成26年に到来しますので、資金の再調達を図る上でも明確な将来像が必要となります。
 なお、再整備については、現在の所有会社をその主体として位置づけ、土地を保有しつづけたまま将来のまちづくりが展開できるよう、新たな資金調達や民間活力の導入方策を検討していきたいと考えています。


終わりに

 以上、これまでの経過と新たな枠組みの考え方についてご説明させていただきました。
 今回パートナー企業の様々な事情から、事業開始から4年を経ずしてこのように大きく変更せざるを得ない状況となりました。発足当初に予期しえなかった事態が起きているものであり、適切に判断してきた結果と考えてはおりますが、当初スキームにおいて十分に安定的なものが構築しえなかったことについて、反省しているところであり、お詫び申し上げます。
 このたびご提案する新たな枠組みは、これまでに本事業に寄せられました意見を十分踏まえ、中野区の発展と区民の皆様の暮らしに貢献するよう検討を重ねたものでございます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

※本文は、口述筆記ではありませんので、表現その他若干の変更があることがあります。

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